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【BIM事例‐維持管理】奥村組‐⑦課題B モデル活用・連携方法についての分析結果(連載)

掲載日:

国土交通省では、令和元年より官民一体でBIMを推進する取り組みをスタートさせており、「建築BIM推進会議」を開催し、議論を進めています。「建築BIM推進会議」について詳しくまとめた記事は、こちらをご覧ください。

ここでは、注目の「令和3年度 BIMモデル事業」の具体事例を連載にて紹介していきます。株式会社奥村組の事例を基に、BIMのメリットや課題分析データなどをまとめていきますのでBIM事例の内容についてぜひ参考にしてみてください。

他の連載記事はこちら

第一回:【BIM事例‐維持管理】奥村組‐①改修工事用のEIRとBEP策定(連載)

第二回:【BIM事例‐維持管理】奥村組‐②課題A 改修工事用EIR(連載)

第三回:【BIM事例‐維持管理】奥村組‐③課題A 改修工事用BEP(連載)

第四回:【BIM事例‐維持管理】奥村組‐④課題A 設備専門工事会社用の維持管理BIM仕様書(連載)

第五回:【BIM事例‐維持管理】奥村組‐⑤課題A EIR・BEP今後の課題(連載)

第六回:【BIM事例‐維持管理】奥村組‐⑥課題B 維持管理BIMシステムによる長期修繕計画について(連載)

概要

ここでは、プロジェクト全体の概要や対象となる建築物、事業の目的等についてご紹介します。

プロジェクト概要

奥村組技術研究所内の管理棟、室内環境実験棟における維持管理業務プロセスを検証します。これらの施設は改修工事・新築工事が完了しているため、それぞれ維持管理 BIM モデルを構築します。その上でこのモデルを用いて実際の施設運営の情報を蓄積し、検証をおこなうこととします。

2 棟の施設については、BIM モデルと連携する⾧期修繕計画システム、施設台帳管理システムを構築しました。技術研究所は、これらのシステムを用いて自ら施設管理者として運用し、「専門職ではない担当者」がおこなう維持管理業務における課題の検証を通して発注者メリットを抽出します。

検証をおこなうプロセスは、国土交通省『建築分野における BIM の標準ワークフローとその活用方策に関するガイドライン』の標準ワークフローのパターン②を参考にし、改修工事に特化したワークフローとして新たなパターン⑥(案)を作成しました。

検証は、維持管理 BIM フェーズにおいて実際の増改築工事や設備機器の増設等をおこないながら進めます。技術研究所が発注者として、建築設計部門・施工部門に関わり EIR・BEP の整備を通じてBIM ワークフローを検証していきます。

建築物の用途・規模・構造種別、所在地、新築/増改築/維持管理等の区分等

奥村組技術研究所

●所在地  :茨城県つくば市
●敷地面積 :23,580.25 ㎡
●開設   :1985 年
●特徴   :耐震実験棟、材料実験棟、音響実験棟,管理棟、室内環境実験棟、
       倉庫棟、多目的実験棟、陸上養殖実験棟の実験施設を備える

茨城県つくば市にある技術研究所は、日本初の実用免震ビル「管理棟」や各種実験をおこなう施設として新築した「室内環境実験棟」、その他複数の実験施設から構成される研究所です。

主な研究開発テーマとして、「免震のパイオニア」としてあり続けるための技術の研鑽や応用技術の開発、ICT やロボット、CIM、BIM の活用による工事の急速化・省力化や管理業務の効率化など生産性を向上させる技術の開発、およびバリアフリー化や省エネルギー化・低炭素化などの環境負荷低減を実現する技術の開発が挙げられます。令和 2 年春には技術研究所内の大規模リニューアル工事が完了しました。

調査対象(1)管理棟

  • 竣工   :1986 年
  • 改修竣工 :2020 年 1 月
  • 用途   :事務所
  • 階数   :地上 4 階 PH1 階
  • 延床面積 :1,330.10 ㎡
  • 構造種別 :RC 造(日本初の実用免震ビル)

「管理棟」はオフィスビルであるとともに、免震機能を⾧期観察する実証施設としての役割もあります。たとえば「建物そのものを人工的に揺らす」自由振動実験をおこなうための設備を備えており、免震技術の実証施設として35年以上にわたり様々なデータを蓄積しています。

また、日本初の実用免震ビルである管理棟は内装を全て撤去するスケルトンインフィル化を実施した後、NearlyZEB化を含めた改修工事を実施し、NearlyZEB の認証を取得し一般社団法人環境共創イニシアチブが公募する ZEBリーディング・オーナーに認定登録されています。

当施設は供用していて、維持管理段階にあり、ZEBの運用段階における省エネルギー効果や、快適性やウェルネスなどに寄与する技術の検証をおこなっています。     

調査対象(2)室内環境実験棟

  • 竣工   :2020 年 5 月
  • 用途   :実験施設
  • 階数   :地上 2 階
  • 延床面積 :978.86 ㎡
  • 構造種別 :RC・S 造

室内環境実験棟は、温熱・気流・音環境に関する実験をおこなうことを目的としているため、断続的に施設の改修・更新を続けながら室内環境実験をおこなっています。

快適な空間づくりには、人の感覚に影響を与える、温度、湿度、気流、光、音などを適切に制御する必要があります。当施設は3つの実験室を備え、建物の省エネルギー性や室内の快適性、ウェルネスに関わる様々な要素や、近年ニーズが高まっている室内環境関連の技術を総合的に検証することができます。

プロジェクトで目指すもの

目的

(1)竣工 BIM モデル構築に必要な EIR・BEP の整備とマイニングルール制定
(2)リバースエンジニアリングによる維持管理 BIM モデル構築手法の確立
(3)技術実験と実行を同時におこなう維持管理 BIM モデル構築とシミュレーション
(4)ライフサイクルコンサルティング業務の確立と資産価値の向上
(5)維持管理 BIM システムと NearlyZEB 環境センサーの連携とトータル LCC 算出

解決する課題

(1)EIR・BEP の仕様とコストイメージ
(2)維持管理業務を維持管理BIMシステムでおこなう場合の労務量
(3)実際の維持管理業務における問題点や日常業務での運用課題
(4)ライフサイクルコンサルティング業務における維持管理BIMシステム構築支援方法
(5)維持管理 BIM システムにおけるランニングコスト情報の不足

得られる成果

(1)発注者としての EIR、施工者としての BEP の試案
(2)維持管理業務を維持管理 BIM でおこなう場合の労務削減量
(3)技術実験と連動した維持管理 BIM モデルと維持管理業務の実行結果
(4)ライフサイクルコンサルティング業務結果報告と建物資産価値の評価
(5)点検業務・ランニングコストを含めた維持管理 BIM によるトータル LCC 算出

分析する課題:モデル活用・連携方法について

維持管理BIMモデルの改修工事における活用について取り組みました。ここでは、モデル活用方法、連携方法についての検証をおこない、属性やデータ形式を含めての課題を分析していきます。

モデル活用・連携方法

①蓄電池の増設工事

管理棟では、蓄電池の増設が予定されています。維持管理BIMモデルとして構成されている管理棟モデルを用いて、屋上に蓄電池を設置する手順を検証・考察します。設置場所や仕様決定の場面などで維持管理BIMモデルがどのように利用できるか、その連携方法を含めて検証していきます。

②照明器具改修工事

管理棟4階においては照明器具改修工事が予定されています。蓄電池と同様に、維持管理BIMモデルを用いたモデル連携方法を検証していきます。

増改築工事を維持管理 BIM システムへ反映し検証(検討の方向性、実施方法・体制)  

BIM モデルを作成し維持管理システムの構築を開始しているプロジェクトを利用することで、効率的な検証が進められます。技術研究所は発注者として実際の建物維持業務を遂行し、設計部門、施工部門、ライフサイクルマネジメント担当部門がそれぞれの役割に基づいて考察、BIM 活用における発注者メリットを検証します。 

施設の維持管理業務は奥村組職員が担当しているため、維持管理業務を専門としない者でも実施できる「親しみやすい維持管理BIMシステムの構築」を目指しました。日常の維持管理業務を洗い出し、竣工図書のファイリングやエクセルなどを使っておこなっていた業務と、維持管理BIMシステムを用いておこなう業務量を比較し、メリットを検証します。

維持管理用モデルとして整備しているBIMモデルにリバースエンジニアリングをおこない、設計モデルや施工モデルとしてのあり方を検証していきます。特にBIMモデルのFM分類をおこなうために自動分類方法を検証し、効率的に維持管理へつなげるフローを構築します。

検証する2棟の建物は、既に竣工し供用を開始しています。発注者のメリットを検証するために役割分担を社内で取り決め、発注者、設計者、施工者それぞれの立場でBIM活用の有効性を検証する体制を整えます。

実施体制・役割分担表をもとに各部門・担当者の業務内容を明確に定義し、維持管理業務における発注者メリットを検証します。技術実験のための増改築工事の工程に合わせて、構築しているBIMモデルのリバースエンジニアリングを進めます。 

発注者・受注者・ライフサイクルコンサルタントの立場に分けて、取り組み体制を整備します。維持管理 BIM の検証における役割と業務役割を明確に定義し、定期的な情報共有の場を設けて進めます。  

まとめ

ここでは改修工事におけるBIMモデルを用いて、それぞれの担当部門が各役割に基づきBIM活用における発注者メリットを検証しています。ライフサイクルコンサルティング業務として発注者・設計者・施工者がデータ連携検証をおこない、BIMモデルの価値や発注者メリットを探っている点が特徴です。普及展開のためには、維持管理担当者が維持管理BIMシステムを使いこなせる仕組み、体制を整える必要があるでしょう。

この記事を書いた人

BuildApp News編集部 - DX事例くん

BuildApp News編集部事例担当です。 建設DXに取り組む企業の事例を紹介しています。

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