期間限定!1周年企画 今すぐクリック!

ホーム BIM 国土交通省関連情報 【BIM事例‐維持管理】奥村組‐⑥課題B 維持管理BIMシステムによる長期修繕計画について(連載)

【BIM事例‐維持管理】奥村組‐⑥課題B 維持管理BIMシステムによる長期修繕計画について(連載)

掲載日:

国土交通省では、令和元年より官民一体でBIMを推進する取り組みをスタートさせており、「建築BIM推進会議」を開催し、議論を進めています。「建築BIM推進会議」について詳しくまとめた記事は、こちらをご覧ください。

ここでは、注目の「令和3年度 BIMモデル事業」の具体事例を連載にて紹介していきます。株式会社奥村組の事例を基に、BIMのメリットや課題分析データなどをまとめていきますのでBIM事例の内容についてぜひ参考にしてみてください。

他の連載記事はこちら

第一回:【BIM事例‐維持管理】奥村組‐①改修工事用のEIRとBEP策定(連載)

第二回:【BIM事例‐維持管理】奥村組‐②課題A 改修工事用EIR(連載)

第三回:【BIM事例‐維持管理】奥村組‐③課題A 改修工事用BEP(連載)

第四回:【BIM事例‐維持管理】奥村組‐④課題A 設備専門工事会社用の維持管理BIM仕様書(連載)

第五回:【BIM事例‐維持管理】奥村組‐⑤課題A EIR・BEP今後の課題(連載)

概要

ここでは、プロジェクト全体の概要や対象となる建築物、事業の目的等についてご紹介します。

プロジェクト概要

奥村組技術研究所内の管理棟、室内環境実験棟における維持管理業務プロセスを検証します。これらの施設は改修工事・新築工事が完了しているため、それぞれ維持管理 BIM モデルを構築します。その上でこのモデルを用いて実際の施設運営の情報を蓄積し、検証をおこなうこととします。

2 棟の施設については、BIM モデルと連携する⾧期修繕計画システム、施設台帳管理システムを構築しました。技術研究所は、これらのシステムを用いて自ら施設管理者として運用し、「専門職ではない担当者」がおこなう維持管理業務における課題の検証を通して発注者メリットを抽出します。

検証をおこなうプロセスは、国土交通省『建築分野における BIM の標準ワークフローとその活用方策に関するガイドライン』の標準ワークフローのパターン②を参考にし、改修工事に特化したワークフローとして新たなパターン⑥(案)を作成しました。

検証は、維持管理 BIM フェーズにおいて実際の増改築工事や設備機器の増設等をおこないながら進めます。技術研究所が発注者として、建築設計部門・施工部門に関わり EIR・BEP の整備を通じてBIM ワークフローを検証していきます。

建築物の用途・規模・構造種別、所在地、新築/増改築/維持管理等の区分等

奥村組技術研究所

●所在地  :茨城県つくば市
●敷地面積 :23,580.25 ㎡
●開設   :1985 年
●特徴   :耐震実験棟、材料実験棟、音響実験棟,管理棟、室内環境実験棟、
       倉庫棟、多目的実験棟、陸上養殖実験棟の実験施設を備える

茨城県つくば市にある技術研究所は、日本初の実用免震ビル「管理棟」や各種実験をおこなう施設として新築した「室内環境実験棟」、その他複数の実験施設から構成される研究所です。

主な研究開発テーマとして、「免震のパイオニア」としてあり続けるための技術の研鑽や応用技術の開発、ICT やロボット、CIM、BIM の活用による工事の急速化・省力化や管理業務の効率化など生産性を向上させる技術の開発、およびバリアフリー化や省エネルギー化・低炭素化などの環境負荷低減を実現する技術の開発が挙げられます。令和 2 年春には技術研究所内の大規模リニューアル工事が完了しました。

調査対象(1)管理棟

  • 竣工   :1986 年
  • 改修竣工 :2020 年 1 月
  • 用途   :事務所
  • 階数   :地上 4 階 PH1 階
  • 延床面積 :1,330.10 ㎡
  • 構造種別 :RC 造(日本初の実用免震ビル)

「管理棟」はオフィスビルであるとともに、免震機能を⾧期観察する実証施設としての役割もあります。たとえば「建物そのものを人工的に揺らす」自由振動実験をおこなうための設備を備えており、免震技術の実証施設として35年以上にわたり様々なデータを蓄積しています。

また、日本初の実用免震ビルである管理棟は内装を全て撤去するスケルトンインフィル化を実施した後、NearlyZEB化を含めた改修工事を実施し、NearlyZEB の認証を取得し一般社団法人環境共創イニシアチブが公募する ZEBリーディング・オーナーに認定登録されています。

当施設は供用していて、維持管理段階にあり、ZEBの運用段階における省エネルギー効果や、快適性やウェルネスなどに寄与する技術の検証をおこなっています。     

調査対象(2)室内環境実験棟

  • 竣工   :2020 年 5 月
  • 用途   :実験施設
  • 階数   :地上 2 階
  • 延床面積 :978.86 ㎡
  • 構造種別 :RC・S 造

室内環境実験棟は、温熱・気流・音環境に関する実験をおこなうことを目的としているため、断続的に施設の改修・更新を続けながら室内環境実験をおこなっています。

快適な空間づくりには、人の感覚に影響を与える、温度、湿度、気流、光、音などを適切に制御する必要があります。当施設は3つの実験室を備え、建物の省エネルギー性や室内の快適性、ウェルネスに関わる様々な要素や、近年ニーズが高まっている室内環境関連の技術を総合的に検証することができます。

プロジェクトで目指すもの

目的

(1)竣工 BIM モデル構築に必要な EIR・BEP の整備とマイニングルール制定
(2)リバースエンジニアリングによる維持管理 BIM モデル構築手法の確立
(3)技術実験と実行を同時におこなう維持管理 BIM モデル構築とシミュレーション
(4)ライフサイクルコンサルティング業務の確立と資産価値の向上
(5)維持管理 BIM システムと NearlyZEB 環境センサーの連携とトータル LCC 算出

解決する課題

(1)EIR・BEP の仕様とコストイメージ
(2)維持管理業務を維持管理BIMシステムでおこなう場合の労務量
(3)実際の維持管理業務における問題点や日常業務での運用課題
(4)ライフサイクルコンサルティング業務における維持管理BIMシステム構築支援方法
(5)維持管理 BIM システムにおけるランニングコスト情報の不足

得られる成果

(1)発注者としての EIR、施工者としての BEP の試案
(2)維持管理業務を維持管理 BIM でおこなう場合の労務削減量
(3)技術実験と連動した維持管理 BIM モデルと維持管理業務の実行結果
(4)ライフサイクルコンサルティング業務結果報告と建物資産価値の評価
(5)点検業務・ランニングコストを含めた維持管理 BIM によるトータル LCC 算出

分析する課題:維持管理BIMシステムによる長期修繕計画について

年間計画で予定されている実験に伴う増改築をBIMモデルへ反映し、維持管理BIMシステムの再構築をおこないます。実際の増改築工事の情報をBIMモデル・維持管理BIMへ反映し、維持管理BIMシステムを用いた⾧期修繕計画の立案、BIMモデルの活用・連携における課題を分析していきます。

また、ライフサイクルコンサルティング業務におけるBIMモデルのあり方についても検証します。さらに、改修工事(スケルトンインフィル)における維持管理BIMモデルのあり方、データマイニングの手法、部位部材分類定義など維持管理BIMモデルの構築方法の検証を通し、維持管理BIMモデルをベースにBIMモデルの価値や発注者としてのメリットを探っていきます。

①増改築工事をBIMモデルに反映

まず、技術研究施設の実際の増改築工事を維持管理BIMシステムへ反映し、検証をおこないます。「発注者」として実際の建物維持管理業務を遂行するためにも、設計部門、施工部門、ライフサイクルマネジメント担当部門がそれぞれの役割に基づいて考察し、BIM活用における発注者メリットを検証していきます。

<プロジェクトの特徴>

  • すでに維持管理BIMモデルを構築しているため、実務に沿ったワークフローや発注者としてのメリットの検証を効率よくおこなえる。
  • 発注者・設計者・施工者として、それぞれの立場で検証していく。立場に応じて役割を分担し体制を組む。
  • 総合建設業の技術研究施設という特殊な用途であるため、実験のために必要な     増改築を実際におこなうことができるため、維持管理業務の検証ができる。
  • 発注者として起案したBIM発注者情報要件(EIR)を、ライフサイクルコンサルティング担当が検証、設計者・施工者としてBIM実行計画(BEP)の立案・検証もおこなう。
  • 管理棟はスケルトンインフィル化して改修工事をおこなっている。増改築工事に特化したワークフロー、BIMモデルを検証する。

②維持管理BIMシステムフローと検証後のフロー

図1. 応募時の維持管理BIMシステム連携フロー

図2. 完全クラウド型維持管理システムへのマイグレーションフロー

ここでは、応募時の維持管理BIMシステムフロー(図1)と検証後のフロー(図2)についてまとめています。

室内環境実験棟における技術実験のためにおこなう実際の施設増改築の情報を維持管理 BIM システムへ反映し、維持管理シミュレーションと増改築部材のデータマイニングを検証します。すでに構築している維持管理 BIM モデルを更新するためのフローを構築し、適切にBIMモデルを更新することで自動的にデータマイニングが実行されることを検証します。

本年度は水浄化システム、蓄電システムの設置を予定しています。それらを維持管理 BIM システムへ反映し検証をおこないます。外構においては、希少植物の育成に関する実験をおこなうビオトープを整備し、水景システム フロー設備と維持管理 BIM システムを連携します。 

まとめ

ここでは、増改築の年間計画に沿って BIM モデルの更新をおこないました。また、更新した維持管理BIMシステムの情報を基に長期修繕計画のシミュレーションもおこないました。システムの運用においては、実際の維持管理担当者が無理なく使いこなせる仕組みや体制を整える必要があるでしょう。 

この記事を書いた人

BuildApp News編集部 - DX事例くん

BuildApp News編集部事例担当です。 建設DXに取り組む企業の事例を紹介しています。

あわせて読みたい

BuildApp Newsとは

BuildApp News は
建設DXの実現を支援する
BIMやテクノロジーの情報メディアです。

建設業はプロセス・プレイヤーが多く、デジタル化やDXのハードルが高いのが現状ですが、これからの建設業界全体の成長には「BIM」などのテクノロジーを活用した業務効率化や生産性の向上、環境対応などの課題解決が不可欠と考えます。

BuildApp Newsが建設プレイヤーの皆様のDXの実現の一助となれば幸いです。

注目の記事

BIM の人気記事

もっと見る