建設業界の課題と変革の兆し|最新DX技術を紹介(前編)

建設業では、長年に渡る人手不足が課題となっています。第一回第二回の連載では、建設業の課題解説や生産性向上の必要性についてご紹介しました。今回はそれを踏まえて、最新のDX技術を前編・後編にてまとめています。業務効率化に欠かせないツールをチェックすることで、新たな時代の変革に備えましょう。

AI

生成AIとは機械学習や人工知能の一分野で、データから新しい情報を生成する技術のことを指します。芸術、音楽、医療画像の生成、文章や画像の修正、新しいアイデアの創出など、様々な分野で活用されています。

活用事例

建築業界では、大林組が生成AI「AiCorb(アイコルブ)」を開発しています。これはスケッチや3Dモデルからさまざまなファサードデザインを提案できるAI技術で、2023年7月には社内運用が始まっています。具体的には、文章で「ガラスカーテンウオールのある洗練されたオフィスビル」といったデザインのイメージを指示すれば、複数のパターンを提案してくれます。

従来まではスケッチやデザイン作成を手作業で行っており、顧客の要望と合わない場合には再度やり直すプロセスが必要でした。しかしAiCorbを活用すれば、業務効率化と顧客満足度の向上に繋がります。

3Dプリンター

3Dプリンターは、建築資材や建築物のスピーディーな製作を可能にします。プリンターを用いて「印刷」することで構造物を形成する技術で、最近では建築・住宅分野にも活用が広がっています。

活用事例

2023年11月17日には、大林組が国内で初めて大型構造物に3Dプリンター製のプレキャスト(PCa)部材を適用しました。

既存の工法でもPCaパネルを搬入しますが、パーツが多く、搬入や荷下ろしに時間を要するのがデメリットでした。さらに海中への据え付け前に組み立て作業が必要となり、天候に左右されるのも課題でした。

今回の工法では3Dプリンターで制作した外殻を海中に据え付け、後からスリムクリートを充てんする方式が採用されています。これにより、先端部ブロックの据え付けにかかる工期を15日から6日に短縮できました。作業人数も延べ96人から42人へ削減でき、工期短縮と省人化を実現しました。

大林組ではセメント系材料を用いた3Dプリンター建設の研究をさらに進め、今後も安全・安心なインフラの構築に貢献するとしています。2024年には、さらなる活用事例が見られることが予想されます。

また住宅分野では、3Dプリンター住宅メーカーのセレンディクスが注目されています。2023年12月15日には、不動産デべロッパーのヤマイチ・ユニハイムエステートと業務提携したことが話題になりました。

「30年の住宅ローンを失くす」というミッションを掲げるセレンディクスでは、すでに日本初の二人世帯向け3Dプリンター住宅serendix50(フジツボモデル)を愛知県小牧市に竣工しています。今回の業務提携で、次世代のスマートシティデザインとなる住宅タウンプロジェクトが始動する予定です。

ウェアラブルカメラ、ネットワークカメラ(遠隔臨場)

ウェアラブルカメラとは、「身体に装着して使用できるカメラ」のことを指します。頭部や目の高さなどに装着すれば、まさにその人が見ているままのような映像が撮影できます。

最近ではスポーツ用や娯楽用の安価なウェアラブルカメラも豊富にあり、SNSでの動画配信にも活用事例は多いです。また業務用としては、工事や建設現場での活用が進んでいます。

実際に国土交通省では、2022年度から「遠隔臨場」を本格的に実施しています。遠隔臨場とは、公共工事における「段階確認・材料確認・立会」の業務を遠隔地から確認することを指します。ウェアラブルカメラやスマホなどを使うことで、その場にいなくても現場の確認作業が行えるのがメリットです。

活用事例

Safie(セーフィー)は、防犯カメラのクラウド録画サービスです。カメラをインターネットに接続するだけで、スマホやPCから映像を確認できます。

店舗の防犯カメラとしてだけでなく、建設現場の省人化や災害発生時の遠隔確認といった使い方も広まっています。

「Safie Pocketシリーズ」は小型・軽量のため、作業者が身に付けるウェアラブルカメラとして活用されています。電源を入れ、カバーを下ろすだけで録画が開始されます。録画中にフルHD写真を撮影することも可能で、本部からは遠隔で現場の映像を視聴したり、装着している現場従事者と会話したりする機能も搭載されています。

ドローン

ドローンとは、遠隔操作や自動操縦で動作する小型無人航空機のことを指します。ドローンは様々な目的に使用され、航空写真、観測、調査、災害対応、農業、建設などの分野で幅広く活用されています。

具体的には、高精度な測量や地形調査での利用が進んでいます。建設現場の正確な地形データを取得することで、設計段階から施工計画を効果的に進められます。またセキュリティ監視や施工現場全体の状況把握でも活用が広がっており、省人化の流れを加速させています。

活用事例

大林組らは、目視外で自律飛行するドローンシステムを開発しました。2023年2月には、三重県伊賀市の川上ダムに自動充電ポート付きドローンを設置する実証を行いました。

ドローンを自律飛行させることで、ダム建設における現場監理業務を80%削減できることを確認しています。ドローンにより建設現場や既存インフラの巡視、点検、計測、異常検知を自動で行うことができ、建設現場監理者の日常的な管理業務を大幅に削減できます。

人口減少社会の到来に備え、将来的にはインフラ点検で目視規制を廃止することや、建築申請、現場巡視を定点カメラで代替することも視野に入れた取り組みが求められています。

まとめ

本記事では、建設業の最新DX技術についてご紹介しました。人手不足の問題を解決するには、生産性向上や技術の導入が不可欠です。これには導入コストや技術習得の手間が掛かりますが、長期的に見ると業績アップへの貢献が期待できます。後編では、BIM/CIM、クラウド管理についてご紹介します。

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