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【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題④国際標準、オープンBIM、IFCの説明(連載)

掲載日:2022年07月21日

他の連載記事はこちら

第一回:【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題①BIM を活用した管理領域、OIR の定義(連載)

第二回:【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題②ライフサイクルコンサルティング業務(連載)

第三回:【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題③ISO19650 プロセスと情報要件定義(AIR)(連載)

第四回:【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題④国際標準、オープンBIM、IFCの説明(連載)

第五回:【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題⑤ソフトウェア・エコシステムの俯瞰(連載)

第六回:【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題⑥共通データ環境CDE-BIMsyncの説明(連載)

第七回:【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題⑦CDEの位置付け(連載)

第八回:【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題⑧設計、属性情報の管理プロセス(dRofus)(連載)

第九回:【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題⑨引渡、FM 向け、レコードモデルの比較(SimpleBIM の利用)(連載)

第十回:【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題⑩ライフサイクル BIM 更新プロセス (連載)

「建築BIM推進会議」について詳しくまとめた記事は、こちらをご覧ください。

概要

事業の目的

鹿島建設では、令和3年度 BIM を活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業(パートナー事業者型)として、「BIM を活用した建物ライフサイクル情報管理とデジタルツイン及びソフトウェア・エコシステムによる支援の検証」を実施しています。

大きなテーマとしては以下2点を掲げています。

  1. ①BIM データの活用・連携に伴う課題の分析
  2. ②BIM の活用による生産性向上、建築物・データ価値向上、様々なサービスの創出等を通じたメリットの検証

さらにテーマを分析する課題として、下記2つの課題を設定。

  • 課題 A) 運営維持段階へ引き渡す BIM の作成、資産情報モデル(AIM)の整備と情報共有プロセスの最適化
  • 課題 B) 運営維持段階で活用するライフサイクル BIM の整備、情報の充実化、更新、情報価値の向上

次世代BIM-FM検証のために必要なBIMに対する情報要求をプロジェクトの初期段階で確定し、BEPに反映させます。BIMに加えてスマートBMソリューションとの連携によってデジタルツインを構築し、建物の情報を一元管理。現在の情報管理プロセスの非効率性と冗長性を継続的に特定・改善し、BIMデータの有効性、恒久性、拡張性、及び、公共性を確保することを目標としています。

物件概要

課題AとBについて、新築・既存物件の場合において検討ができるよう、新築物件の「博多コネクタ」と既存物件の「両国研修センター」を対象物件としています。

新築物件である博多コネクタ(旧名:博多駅前四丁目)は、鹿島建設が中長期的に所有している賃貸オフィスビルです。ビル管理業務(以下 BM 業務)と不動産管理業務(以下 PM 業務)の双方を鹿島建物総合管理が実施しており、当該物件の BM・PM 業務の状況について、定期的に報告を受ける体制を築いています。このため、鹿島グループが連携して組織・AIR を整理し、データベースの構築を行うことが可能となっています。

既存物件で改修工事を行う両国研修センターは、鹿島建物総合管理が所有者で、社員の運営維持管理業務の研修のために利用している施設です。鹿島建設は鹿島建物総合管理とともに、グループ連携の一環として、オープン BIM を活用した FM ソリューション(施設の運営維持管理)や、鹿島のスマート BM(以下スマート BM)との連携等を開発する対象物件として、両国研修センターを 3 年前に選定。その過程において、当該物件の施設管理の最適化の検証に着手しています。

分析する課題:国際標準、オープン BIM、IFC の説明

建物に含まれている製品の平均寿命を考慮すると、データの有効性を保つように標準化や抽象化を行うことが重要です。こうした状況を踏まえ、国際標準オープン BIM の IFC データを中核にすえ、ソフトウェア・エコシステムの長期的でダイナミックな情報管理モデルについて検証しました。

FM 分野における BIM 活用

維持管理フェーズ(FM)の BIM 活用に関しては、長期間にわたる建築ライフサイクルにおいて出現する様々なサービスとの BIM データ連携が鍵となるでしょう。資産管理、不動産取引、ロボット、ドローン、屋内外の位置情報を用いた IoT システムなど、多様なサービスとの連携が考えられます。そのため恒久性、拡張性のある BIM データとしてオープンな仕様の国際標準の活用が重要に。具体的には、FM 分野における BIM 活用では以下2つのデータ活用場面があると想定されます。

①FM システムへの建物情報・資産台帳情報データ連携

FMへのBIM活用の第一段階といえる分野で、海外事例でも一番進んでいる分野です。建物階・部屋・ゾーンなどの空間構成要素、窓・ドアなどの建築要素、空調機器・配管といった設備機器的な建物の基本情報を BIM データからインポートすることを目的とします。今後は建材の属性データや設備機器の系統情報など、より詳細な属性情報が CMMS、FM システムへ伝達される可能性が広がってきています。FM システム側のデータベースに必要な情報をBIMモデルから伝達するためのデータ仕様として、IFCが定義するデータ範囲からFMシステムに関連する部分を抽出した COBie と呼ばれるデータ形式が策定され、BIM-FM データ連携の一つの参照仕様に。

②FM フェーズ BIM 活用

もう一つの BIM 活用場面は、BIM-FM データ連携により FM システム側へ渡ってきたBIM データの FM 運用上の活用分野です。活用する場面としては FM 計画立案、現場での維持管理業務など、様々な状況における建物情報の 2D 表現、3D 表現、資産情報一覧などの BIM 活用が想定されます。Web アプリケーションとして動作する FM システムの場合、Web ブラウザ、モバイル端末上で動作するアプリなど、様々な形態のアプリケーションに、IFC データによる 2D ビュー、3D ビュー、オブジェクト要素一覧などの表示ソリューションが可能に。

BIM データ国際標準「IFC」とは

「IFC」とは、建築物や土木構造物を構成する要素をオブジェクトモデルとして表現するための仕様のことを指します。例えばドアの形状、特性などの情報をIFC で定義された仕様でデータ化することにより、人間と機械がそのデータを同じ「ドア」と認識できるようになります。IFC は BIM ソフトウェアの中間データフォーマットとしても用いられていますが、本来は BIM のオブジェクトを表現するためのデータモデル仕様です。現在では、多くの BIM ソフトウェアに IFC 形式での入出力機能が備わっています。

IFC を構成しているクラス定義には、建物の空間情報を表現する空間要素情報として敷地、建物、建物階、部屋オブジェクト、建築要素として壁、開口、ドア、窓、梁、柱、階段などのオブジェクト、設備要素としてダクト、制気口などのオブジェクトがあります。これらの情報が IfcSite(敷地)、IfcBuilding(建物)、IfcBuildingStorey(建物階)、IfcWall(壁)、IfcOpeningElement(開口)、IfcDoor(ドア)、IfcWindow(窓)、IfcBeam(梁)、IfcColumn(柱)、IfcSpace(空間)などのクラスとして定義されています。

維持管理 BIM 分野におけるIFC ユースケース

IFC のデータ構造からFM に必要な部分を定義し、意匠モデル、設備モデルなどに関連するオブジェクトや属性情報を入力するワークフローを構築することが、維持管理 BIM モデル構築には必須に。

buildingSMART では、データ連携シナリオ(例:FM への BIM データ連携)に必要な情報を伝達するための IFC 定義の必要な部分集合を記述する手法として、MVD(ModelView Definition)というドキュメント形式を定めています。MVD はプロセスマップや情報交換要件を含んだ IDM(Information Delivery Manual)の内容を取り込み、MVD コンセプトというドキュメントから構成されています。

FM への BIM データ連携を行うには、この IDMMVD によって BIM-FM データ連携のシナリオを定義し、どのような情報が FM 側にわたるかを明確にする必要があるでしょう。ISO19650 において定義されている維持管理フェーズの情報(AIM:資産情報モデル)として、FM に必要な情報要件が定義されることになれば、適切なBIM データ連携を行うことにより、維持管理フェーズへ必要な情報を伝達していくことが可能になると考えられます。

まとめ

維持管理フェーズの AIM に対して、スマートビル、スマートシティ、3D 都市モデルなどの各分野の IDM/MVD 策定ができれば、建築・土木ライフサイクルにおける BIM データ活用が展開できるでしょう。

今後IoT、AI 等の技術の建設、FM 業務への影響が増し、オープンスタンダードは必須になります。BIM-FM と連携している IoT プラットフォームの検討が求められています。

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