WBGT(暑さ指数)をわかりやすく解説|猛暑日で現場作業中止も

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「WBGT(暑さ指数)」についてピックアップします。過酷な猛暑日では、建設現場での熱中症リスクが高まります。本記事ではWBGTの概要や国交省の新基準、おすすめの熱中症対策デジタルツールについてご紹介していきます。

WBGT(暑さ指数)とは

ここでは、WBGT(暑さ指数)の概要や基準値の目安についてご紹介します。

WBGTとは

WBGTとは、熱中症予防のために用いられる指標です。人体と外気との熱収支に着目し、「湿度・輻射・気温」の3つで算出されます。1954年にアメリカで提唱されてから、労働環境や運動環境の指針として広く活用されています。

WBGTは、屋外と屋内で算出方法が異なります。具体的な計算式は、下記の通りです。

  • 屋外での算出式:WBGT =0.7 × 湿球温度 + 0.2 × 黒球温度 + 0.1 × 乾球温度
  • 屋内での算出式:WBGT =0.7 × 湿球温度 + 0.3 × 黒球温度

WBGTの目安

厚生労働省では、WBGTの指針について表のように定めています。特に「WBGT 31以上の場合は危険」とされており、外出はなるべく避け、涼しい室内に移動することが推奨されます。

WBGTが高いとどうなる?

WBGTが高いと「熱中症」を引き起こしやすくなります。厚生労働省のデータでは、「WBGTが28を超えると熱中症発生率が急増する」という結果が出ています。

熱中症には誰でもかかるリスクがあり、最悪の場合は意識障害や死に至るケースもあります。対策としては「冷たい水分を摂る」、「脇の下や首筋を冷やす」といったことが有効です。

建設業は熱中症発生率ワースト1位

厚生労働省の調査では、令和4年度の熱中症による死亡者数は827人でした。そのうち「全体の4割が建設業と製造業」という結果が出ており、建設業での熱中症リスクの高さが明らかになっています。

それぞれの事例を詳しく見ると、死亡災害では多くの場合暑さ指数(WBGT)を把握せず、熱中症予防のための労働衛生教育が行われていませんでした。また「休ませて様子を見ていたところ容態が急変した」、「倒れているところを発見された」など、熱中症発症時・緊急時の措置も不適切でした。

WBGTの作業中止基準

具体的なWBGTの作業中止基準としては、環境省が上表の目安を作成しています。WBGT値に応じて、適切な休憩時間を設けましょう。

  • WGBTが基準値程度~1程度超過レベル:1時間当たり15分以上の休憩
  • WGBTが2程度超過レベル:30分以上の休憩
  • WGBTが3程度超過レベル:45分以上の休憩
  • WGBTが4以上超過レベル:作業中止

また作業者が暑さに十分慣れていない場合には、WGBT値が低くても作業を中止することが推奨されています。

国交省|猛暑日を考慮した工期設定を推進

国土交通省は、2023年4月に直轄土木工事の工期設定指針を改訂しました。その中で「猛暑日」が天候不良による作業不能日として新たに追加されています。

8時から 17時までの「WBGT値が31以上」の時間を足し合わせた日数とします。猛暑日数は、過去5年間の気象データから、地域ごとの年間の平均発生日数を算出することを基本とします。

建設業での熱中症対策|デジタルツールを活用

建設業では、デジタルツールを活用した熱中症対策が進められています。ここでは、主なおすすめITツールについてご紹介します。

①みまもりがじゅ丸|ウェアラブルIoT

「みまもりがじゅ丸」は、NTTPCによるウェアラブルIoTサービスです。「脈拍」や「位置情報」を専用のウェアラブル端末で取得し、体調の変化がリアルタイムで分かります。

熱中症の恐れがあると判断されれば、アラートで危険をお知らせする機能があります。目視では体調不良に気づきにくい場合でも、バイタルデータの変化により客観的な判断ができます。

「ウェアラブル端末」について詳しくは、下記記事をご覧ください。

おすすめのウェアラブルデバイスとは?|最新型未来のツール紹介

目次トレンドワード:ウェアラブルデバイスウェアラブルデバイスとはウェアラブルデバイスの活用事例①ヘルスケアウェアラブルデバイスの活用事例②建… more

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②SisMil(シスミル)|WBGTをクラウド管理

SisMil(シスミル)は、WBGTなどの環境測定値を一元管理できるクラウド型システムです。電子式WBGT指数計で温湿度を計測し、クラウドへ送信します。積層表示灯を接続することで、WBGT値の変化や危険を音や光でセンサー周囲の作業員にお知らせする機能も付けられます。

元々SisMilは、大林組が開発した「暑さ指数ウォッチャー」というシステムでした。2022年にCO2濃度や風速といったオプション機能を追加し、新たにSisMilと改名されたという経緯があります。

建設現場だけでなく、工場、学校、病院、災害等避難所、農作業場など、さまざまなシチュエーションで活躍しています。

③@WEEK Lite|デジタルサイネージ

@WEEK Liteは、工事現場向けデジタルサイネージです。仮囲い・朝礼看板・事務所・詰所など、幅広い場面で活躍します。

週間工程表や天気予報、近隣向けお知らせといった、基本コンテンツの表示が可能です。またWGBT(熱中症指数)、騒音振動計表示もオプションで追加できます。すべてのデジタルサイネージをクラウド管理できるため、一斉配信できて業務効率化に繋がります。

まとめ|WBGT値を守って安全な工事を

年々猛暑が過酷になっている中、建設現場では毎日多くの方が汗を流して作業されています。熱中症は甘く見られがちですが、死に至ることもある恐ろしい症状です。WGBT値を適切に把握し、デジタルツールを適宜活用するなどして現場の安全性を高めましょう。