建設業界の課題と変革の兆し|最新DX技術を紹介(後編)

建設業では、長年に渡る人手不足が課題となっています。第一回第二回の連載では、建設業の課題解説や生産性向上の必要性についてご紹介しました。今回はそれを踏まえて、最新のDX技術を前編・後編にてまとめています。業務効率化に欠かせないツールをチェックすることで、新たな時代の変革に備えましょう。

BIM

BIM(ビム)とはBuilding Information Modelingの頭文字を取った言葉で、直訳すると「建築物に関する情報のモデリング手法」です。建設工事等で用いられる手法で、3次元データに各種情報を付加して多方面で活用できるのが特徴です。

3D CADと混同されやすいですが、BIMには「コスト、資材、材質、工期目安といった属性情報を追加できる」という点が大きく異なります。これにより、設計から維持管理までライフサイクル全体を通して使えるのがメリットです。

国交省では、2022年度から「建築BIM加速化事業」を創設してBIMの導入を促しています。2023年12月には、国交省が「引き続き令和5年補正予算で事業を実施する」と発表しました。これにより、2024年以降も継続することが決定しています。

BIMはサプライチェーン全体での導入が求められるものの、現状では中小企業では導入が広がっていません。BIMには専用ソフトやツールが必要でコストが掛かることから、補助金を交付することで費用負担を軽減する狙いがあります。

活用事例

2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、建設・不動産分野ではCO2削減が求められています。大成建設では、2023年12月に建築物新築時CO2排出量予測システム「T-CARBON BIMシミュレーター」を開発しました。これは設計段階においてBIMモデルを活用することで、製造・調達・施工時のCO2排出量を短時間で算出できるシステムです。

壁・扉の枚数などの詳細な数量データと、アップフロントカーボンを正確に予測するシステムとを連携させることで、建材ごとのCO2排出量を短時間でより高精度に予測できるのが特徴です。

建材の種類が多岐に渡ることから、従来の計算方法ではCO2排出量の算出に数カ月掛かるのが一般的でした。しかしBIMを活用することで、建材の種類等の情報もスピーディーに反映できます。

CIM

CIM(シム)は(Construction Information Modeling)の頭文字を取った言葉で、具体的な内容はBIMとほぼ同じです。3次元データに情報を付加していくことで業務効率化を図ります。CIMは土木工事が対象となっており、ダムや道路といった比較的大規模なインフラ設備を扱うのが特徴です。

元々はBIMは建築分野、CIMは土木分野と分けられていましたが、国土交通省では、2018年より建設分野全体で3次元化を指すものとして「BIM/CIM」に名称を変更しています。

活用事例

大林組では、現場でのCIM活用に積極的に取り組んでいます。2015年の豪雨で被害を受けた鬼怒川下流域河川築堤工事の際、福井コンピュータ社の「TREND-POINT」、「TREND-CORE」といったCIMツールが採用されています。具体的には、下記の項目でCIMモデルが活用されました。

  • ①CIMモデルと2D図面の整合照査
  • ②既設構造物と新設構造物との接続部確認
  • ③部材の干渉チェック
  • ④数量算出

図面では説明し辛い箇所も、CIMモデルにより問題を視覚的に把握でき、発注者への説明や対策協議もスムーズに行われています。同様に施工段階においても、CIMモデルを用いた施工ステップの制作・品質管理のための属性付与・クラウドを用いた情報共有といった過程でCIMが活用されました。

クラウド管理

建設業での業務効率化を図る手段として、クラウド管理が注目されています。これは情報システムをクラウド上で管理することを指し、自社システムを保有せず他社システムを利用するのが特徴です。

インターネット上で情報を管理するため、社外でもオフィスと同じように仕事ができます。また自社システムを持たないことで、コスト削減にも繋がります。建設業では設計から施工まで多くの関係者が協働してプロジェクトを進めるため、クラウド化することで効率化が図れるのです。

建設業での具体的なクラウド管理システムとしては、「写真・資料管理、日報、工程表、横断工程表(稼働管理)」といった施工管理から、「引合粗利管理、検査報告、社内タスク管理」といった事務作業、「施主報告、チャット」等のコミュニケーションまで幅広いタイプが登場しています。

活用事例

建設業向けのクラウドサービスとしては、「ANDPAD」がシェアNo.1を獲得しています(※ミックITリポート2023年10月号)』(デロイト トーマツ ミック経済研究所調べ)。

クラウド型の建築・建設プロジェクト管理サービスで、現場の効率化から経営改善まで一元で管理できるのが特徴です。直感的で使いやすさにこだわった開発と導入・活用への徹底したサポートで、利用社数18.1万社、ユーザー数46.1万人を超えています。

国交省が運営するNETIS(新技術情報提供システム)にも登録されており、新築・リフォーム、商業建築などの建設現場でスマホアプリを中心に活用されています。

まとめ

本記事では、建設業の最新DX技術についてご紹介しました。人手不足の問題を解決するには、生産性向上や技術の導入が不可欠です。これには導入コストや技術習得の手間が掛かりますが、長期的に見ると業績アップへの貢献が期待できます。建築BIM加速化事業といった補助金制度を賢く活用することで、無理なくツールの導入を進めてみてはいかがでしょうか?

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