【家入龍太氏のセミナーを記事化】2023年絶対に押さえておきたい5大ニュースを解説!(前編)

2023年12月21日に実施しました家入龍太氏によるオンラインセミナー「2023年の建設DXを振り返り。重要ポイントを30分で解説」について、公開いたします。

当日ご参加いただけなかったみなさまは、ぜひ本記事にて2023年を振り返っていただければと思います。

また本セミナーのアーカイブ動画は1月にメルマガ会員様限定で配信予定ですので、動画で振り返りをされたいかたは、ぜひ本年度中にメルマガのご登録をお願いいたします。

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目次

第1章:「カイゼン」から「建設DX」へ

まずはこのテーマからお話しさせて頂きます。
「カイゼン」から「建設DX」へ。ということで、人手不足に対応する、飛躍的な生産性向上と働き方改革というサブタイトルが付いております。

そもそも建設DXとは何かといいますと、建設業にデジタル技術を導入して仕事の進め方を抜本的に変えることで、生産性向上や働き方改革を実現する取り組みということです。
重要なのは生産性向上や働き方改革、こういった実効性をゲットすること、言い換えれば、いかに楽に仕事するかということが大事であります。
ですからITを使うことを目的としているのではなくて、楽をするというのが重要ですからそこにご留意ください。

その中で、建設業の課題といいますと、何といっても今は人手不足です。

図➀
図➁

このグラフ(図①)は講演させて頂くたびにお見せしているのですが、横軸が年代、1950年から2110年までとってありますが、縦軸が日本の人口であります。建設業で重要なのはブルーの部分で、15歳から64歳の生産年齢人口と呼ばれているところです。

実はこの層の人口は1995年からずっと下がり続けておりまして、今後もどんどん減る一方ということでありますから、建設業も人が減る一方という中で何らかの対策をやっていかなければ続かなくなってしまいます。
このイメージ写真(図②)のように、建設業というといまだに人に頼り過ぎているところがあります。建設現場という仮設の職場に多くの技術者、職員さんが集まりまして、鉄筋やセメントなどの素材から手作業で作っているという所がいまだに多くあります。

ところが自動車などではそのような作り方は行っておりません。ほとんどロボットが働いて作っております。建設業もこのようにたくさんの人を集めて工事を進めている、しかも手作業でやっているということはぜいたく過ぎてやっていけなくなる時代がもうそこに来つつあります。

そこで、昨今は労働生産性を上げようということを常に言われておりますけれども、労働生産性というのは労働による出来高や付加価値を総労働時間で割ったもの、つまり人数×労働時間で割ったものですから、労働生産性を上げようと思うと、人数を少なくすることと労働時間を短くすることの両方をやっていくことが大事です。
人数を少なくするにはどうしたらいいかというと、やはりロボットやAIなど人間以外のものに働かせるというのが基本戦略になります。

それから人間の労働時間を下げる。これは徹底的にムダを省くということです。それから超人化する、これはIT機器をいろいろ人間に取り付けまして、生身の人間よりもスピーディーに仕事をやっていくようにする、そういうことが基本的な戦略になります。
ですからイメージとしては、肉体労働はできるだけロボットにやらせる、それから頭脳労働はAIにやらせるという感じです。AIは少し前までは敷居が高かったのですが、今はChatGPTや生成AIが出てきましてぐっと敷居が下がりました。どんどんAIの使い勝手が良くなっているのではないかというような感じがいたします。

次に、人間の労働時間を下げるための特効薬というのは、徹底的に「移動のムダ」もなくして、これを生産時間に振り向けていくというのが基本戦略になります。
建設業というのは、言うなれば中央に工事現場という仮設のオフィスがあり、そこに自宅、支店、役所などいろいろな所から人が行ったり来たりしています。その行ったり来たりするために車に乗っている時間などは一切工事が進みません。ですから、できるだけこの移動時間を少なくして生産時間に充てることが最短の特効薬になるということであります。

これまで「カイゼン」という言葉がよく使われてきましたが、最近はDXという言葉が使われるようになってまいりました。今日は建設DXを振り返るというテーマですので、ではDXとは一体何なのだろうかと思われている方もいらっしゃると思いますが、これははっきりした定義は恐らくないと思うのですが、私の感覚や個人的な主観を交えた説明をしてみますと、まず生産性向上の単位です。
カイゼンの時代は単位が「割」でした。ですから2割向上というのは大成功でした。しかし私はDXの時代は最低2「倍」を目指すべきだと思います。なぜかというと、どんどん人口が減っていきますから、ちまちま2割ぐらいを改善していたのではしょっちゅう改善をしていなければいけないので大変です。
そこを2倍、5倍、10倍という単位で向上させますと後が格段に楽になりますよね。

それからワークフローです。これまでPDCA(plan-do-check-action)を回すということを地道にやっていましたけれども、DXはゼロから見直しをします。やらなくていいことはもうやりません。方法を抜本的に変えてやる、そういうドラスチック、劇的な変化が大事だと思います。

次に仕事場、これまでは会社/オフィスeでしたけれども、DXの時代はクラウドでどこからでも仕事ができます。働き手という点でも、これまでは人間でしたけれども、DXではAI・ロボットも一緒に働きます。
それから人間の能力、これまでは限界がありましたけれども、DXでは超人化するということです。その他の成功要因は、これまで建設業はKKD(経験・勘・度胸)ということで、どうしても年配の方が主導権を握っていましたが、DXはデータドリブンです。データがあれば名人に勝てると言っても過言ではありません。

最後は人事評価です。これまでは労働時間が長い人のほうが「あいつは熱心だ、偉い」と言われていましたけれども、来年から所謂2024年問題も始まりますので、これからは付加価値が評価の基準になるのではないかと思います。ですからこれまでとは180度変わるということです。
例えば、これまで5時に定時退社するとしたら、周りは何となく白い目で見るし、自分は何か落ち着かない、後ろめたい感じがしましたが、今後は5時で終わると、時間内で仕事を効率よく終えて素晴らしいということを会社から率先して言ってくる、といった改革が今は必要なのではないかと思っています。

第2章:5大トレンドで振り返る2023年の建設DX(5位~3位)

それでは本セミナーのメインテーマのお話しに入りましょう。5大トレンドで振り返る2023年の建設DXというお話であります。一歩先の視点で「建設ITワールド」の掲載記事を総点検してまいりましょう。

私は運営する、平日毎日更新をしている建設ITブログより、2023年はどんな記事、ページビューが多かったか、という視点でランキングを作成しました。どういうテーマの記事が何本書かれたかなども重視しまして、そこから年間のベスト5トレンドというのを考えてみました。

第5位「ドローンが運搬機、センサーとして驚きの進化。“空飛ぶクレーン”として100人力を発揮、道なき現場を調査する機動力」

「ドローンが運搬機、センサーとして驚きの進化。“空飛ぶクレーン”として100人力を発揮、道なき現場を調査する機動力」ということでありますけれども、このテーマに沿って書かれた記事が全部で17本ありました。

例えば、「ドローンが“空飛ぶクレーン”になった、ドローンからの音波照射で外壁タイルを“打音検査”」という記事です。打音検査というのはハンマーでやるのがこれまでは当たり前でしたけれども、それをドローンでやってしまうということです。

それから「“においをかぐ”ドローン、屋根を洗うドローン、それから超大型ドローンで150キロの荷物を持ち上げた」というパワフルな話、7トンの資材を運んだなどいろいろあります。これを大きくまとめますと、ドローンが運搬機、センサーとして驚きの進化を遂げたという話題のすごいところは、やはり重量物の運搬、洗浄などの作業をドローンが取って代わるということです。
何十キロという物を持ち上げて作業します。これまでは上からの写真を撮るというのがドローンの主な仕事でしたけれども、クレーンのように持ち上げて作業をするということです。

それから次に「道なき現場」を通る機動力です。やはり工事現場にはいろいろ障害物がありますよね。これまでは四足歩行ロボットなどで車輪タイプのロボットが行けない所を通過することがありましたが、よく考えてみると現場の上空は空間が大体空いていますから、ドローンが空いている空間を自由に伝って移動するという四足歩行ロボット的な活用が増えてきました。

最後はAIや各種センサーとの連携で、写真を撮る以外にもいろいろ、ガス検知器などを付けて飛ぶようになったということであります。

こういったテーマの中から幾つか具体的にご紹介します。

まずは物資輸送手段としての大型ドローンというお話であります。これは山奥に何か鉄塔を建てる場合、これまでは人間が歩荷という手段で荷物を担いで運んでいました。重い人は大体100キロぐらい運ぶそうです。ところが最近、ドローンが強力になってきまして、最大搭載量55キロのドローンで7.1トンの資材を3.5日でピストン輸送したというような記事が出てきました。

大型ドローンで7トンの建設資材を山間部の現場にピストン輸送、コスト、工期大幅に削減

これは今年の5月30日に掲載した記事です。

図➄

「大型ドローンで7トンの建設資材を山間部の現場にピストン輸送、コスト、工期大幅に削減」ということでありまして、左側の写真(図⑤)ではドローンが電線のようなものを吊っていますけれども、これは結構大きいです。
右側(同図⑤)の写真を見ますと4人で運んでいます。それぐらい重いものをドローンが運んでいきます。右下に林の上をドローンが飛んでいる写真がありますが、道を一歩一歩歩く代わりにドローンですっと上から運んでやるということです。

この現場は7.1トンの資材を運んだのですが、最初は100人ぐらい歩荷の人を集めてやろうかと計画していたそうですが、今は100人集めるのは大変ですから、そこでドローンを使って3.5日でピストン輸送したそうです。ドローン1基で100人力になる時代なのだなということで、この記事には大変驚きました。

ドローンからの音波照射で外壁タイルを打音検査

その次の話題です。「ドローンからの音波照射で外壁タイルを打音検査」という記事です。桐蔭横浜大学が欠陥部の検出に成功したということで、この打音検査というのはハンマーでタイルをたたいて、その音で裏が剥がれているかを調べる検査です。

私だったら、まずハンマーを付けたロボットを作って、いかに壁を上らせるかというところを考えるのですが、これはドローンからタイルが共振しやすい音波を出しまして、反射してきたものを右側(図⑥)のレーザードップラー振動計というもので計測します。これはスパイが車の中で会話している人の会話を盗聴するのに使う技術です。

図⑥

フロントガラスにレーザー光線を当てると中でしゃべっている人の声で振動するので、それを聞き取るという技術をこのタイルの調査に利用しました。すごいことだなと、180度やり方を変えたという方法で私はびっくりしました。ドローンからこういったことができる時代になったのだということです。

図⑦

実際にこれをやった結果がこの図(図⑦)です。右側の列にその反射したデータがありますが、1階の所でブルーの中に赤や黄色などが混じっている所があり、ここだけ振動が大きかったということでありますから、ここは剥がれている所ということです。これが可能になったことで、足場をかけての打音検査からガラッと変わった調査に変わるのではないかというふうに思いました。

第4位:「“爆速BIM”銘柄が上場した、完全自動化への秒読みのトンネル工事」

続いては第4位です。

設計、施工、維持管理の遠隔化、自動化が進むということで、「“爆速BIM”銘柄が上場した、完全自動化への秒読みのトンネル工事」というテーマです。これは全部で24もありました。
やはり遠隔操作というのは移動のムダをなくすということと表裏一体です。遠隔操作から自動化に進むということもできますので、やはり非常に話題が多かったです。

例えば西松建設は3Dスキャナー付きの遠隔操作ショベル、それから建築の現場をドローンで遠隔管理する、それからArentが東証グロース市場に上場した、トンネル覆工打設を完全自動化したなど、トンネルの自動化関連がかなり多い印象です。

それから後半も結構ありますけれども、オリエンタル白石が圧気ケーソンのショベルを自動運転した、それからリコーがデジタル管理業務に参加してAI、点群、360度画像でデータ化したといった記事があります。これをかいつまんでみますと、やっぱりBIMモデルを自動作成するというようなこと、それから建機の遠隔操作、自動化というところが非常に大きなボリュームを占めているということであります。

西松建設が3Dスキャナー付き遠隔操作ショベルを開発、空調完備の部屋で山岳トンネルを掘る

まずその一つである、「西松建設が3Dスキャナー付き遠隔操作ショベルを開発、空調完備の部屋で山岳トンネルを掘る」を取り上げたいと思います。これは今年1月16日に掲載した記事です。

図⑧

山岳トンネルというと、いかにも経験工学の土木そのものですね。ドロドロした危険な所で3Kの代表のようなところもあります。発破で落ちなかった所を削り落とすといったところを最前線でやっていたのですが、今は右側のように空調完備の部屋でゲームをやるような感覚で建機を遠隔操作するということであります。ですから遠隔操作というのは本当に大きな第一歩ということです。これまではこのように人間がレバーを操作して動かしていたものを、電気信号でショベルを動かせるようになるということです。しかも離れたとこからできます。

図⑨

これが先ほどの遠隔操作をしている人が乗っているトラックです。(図⑨)
掘削の最前線からちょっと離れた所で、中の涼しい空調の中でやっています。

左側は切羽を3Dスキャンしたデータを取ってきますので、どこにどれだけ掘り残しがあるかというのがこういうふうにビジュアルで分かるということであります。ですから、あとはトラックの距離をどんどん伸ばしていってインターネットでつないでいけば、最終的には地球の裏からこの切羽の作業をやるということもできるというわけです。

さらに、これは電気信号で動いていますから、AIやコンピューターで遠隔操作をする人の代わりに自動運転するという道も開けるということであります。ですから、こういった取り組みというのは西松建設の例ですけれども、スーパーゼネコンなどの大手のトンネルに強い会社は全社といっていいほどこのトンネル工事自動化というところに取り組んでおります。

これはTunnel RemOSというより西松建設の例ですけれども、ドリルジャンボで穴を開けて、そこに火薬を詰めて発破して、掘り残しを赤で付けているバックホウで取った後に計測する、それからコンクリを吹き付けるといったもの、それからあとはセントルという内巻きコンクリートを打設する型枠がありまして、そういうのも含めて大幅に自動化が進んで、各社とも完全自動化寸前ぐらいまで行っていますから、このような一番経験工学であると思われていた土木のトンネル工事が無人化、自動化の第1号になるのではないかというぐらいの勢いで進んでおります。来年が非常に楽しみであります。

“ポツンと建つ”送電施設をドローンで遠隔監視!センシンロボティクスらが実証に成功

次に、遠隔監視というのもあります。ここでは「“ポツンと建つ”送電施設をドローンで遠隔監視!センシンロボティクスらが実証に成功」を取り上げます。人が歩いていったり道なき道を行ったりと結構大変ですが、そこにドローンの家のようなものを付けておき、定期的にドローンの家からドローンが飛び立ってぐるっと回って設定された様々な箇所を点検します。

図⑪

例えばこういうふうにメーターが機器に付いたもの(図⑪)ですが、メーターの数値もこの右下のようにクリアに読み取れるように画像で送ってくるというようなことが可能になりました。左側がドローンから送ってきた画像です。鉄塔の外の所もこうやって点検できます。それから右側の写真の下にカバーが付いた装置がありますが、これがドローンの家です。ドローンが帰ってきたら自動的にこの中に着陸しますとカバーがすっと閉まって中で充電をしてくれます。ドローンの足の所に電極が付いていまして充電してくれるということになっております。こういったドローンを人の目の代わりに使って現場を遠隔監視するという技術は、この鉄塔以外にも工事現場の管理といったところにも使われ始めております。

鹿島が成瀬ダム現場の“工場化”を達成した、回転パイプ、無人後進ダンプで材料搬送を完全自動化

他にも、これは自動化の話ですが、「鹿島が成瀬ダム現場の“工場化”を達成した、回転パイプ、無人後進ダンプで材料搬送を完全自動化」、これは10月に掲載した記事であります。

図⑫

『日経コンストラクション』の最新号(2023年12月号)にもこの記事が取り上げられていましたけれども、右側の写真(図⑫)をご覧ください。

右側の端の所にさまざまなダムのコンクリートを作る設備がありまして、それがベルコンで運ばれてきまして、右岸天端という所まで行きます。そこからパイプで下に下ろして、そこから、ダム用のコンクリートはカチカチですけれども、これをダンプトラックに積んでこの打設の所まで行くということです。

この動きですが、見た目はトラックなのですが完全無人化で、ベルトコンベヤーのようなものになっています。人間がやると運転席が前に行くように常に切り返しを行う必要がありますけれども、これは完全無人化していますので、そのままバックして、それでまた下ろすという、繰り返す動きをしています。こちらの操縦をしているのがこの左側の写真ですけれども、約400キロ離れた鹿島西湘実験フィールドという所から遠隔操作ができるということですから、外国からでもやろうと思ったらできるということです。

ですから、一見これまでの現場と変わりませんけれども、やっていることは無人化、工場化になってきたということであります。

“爆速BIM”銘柄、Arentが東証グロース市場に上場

それから「“爆速BIM”銘柄、Arentが東証グロース市場に上場」という記事です。株価もストップ高ということでした。

図⑬

最初は公募価格1,440円だったのですけれども、右(図⑬)がつい先日キャプチャを撮ったのですが、いったん7,000円ぐらいには上がりました。今は4,000円ぐらいで落ち着いていますが、やはりBIMの自動化による生産性向上というのは株式市場からも注目されているなということでありまして、なかなか興味深い事例ではないかと思います。

第3位:「建設用3Dプリンターが「本気」を出し始めた。大規模構造物建設で工期短縮や省人化効果を発揮!大阪万博でも注目」

それから第3位、「建設用3Dプリンターが「本気」を出し始めた。大規模構造物建設で工期短縮や省人化効果を発揮!大阪万博でも注目」ということであります。3Dプリンターの記事も結構数が多く、10本程度ありました。

日本ではPolyuse、それからセレンディクスという会社が有名でありまして、スーパーゼネコンさんもそれぞれ独自に取り組んでいるところでございますけれども、ここでいう3Dプリンターの「本気」というのは、実験段階からもう実用段階に進んだということです。実際に構造物や建物を造り始めたということです。

それから「型枠レス施工」による効率化を実現しました。これで圧倒的に工数が削減されると実証されていました。また、大規模構造物でも活用されるということです。実験的に小さいものを、ということではなくて大きい本設のものを造り始めたということであります。

セレンディクスが3DプリンターでSRC造住宅を建設!二世帯用で価格は550万円

まず、セレンディクスが3DプリンターでSRC造住宅を建設しました。2人世帯用で価格は550万円ということです。
セレンディクスという会社は非常にテレビを始めとするメディアによく出ている会社で、今年、左側(図⑭)のフジツボモデルという50平米ぐらいの建物を3Dプリンターで造りました。

図⑭

この特徴は常に金額をきちんと提示するというところです。550万円で2人が暮らせる家だということで、車を買う感覚で家を買えるようにしようというビジネスモデルを非常に大切にしている所なのではないかと思いました。
ジャパンビルドの建設DXの大阪版で、ここの飯田社長が講演して提案されておりましたが、万博のパビリオンの建設が遅れているので、箱型のパビリオンの内装や外装などを3Dプリンターでやったらどうですかと?といったところ、産経新聞が大々的に取り上げまして、吉村知事がXで「これは面白いね」というふうに反応したということでありました。
これで吉村さんのツイートを多くの人が目にしたということで、3Dプリンターの威力というのを一般にかなり知らしめたのではないかなと思います。

Polyuseの3Dプリンターで擁壁工事の工期を4割短縮した、NETIS登録も完了

その次の事例は、「Polyuseの3Dプリンターで擁壁工事の工期を4割短縮した、NETIS登録も完了」ということで、これは今年11月に掲載した記事であります。

図⑮

左側(図⑮)のようにがけ崩れが起こりそうな所に擁壁を並べまして、その上にさらに落石止めの壁を造るという工事なのですが、この箱は3Dプリンターで造りました。
右側がその3Dプリンターなのですが、縦横に動くノズルがありまして、それで一個一個造っていきました。その結果、この箱自体が型枠になっていまして、この中にコンクリートを流し込んでしっかり現場に固定するという方法です。

これまでのように解体する木の型枠が要らないということで4割工期短縮ができる、実際はもっと短縮できたようですが、そういうことで、型枠の要らないコンクリート工事というものの圧倒的な生産性の高さを印象付けました。

日本初、大林組が大型海洋構造物を3Dプリンターで製作!工期、作業員をそれぞれ6割も削減

その次は大きいタイプです。「日本初、大林組が大型海洋構造物を3Dプリンターで製作!工期、作業員をそれぞれ6割も削減」、これも11月の記事です。

図⑯

さっきと同じぐらいです。左側の写真(図⑯)ではクレーンで吊っていますけれども、この吊っているものが3Dプリンターで造ったものです。右側では結構大きい形をしていますね。

これは神奈川県の海岸の浸食を止める構造物なのですが、左側のようにこういった台形のようなものを海中に沈めまして、そこで浸食を防ぐというようなものです。右側のように部材を1、2、3というふうに並べまして、これは中の部分が空洞になっていますので、吊り上げる時小さなクレーンで済むわけですね。安全に施工できますし、コストも下がるということでこういった大きな構造物にも使われるようになってきた、といことがわかります。

後半は第2位、1位をついに発表!

ここまで、家入氏が2023年に注目するニュースを第三位までピックアップしました。
第2位、そして1位は後編にてお届け予定です
後編は12月29日UP予定、ぜひご覧ください。

登壇者のご紹介:建設ITワールド 家入 龍太氏

【運営会社】
株式会社 建設ITワールド 
代表取締役 家入 龍太
https://ken-it.world/

【活動内容】
BIM/CIMやi-Construction、ロボット・AIなどの導入により、コロナ禍対策と生産性向上の両立、地球環境保全、国際化、さらには建設DXの実現といった建設業が抱える経営課題を解決するための情報を「一歩先の視点」で発信し続ける建設ITジャーナリスト。