ホーム テーマ BIM 国土交通省関連情報 【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題③ISO19650 プロセスと情報要件定義(AIR)(連載)

【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題③ISO19650 プロセスと情報要件定義(AIR)(連載)

掲載日:2022年07月14日

他の連載記事はこちら

第一回:【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題①BIM を活用した管理領域、OIR の定義(連載)

第二回:【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題②ライフサイクルコンサルティング業務(連載)

第三回:【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題③ISO19650 プロセスと情報要件定義(AIR)(連載)

第四回:【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題④国際標準、オープンBIM、IFCの説明(連載)

第五回:【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題⑤ソフトウェア・エコシステムの俯瞰(連載)

第六回:【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題⑥共通データ環境CDE-BIMsyncの説明(連載)

第七回:【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題⑦CDEの位置付け(連載)

第八回:【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題⑧設計、属性情報の管理プロセス(dRofus)(連載)

第九回:【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題⑨引渡、FM 向け、レコードモデルの比較(SimpleBIM の利用)(連載)

第十回:【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題⑩ライフサイクル BIM 更新プロセス (連載)

「建築BIM推進会議」について詳しくまとめた記事は、こちらをご覧ください。

概要

事業の目的

鹿島建設では、令和3年度 BIM を活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業(パートナー事業者型)として、「BIM を活用した建物ライフサイクル情報管理とデジタルツイン及びソフトウェア・エコシステムによる支援の検証」を実施しています。

大きなテーマとしては以下2点を掲げています。

  1. ①BIM データの活用・連携に伴う課題の分析
  2. ②BIM の活用による生産性向上、建築物・データ価値向上、様々なサービスの創出等を通じたメリットの検証

さらにテーマを分析する課題として、下記2つの課題を設定。

  • 課題 A) 運営維持段階へ引き渡す BIM の作成、資産情報モデル(AIM)の整備と情報共有プロセスの最適化
  • 課題 B) 運営維持段階で活用するライフサイクル BIM の整備、情報の充実化、更新、情報価値の向上

次世代BIM-FM検証のために必要なBIMに対する情報要求をプロジェクトの初期段階で確定し、BEPに反映させます。BIMに加えてスマートBMソリューションとの連携によってデジタルツインを構築し、建物の情報を一元管理。現在の情報管理プロセスの非効率性と冗長性を継続的に特定・改善し、BIMデータの有効性、恒久性、拡張性、及び、公共性を確保することを目標としています。

物件概要

課題AとBについて、新築・既存物件の場合において検討ができるよう、新築物件の「博多コネクタ」と既存物件の「両国研修センター」を対象物件としています。

新築物件である博多コネクタ(旧名:博多駅前四丁目)は、鹿島建設が中長期的に所有している賃貸オフィスビルです。ビル管理業務(以下 BM 業務)と不動産管理業務(以下 PM 業務)の双方を鹿島建物総合管理が実施しており、当該物件の BM・PM 業務の状況について、定期的に報告を受ける体制を築いています。このため、鹿島グループが連携して組織・AIR を整理し、データベースの構築を行うことが可能となっています。

既存物件で改修工事を行う両国研修センターは、鹿島建物総合管理が所有者で、社員の運営維持管理業務の研修のために利用している施設です。鹿島建設は鹿島建物総合管理とともに、グループ連携の一環として、オープン BIM を活用した FM ソリューション(施設の運営維持管理)や、鹿島のスマート BM(以下スマート BM)との連携等を開発する対象物件として、両国研修センターを 3 年前に選定。その過程において、当該物件の施設管理の最適化の検証に着手しています。

分析する課題:ISO19650 プロセスと情報要件定義(AIR)

運営維持管理に必要となる資産の分類とグループ化、詳細度の設定と属性情報の定義を行い、関連ドキュメントを収集して、資産情報モデル(AIM)を作成しました。さらに、既存の BIM からの簡略 BIM 作成方法、分類体系の管理業務への適合性を検討。ここでは、それぞれの項目について検討した主な内容のポイントをまとめていきます。

必要情報詳細度(LOIN – Level Of Information Needed)

維持管理 BIM モデルの要件をまとめる時に、グラフィックデータの詳細度(LOD)は課題となります。理想的には、メーカーのきめ細かい幾何学情報まで含むライブラリを利用せずに、LOD の低い簡略モデルを作成することが推奨されます。しかしメーカーが提供する製品詳細情報が BIM にしか記録されていない場合、その情報を BIM ライブラリから抽出し、簡略 BIM ないし、資産情報モデル(AIM)に反映させる必要があるのです。

今回は、両国研修センターの要素数と詳細度は BIM ビューアーのパフォーマンスにほとんど影響を与えませんでした。一方、博多コネクタの要素数は 15 万個以上と比較的多く、特に設備モデルの詳細度も高かったため、FM ソリューション内に BIM を表示したところパフォーマンスの課題が発生。BIM の詳細度によって現れた BIM ビューアーのパフォーマンスの課題に対する解決策として、以下のことを実施しています。

1.可能な場合は BIM オブジェクトの詳細度を下げた
2.IFC の統合モデルを利用して、建築と設備を分けて、階毎に BIM を作成した
3.分けた BIM の表示を簡単に切り替えられる機能を BIM ビューアーに追加した
4.開発者と協力して BIM ビューアーそのもののレンダリング方法を改善した

資産同士の関係性

資産情報の重要な部分は、資産同士の関係性を整理することにあります。次のオブジェクトの関係性を整理できるようにグループ化を行いました。

1.設備要素と系統の関係性
2.スペース要素とゾーンの関係性
3.機能(EF)、製品群(Ss)、製品(Pr)の関係性

1.設備要素と系統の関係性

IFC 系統は Rebro を利用して、建物、階、部屋の配置場所をもとにして、設備の親子関係を整理してモデリングしました。

2.スペース要素とゾーンの関係性

両施設はテナント管理を行っているため、ゾーンを以下の四種類に合わせて定義しました。

・共用部、テナント専用部とオーナー専用部のゾーン
・入室可能な時間、曜日の指定のあるゾーン
・入室に立ち合いが必要なゾーン
・セキュリティゾーン

3.分類体系

両物件では国内外の分類体系(BELCA,C-CADEC 等)の利用を検討した結果、Uniclass2015 の標準分類コードを使用して情報を体系化しています。

仕上げ情報の定義と入力先

仕上げ情報のよりよい入力方法についても検討を行いました。今回の二つの物件においては、仕上げ情報の入力として次の三つの方法が採用可能であると判断。

入力先について
パターン①:それぞれモデリングして、床,巾木,壁,天井,廻り縁に入力する
パターン②:スペースに表中の全項目を入力する
パターン③:BIM 上には入力せず表中の項目が記載された仕上げ表(Excel)を用意する

最終的に、FM ソリューションの BIM ビューアーで仕上げ情報を直接確認できるように、スペースの属性情報の一種類として、スペースに仕上げを登録することとなりました。

AIR に含まれる属性項目の進化について

BIM に属性情報を入力する際の課題は、できる限り早期の段階で定義づけが求められることです。また固定したリストではなく、設計、施工の過程で継続的に更新され、進化するリストにする必要も。そのために、属性情報を定義するダイナミックな手法を考えながら、それを支援するツール(dRofus や SimpleBIM)を含めて検討しました。属性情報を確定する過程で項目数が減り、最低限必要なリストに絞ることに。

コアデータには以下が含まれます。

• 資産 ID や資産名、一般的な識別データ。
• ロケーションデータ: 階の ID、スペース ID、スペース名。
• システム(系統): 資産間の関係。(例えば、冷却装置とポンプの関係性)
• 分類またはカテゴリデータ:(例えば、ファンは製品の一種である、Uniclass2015 相当)

また、製品情報には以下が含まれます。

• 製造、供給データ: 製造業者名、製品番号、仕入先名。
• 保証データ: 保証終了日、保証期間 (部品も)。
• 寸法データ: 面積 (スペース/部屋)、高さ、長さ、幅、厚さ(製品)。
• 組成データ: 材料、色、仕上げ。
• 外部参照データ、製品データシートや保証への参照等

まとめ

BIM 作成の費用の観点から考えると、要求する情報を明確にかつ、合理的に定義し、項目数を必要最低限に抑えることが重要と判明しました。これにより、情報要件整理の際に、施主と管理者が必要な情報が最新の状態ですぐに取り出せるように、共通の名称や分類コードが重要と分かりました。

今後も課題への対応を設計、施工に反映させて、運営維持管理データのフロントローディングを行うように展開していく必要があるでしょう。

あわせて読みたい

BuildApp Newsとは

BuildApp News は
建設DXの実現を支援する
BIMやテクノロジーの情報メディアです。

建設業はプロセス・プレイヤーが多く、デジタル化やDXのハードルが高いのが現状ですが、これからの建設業界全体の成長には「BIM」などのテクノロジーを活用した業務効率化や生産性の向上、環境対応などの課題解決が不可欠と考えます。

BuildApp Newsが建設プレイヤーの皆様のDXの実現の一助となれば幸いです。

注目の記事

BIM の人気記事

もっと見る