ホーム テーマ BIM 国土交通省関連情報 【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題⑦CDEの位置付け(鹿島用途)(連載)

【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題⑦CDEの位置付け(鹿島用途)(連載)

掲載日:2022年08月11日

他の連載記事はこちら

第一回:【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題①BIM を活用した管理領域、OIR の定義(連載)

第二回:【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題②ライフサイクルコンサルティング業務(連載)

第三回:【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題③ISO19650 プロセスと情報要件定義(AIR)(連載)

第四回:【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題④国際標準、オープンBIM、IFCの説明(連載)

第五回:【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題⑤ソフトウェア・エコシステムの俯瞰(連載)

第六回:【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題⑥共通データ環境CDE-BIMsyncの説明(連載)

第七回:【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題⑦CDEの位置付け(連載)

第八回:【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題⑧設計、属性情報の管理プロセス(dRofus)(連載)

第九回:【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題⑨引渡、FM 向け、レコードモデルの比較(SimpleBIM の利用)(連載)

第十回:【BIM事例‐情報管理】鹿島建設‐分析課題⑩ライフサイクル BIM 更新プロセス (連載)

「建築BIM推進会議」について詳しくまとめた記事は、こちらをご覧ください。

概要

事業の目的

鹿島建設では、令和3年度 BIM を活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業(パートナー事業者型)として、「BIM を活用した建物ライフサイクル情報管理とデジタルツイン及びソフトウェア・エコシステムによる支援の検証」を実施しています。

大きなテーマとしては以下2点を掲げています。

  1. ①BIM データの活用・連携に伴う課題の分析
  2. ②BIM の活用による生産性向上、建築物・データ価値向上、様々なサービスの創出等を通じたメリットの検証

さらにテーマを分析する課題として、下記2つの課題を設定。

  • 課題 A) 運営維持段階へ引き渡す BIM の作成、資産情報モデル(AIM)の整備と情報共有プロセスの最適化
  • 課題 B) 運営維持段階で活用するライフサイクル BIM の整備、情報の充実化、更新、情報価値の向上

次世代BIM-FM検証のために必要なBIMに対する情報要求をプロジェクトの初期段階で確定し、BEPに反映させます。BIMに加えてスマートBMソリューションとの連携によってデジタルツインを構築し、建物の情報を一元管理。現在の情報管理プロセスの非効率性と冗長性を継続的に特定・改善し、BIMデータの有効性、恒久性、拡張性、及び、公共性を確保することを目標としています。

物件概要

課題AとBについて、新築・既存物件の場合において検討ができるよう、新築物件の「博多コネクタ」と既存物件の「両国研修センター」を対象物件としています。

新築物件である博多コネクタ(旧名:博多駅前四丁目)は、鹿島建設が中長期的に所有している賃貸オフィスビルです。ビル管理業務(以下 BM 業務)と不動産管理業務(以下 PM 業務)の双方を鹿島建物総合管理が実施しており、当該物件の BM・PM 業務の状況について、定期的に報告を受ける体制を築いています。このため、鹿島グループが連携して組織・AIR を整理し、データベースの構築を行うことが可能となっています。

既存物件で改修工事を行う両国研修センターは、鹿島建物総合管理が所有者で、社員の運営維持管理業務の研修のために利用している施設です。鹿島建設は鹿島建物総合管理とともに、グループ連携の一環として、オープン BIM を活用した FM ソリューション(施設の運営維持管理)や、鹿島のスマート BM(以下スマート BM)との連携等を開発する対象物件として、両国研修センターを 3 年前に選定。その過程において、当該物件の施設管理の最適化の検証に着手しています。

分析する課題:CDEの位置付け(鹿島用途)

ここでは、前章までの検証でストックデータ用 CDE として採用した Catenda 社の「Bimsync」について、公開されている API(Bimsync API)の機能を踏まえた上で、当プロジェクトにおける活用方法をご紹介していきます。

ちなみにAPIとはアプリケーションプログラミングインタフェース(Application Programming Interface)の略語で、ソフトウェアの機能を共有できる仕組みのことを指します。

Bimsync API について

Bimsync API は、次の5種類の API 群で構成されています。

①Bimsync Rest API

認証や、プロジェクト・ユーザー・IFC・ドキュメントの取得・更新を行うコア APIです。これはRESTAPI 形式(Web API の標準形式)で定義されています。
API で取得できる情報は直感的に分かりやすい階層構造をしており、例えば組織(orgs)→組織のメンバー(members)→ユーザー(user)のように体系的にデータを検索することができます。また、プロジェクト配下に格納されている IFC データは、1つ1つのBIM オブジェクトを取得するだけでなく、特定の条件を満たすオブジェクトの数量を算出したり、オブジェクトに設定されているプロパティを変更したりすることも可能です。

②Viewer 3D API

ブラウザで BIM モデルの3D ビューワーを表示する APIです。ウェブページのソースにhtml タグを埋め込んで作成したビューワーを、 jQuery で制御して運用。API で作成したビューワーでは Bimsync 標準の操作(マウスによるオブジェクトの選択、ビューのズームや回転、メジャー機能による計測など)を行えるだけでなく、オブジェクトごとに色や透明度を変更する、モデルの位置やスケールを変更するなど標準外の機能追加も可能です。

③Viewer 2D API

ブラウザで BIM モデルの2D ビューワー(平面図・立面図・断面図)を表示するAPIです。ウェブページの html タグを埋め込んで作成した図面ビューワーを javascript で制御して用います。Viewer 3D API と同様に、Bimsync 標準の図面ビューワーの操作(ズーム、パンなど)が行えるビューの作成が可能です。

④Viewer Widget API

Viewer 3D API で呼び出したビューワー用のウィジェットを表示・制御する APIです。ビューワー上に表示したジョイスティックによるカメラの操作や、右クリックでオブジェクトの表示/非表示などを制御するコンテキストメニューを作成できます。

⑤BCF API

プロジェクトに登録された BCF データを取得・更新するための APIです。building Smart が定義した BCF REST API をベースで作成されています。

鹿島における Bimsync および Bimsync API の活用方法

鹿島建設では、施工フェーズでの進捗確認用システム「BIMLOGI」と、維持管理フェーズのアセット管理システム「Mainmanager」で Bimsync のデータ連携機能を活用しています。ここでは、それぞれのシステムにおける Bimsync の活用方法をご紹介します。

BIMLOGI とは、鹿島建設が開発した工事の進捗管理アプリケーションです。部材ごとに付与された固有の ID と BIM を紐づけることで、部材ごとの製作から出荷・運搬、現場での受け入れ、施工、検査までの予定と実績を管理します。たとえば「工事進捗」では、出荷された部材は緑色、現場で荷受けされた部材は青色など、部材ごとに色付けされた IFC モデルのビューとして確認可能です。

上述した IFC モデルビューワーは、Bimsync Rest API(①)と Viewer 3D API (③)を用いて実装されています。まず BIMLOGI アプリケーションは Bimsync Rest API (①)で Bimsync の認証を行い、現在作業している BIMLOGI プロジェクトに紐づけられた IFC モデル内のオブジェクトを取得。ここで取得した各オブジェクトデータは、オブジェクト毎の進捗状況を管理している BIMLOGI のデータベースと連携しています。ユーザーは BIMLOGI アプリケーションの進捗入力画面を通して、BIMLOGI データベースに最新の進捗情報を入力していきます。一方で、BIMLOGI アプリケーションの IFC モデルビューワーは Viewer 3D API (③)で作成されており、BIMLOGI データベースを参照しながらAPI の機能で各オブジェクトを進捗状況に対応した色に塗り替えながらレンダリングします。

まとめ

施工フェーズでの進捗確認用システム「BIMLOGI」と、維持管理フェーズのシステム「Mainmanager」で Bimsync のデータ連携機能を活用。ストック用 CDE として採用した Bimsyncは、API による「データ連携機能」を使って、鹿島建設で利用するユーザー用アプリケーションのバックエンドで活用されています。

ただしFM システムに、断片的で管理されていない方法で入力されたデータは役立たないものとなってしまいます。またデータのメンテナンスをサポートする適切な組織体制がない場合、データを要求しても意味をなさないため、まず組織の長期的なデータ管理戦略を立てることが重要となるでしょう。

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