【2026年 最新情報】WBGT値(暑さ指数)とは|建設業での熱中症予防対策も紹介

トレンドワード:WBGT値(暑さ指数)

近年は全国的に猛暑日が増加しており、屋外での作業が多い建設業では熱中症対策の重要性が高まっています。とくに熱中症のリスクを判断する指標として活用されているのが「WBGT値(暑さ指数)」です。

WBGT値は気温だけでなく湿度や日射の影響も考慮して算出されるため、現場の危険度をより正確に把握できます。本記事では、WBGT値の概要や基準値、建設業で重要視される理由に加え、2025年から義務化された熱中症対策の内容や具体的な予防策について分かりやすく解説します。

WBGT値(暑さ指数)とは

WBGT(Wet Bulb Globe Temperature:湿球黒球温度)は、熱中症の危険度を評価するための指標です。単純な気温だけでなく、湿度や日射・照り返しなどの輻射熱、風の影響も考慮して算出されるのが特徴です。

そのため、同じ気温でも湿度が高い日や直射日光が強い日はWBGT値が高くなります。環境省や厚生労働省では、熱中症予防や作業管理の指標としてWBGTの活用を推奨しており、建設現場をはじめとする屋外作業の安全管理に欠かせない数値となっています。

WBGTの計算式

WBGTは、自然湿球温度(湿度の影響を反映する温度)、黒球温度(日射や地面からの照り返しの影響を反映する温度)、乾球温度(一般的な気温)を用いて算出します。一般的な計算式は、下記の通りです。

屋外で日射がある場合:WBGT=0.7×自然湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度

屋内や日射のない場所:WBGT=0.7×自然湿球温度+0.3×黒球温度

実際の現場では、専用のWBGT測定器やアプリを利用して確認するケースが多くなっています。

WBGTの指数・基準値

WBGT値は数値が高いほど熱中症の危険性が高まります。一般的に25未満は「警戒」、25以上28未満は「警戒~注意」、28以上31未満は「厳重警戒」、31以上は「危険」とされ、積極的な熱中症対策が必要です。

厚生労働省や関連機関では、作業強度や暑熱順化の状況に応じた基準値も示しています。特に建設業では重労働や屋外作業が多いため、WBGT値が高い日は休憩時間の増加や作業内容の見直しなど、状況に応じた管理が求められます。

建設業でWBGT値が重要な理由

ここでは、とくに建設業でWBGT値が重要とされる理由について解説します。

建設業は熱中症リスクが高い業種

出典:国土交通省,STOP!熱中症,https://www.mlit.go.jp/common/001292278.pdf,参照日2026.6.14

建設業は屋外での作業が多く、直射日光や地面からの照り返しの影響を受けやすい業種です。また資材の運搬や重機の操作など身体への負荷が大きい作業も多いため、熱中症のリスクが高まります。

実際に、2020~2024年の熱中症による業種別死傷者数の割合は「建設業が20%」と最も高くなっています。作業員の安全を確保するためには、気温だけでなくWBGT値を把握し、暑熱環境を適切に管理することが重要です。

WBGT値が作業管理・作業制限の目安になる

WBGT値は、熱中症の危険度を客観的に判断するための指標です。建設現場では、WBGT値に応じて休憩時間を増やしたり、水分・塩分補給を促したりするなどの対策を講じられます。

またWBGT値が危険な水準に達した場合は、作業時間の短縮や作業内容の見直しを検討するケースもあります。これにより、現場責任者の経験や感覚だけに頼らず根拠に基づいた安全管理を実施できます。

労働災害の防止につながる

熱中症は重症化すると意識障害やけいれんを引き起こし、死亡事故につながる恐れがあります。また体調不良による集中力の低下は、転落・墜落や重機との接触など二次災害の原因にもなります。

WBGT値を定期的に確認し、適切な熱中症対策を講じることで、作業員の健康被害だけでなく労働災害全体の防止につなげることが大切です。安全で働きやすい現場づくりのためにも、WBGT値の管理は欠かせません。

2025年以降、職場における熱中症対策が義務化|厚生労働省

出典:厚生労働省,職場における熱中症対策の強化について(令和7年6月1日施行),https://jsite.mhlw.go.jp/toyama-roudoukyoku/news_topics/oshirase/0706nechushokyoka.html,参照日2026.6.14

2025年6月1日より、熱中症の重篤化を防止するために労働安全衛生規則が改正されました。ここでは、改正内容について分かりやすく解説します。

改正労働安全衛生規則とは

2025年6月1日に施行された改正労働安全衛生規則では、職場における熱中症対策が事業者の義務として明確化されました。対象は「WBGT値28℃以上または気温31℃以上の環境で、継続して1時間以上または1日4時間を超えて行われる作業」です。

事業者は熱中症の自覚症状がある作業者や異変に気付いた従業員が速やかに報告できる体制を整備するとともに、重症化を防ぐための対応手順を事前に定め、関係者へ周知する義務があります。

義務化に対応するために必要な取り組み

熱中症対策の義務化に対応するためには、まず熱中症発生時の報告体制を整備し、連絡先や担当者を明確にすることが重要です。また作業からの離脱、身体の冷却、医療機関への搬送など、重症化を防止するための対応手順をあらかじめ策定し、作業員へ周知する必要があります。

さらにWBGT値の継続的な測定や監視、水分・塩分補給の徹底、適切な休憩時間の確保など、日常的な熱中症予防対策も欠かせません。とくに建設現場では、現場責任者と作業員が熱中症リスクを共有し、迅速に対応できる体制づくりが求められます。

建設業における熱中症の予防対策

ここでは、建設業における熱中症の予防対策について解説します。

アプリで情報を管理する

出典:カオカラ,トップページ,https://kaokara.jp/,参照日2026.6.14

熱中症対策を効果的に進めるためには、WBGT値や気象情報、作業員の体調などをリアルタイムで把握することが重要です。近年では、WBGT値の確認や熱中症リスクの通知ができるアプリも普及しており、現場管理に活用されています。

例えば暑熱対策AIカメラ「カオカラ」は、建設現場作業者の顔分析により、4段階のリスク判定で状態をチェックできます。アプリを利用することで、現場責任者と作業員が同じ情報を共有しやすくなり、危険な環境下での作業を未然に防ぐことが可能です。

休憩時間を確保する

高温環境下での作業が続くと、体温調節機能が追いつかず熱中症のリスクが高まります。そのため定期的な休憩時間を設け、身体を十分に休ませることが重要です。

とくにWBGT値が高い日は、通常よりも休憩回数や休憩時間を増やすことが推奨されます。休憩場所には日陰や冷房設備を用意し、水分や塩分を補給できる環境を整えることも大切です。

夏季休工を取り入れる

出典:国土交通省,「猛暑を避けた働き方改革・担い手確保」の取組みについて,https://www.ktr.mlit.go.jp/kisha/kisha_02590.pdf,参照日2026.6.14

近年は猛暑日が増加しており、時間帯によっては通常の熱中症対策だけでは十分な安全確保が難しい場合があります。そのため、気温が特に高くなる時期に夏季休工を導入する企業も増えています。

実際に国土交通省・関東地方整備局では、2025年に猛暑期間(7~8月)に現場作業を休工(内業または準備期間)する取り組みを試行的に実施しました。

夏季休工は、熱中症による健康被害や労働災害のリスクを低減できるだけでなく、作業員の心身の負担軽減にもつながります。工期や発注者との調整は必要ですが、安全を最優先に考えた現場運営の取り組みとして注目されています。

まとめ

WBGT値は、気温だけでは把握できない熱中症リスクを評価するための重要な指標です。とくに建設業は高温環境での作業が多く、WBGT値を活用した安全管理が欠かせません。また2025年からは職場における熱中症対策が義務化され、事業者には報告体制や対応手順の整備が求められています。

作業員の安全を守るためにも、WBGT値の継続的な確認や休憩時間の確保、情報管理の仕組みづくりなど、現場に合わせた熱中症対策を進めましょう。