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【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題①BIM を活用した管理領域、OIR の定義(連載)

掲載日:2022年06月30日

2回目以降の記事リンクはこちら

第一回:【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題①BIM を活用した管理領域、OIR の定義(連載)

第二回:【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題②ライフサイクルコンサルティング業務(連載)

第三回:【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題③ISO19650 プロセスと情報要件定義(AIR)(連載)

第四回:【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題④国際標準、オープンBIM、IFCの説明(連載)

第五回:【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題⑤ソフトウェア・エコシステムの俯瞰(連載)

第六回:【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題⑥共通データ環境CDE-BIMsyncの説明(連載)

「建築BIM推進会議」について詳しくまとめた記事は、こちらをご覧ください。

概要

事業の目的

鹿島建設では、令和3年度 BIM を活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業(パートナー事業者型)として、「BIM を活用した建物ライフサイクル情報管理とデジタルツイン及びソフトウェア・エコシステムによる支援の検証」を実施しています。

大きなテーマとしては以下2点を掲げています。

  1. ①BIM データの活用・連携に伴う課題の分析
  2. ②BIM の活用による生産性向上、建築物・データ価値向上、様々なサービスの創出等を通じたメリットの検証

さらにテーマを分析する課題として、下記2つの課題を設定。

  • 課題 A) 運営維持段階へ引き渡す BIM の作成、資産情報モデル(AIM)の整備と情報共有プロセスの最適化
  • 課題 B) 運営維持段階で活用するライフサイクル BIM の整備、情報の充実化、更新、情報価値の向上

次世代BIM-FM検証のために必要なBIMに対する情報要求をプロジェクトの初期段階で確定し、BEPに反映させます。BIMに加えてスマートBMソリューションとの連携によってデジタルツインを構築し、建物の情報を一元管理。現在の情報管理プロセスの非効率性と冗長性を継続的に特定・改善し、BIMデータの有効性、恒久性、拡張性、及び、公共性を確保することを目標としています。

物件概要

課題AとBについて、新築・既存物件の場合において検討ができるよう、新築物件の「博多コネクタ」と既存物件の「両国研修センター」を対象物件としています。

新築物件である博多コネクタ(旧名:博多駅前四丁目)は、鹿島建設が中長期的に所有している賃貸オフィスビルです。ビル管理業務(以下 BM 業務)と不動産管理業務(以下 PM 業務)の双方を鹿島建物総合管理が実施しており、当該物件の BM・PM 業務の状況について、定期的に報告を受ける体制を築いています。このため、鹿島グループが連携して組織・AIR を整理し、データベースの構築を行うことが可能となっています。

既存物件で改修工事を行う両国研修センターは、鹿島建物総合管理が所有者で、社員の運営維持管理業務の研修のために利用している施設です。鹿島建設は鹿島建物総合管理とともに、グループ連携の一環として、オープン BIM を活用した FM ソリューションや、鹿島のスマート BM(以下スマート BM)との連携等を開発する対象物件として、両国研修センターを 3 年前に選定。その過程において、当該物件の施設管理の最適化の検証に着手しています。

分析する課題:BIM を活用した管理領域、OIR の定義

維持管理プロセスの課題を特定

プロジェクト体制は、鹿島グループの発注者、設計者、施工者、及び、管理会社といった諸組織から構成されています。そのため、関係性を組織全体で捉えることが可能な典型例です。ライフサイクル業務のポートフォリオ最適化、プロセス最適化を目指して、将来の諸プロジェクトにも反映できるように組織全体の情報要件(OIR 及び AIR)をまとめました。

維持管理プロセスに関して数回のワークショップを行い、まず BIM を活用した管理領域、OIR の定義に関わる既存の業務フロー、情報伝達、報告のあり方を、以下の説明と図表が示すように明確にしました。

現在の業務フロー

理想の業務フロー

実施方法

維持管理BIMを、設計・施工のBIMをベースとして入力し、情報管理。これをオープン BIM(IFC)サーバー(Bimsync)に保存して、運営維持管理の BIM-FM ソリューション(MainManager)や、その他のソフトと API 連携させます。

鹿島グループ内ライフサイクルコンサルティング業務の一貫として、施工段階で確定する維持管理・運用に必要な情報(AIR)の優先順位、利用、情報メンテナンスを検討して、情報の整理、体系化を行いました。形状詳細度(LOD)に加えて、情報詳細度(LOI)を適正に設定し、BIM 作成以外の情報を収集して、情報共有のプロセスとソフトソリューション(Bimsync、dRofus, BIM ロジ)を最適化。また、情報を構造化するために、国内、及び、国際的な標準規格、分類体系を適用しています。

結果

長期的所有における目標の達成に関わる、施設のライフサイクルデータの意味を追求。とりわけBIM の活用方法を明確にしながら、データそのものの価値の向上が期待できます。組織の情報要件を定義する際に、ステークホルダー間の報告義務を把握することは極めて重要で、グループ内で行われる報告内容、頻度を確認しました。

またBIMを活用したFMソリューションの利用によって、さまざまなメリットが見込まれるでしょう。とくに①管理者 BM、②テナント・来館者、③所有者・PM業務 でのメリットが大きいことが分かりました。ここでは、それぞれの代表的なメリットをご紹介します。

①管理者 BM

建物管理における最大のメリットは、施設管理と改修保全関連の業務フローと共に、関連のデータや書類が随時蓄積されることです。それにより、コスト削減と効率化を目指すことが可能に。ビル管理スタッフのタブレットからの報告内容がリアルタイムで共有されることにより、対応指示の迅速化や対応状況の確認がその場で行われ、現場対応力も強化されるでしょう。

②テナント・来館者

テナントや来館者向けとしては、安心・安全や利便性、快適性向上のため、施設側の情報の活用や施設とテナント、来館者との双方向のデータ連携を目指すことが可能に。テナントや来館者への情報発信や、ビルアプリとの連動により実現すると考えられます。具体的には、AEDの設置場所をアプリで案内する。また誰でもトイレの空き状況や案内ルートの提供、車いすのお客様とエレベーターの連動制御などが実現可能でしょう。

③所有者・PM業務

建物所有者にとっては、資産価値の最大化に向けた施策の検討及び実施に役立ちます。管理状況や賃貸契約などを一元的に把握するためには、ダッシュボード機能が不可欠に。複数の機能の一元管理を通じて、ライフサイクルコストの最適化や施設の価値向上に向けた施策の立案が容易になるでしょう。

BIM情報の活用に期待

ソフトウェアはデータを収集、格納する場所ではあるものの、将来ソフトが置き換えられる可能性もあるため、その情報要件を制限すべきではないと考えられます。維持管理に必要な BIM データの在り方を明確にし、今後は BIM ワークフロー上流における BIM 発注者情報要求(EIR)に、その内容を反映させられるように展開することが求められるでしょう。

第二回の連載はこちら

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