ホーム テーマ BIM 【BIMの日 独自取材⑦】BIMはいかに民主化されるのか?~設計・製造・施工の外の人、ConTechスタートアップが考えるBIMの価値|今井 亮介様(アンドパッド

【BIMの日 独自取材⑦】BIMはいかに民主化されるのか?~設計・製造・施工の外の人、ConTechスタートアップが考えるBIMの価値|今井 亮介様(アンドパッド

掲載日:2022年07月19日

2022年2月22日に行われた「BIMの日」にて独自取材を行いました。

「BIMの日」とは、BIM建築やそれを取り巻く業務に求められる価値を考えることで、BIM の位置付けを改めて見直し、今後の活用のヒントになるようなシンポジウムです。BIM活用の生の声を全8回の連載にてお届けします。

第7回の施工管理アプリとして認知度を上げているANDPAD。今井氏は日本設計出身でANDPADに新規事業開発の責任者として参画されました。アナログな現場コミュニケーションの手間解消を掲げる同社がBIMにどのように取り組んでいるのか。今井氏の発表をレポートします。

▼「BIMの日」その他の回の連載記事はこちら▼

第一回連載:BIMの祖型―CAD黎明期の試みに学ぶ | 建築情報学技術研究WG 種田 元晴氏(文化学園大学)
第二回連載: コロナ禍で見えてきたキャンパスBIM-FMのためのIPD | IPDコラボレーション研究WG 飯島 憲一氏(大阪電気通信大学)
第三回連載:BIMと関連するデジタル情報の連携や活用事例の研究|情報連携技術WG 柴田 英昭氏(FMシステム)

第四回連載:建築性能の見える化によるSDGs 達成への貢献|林 立也氏(千葉大学)
第五回連載:デジタルツインが切り拓く近未来の世界~映画の世界が現実に~ |及川 洋光氏(清水建設)
第六回連載:from Room to Planet Mixed Reality ~空間デジタル技術の拡がり~ |伊藤 武仙様(ホロラボ)

第七回連載:BIMはいかに民主化されるのか?~設計・製造・施工の外の人、ConTechスタートアップが考えるBIMの価値|今井 亮介様(アンドパッド) ※本記事です
第八回:BIMから広がる新しい価値とは?BIMの現在、未来をキーワードにパネリストが語る|パネルディスカッション 

ANDPADとは

ANDPADは施工管理アプリとして、従来のアナログな現場コミュニケーションの解消を目指しています。2014年創業以来、施工に関わる職人、現場監督、事務員の業務改善を進めています。具体的には図面、工事写真、工程表、受発注、検査業務などをクラウド上アプリで一元管理できるサービスになります。建築業界に特化したSaaSと言えます。職人や現場監督が労働効率性を享受できるように「幸せを築く人を、幸せに。」をミッションとしています。2021年現在、業界シェアNo.1に成長し、利用社数は11万社、ユーザー26万人となっています。

ANDPADとBIM

ANDPADがBIMに取り組んだ事例として2021年「ANDPAD HOUSE」があります。これは当社が施主、設計、施工となった実験住宅です。家1棟を丸ごとBIMで設計、施工管理しました。国土交通省「令和3年度BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業」に採択されました。

自らが施主になることで企画・設計から施工、維持管理まで全工程をコントロールできます。その中でBIMとANDPADの可能性を検討していきました。

設計施工関連ソフトとANDPADの連携

基本設計はRhinocerosやGrasshopperなどでコンセプトを固め、日照シミュレーションや構造の検討も行いました。その後、Rhino insideを使ってRevitにデータを移管しBIM化し、実施設計を進めていきました。

施工面でのポイントはRevitからCADworkにデータを書き出すことで、木材加工の制作まで通貫できたことです。現状、木造住宅などの木材加工BIMからの一貫性が途切れてしまう工程でした。図面から新たにプレカット用の図面作成する手間などが発生していました。この業務の断絶をRevit→IFC→CADwork→木材プレカット機(フンデガー社製)によりBIMから木材の加工生産まで一貫しました。日本ではまだ少ない事例で予想以上に注目されました。フンデガー社プレカット機はまだ、日本の木造プレカットのフォーマットに対応しきれていない面もあり、今後改善ができればと思っています。

BIMはリモートワークとの相性抜群

工期中の打ち合わせは完全リモートで実施しました。情報共有もANDPADを行い、移動時間を約300時間削減、電話・メール回数が90%減少しました。生産性は上がり、意外といけるなというのがメンバーの意見でした。ただし、リモート会議は事務的なやりとりのみになりがちでした。雑談などで実務以外のパーソナリティを知ることも、組織上必要だという気づきもありました。

遠隔臨場の可能性

遠隔臨場もいくつか実証実験を行い、実現性を感じています。

  1. MR×ANDPAD図面×遠隔で配筋検査

 ホロレンズとiPadを使い、配筋検査を実施しました。MRを使うことで遠隔からでも現場になにがあるかがわかり便利でした。遠隔MRで検査した情報はANDPAD図面に書き込んでいきました。一方、予想以上にセットアップに時間がかかることも分かりました。今後の改善で、より使いやくなればと思いました。MRは設計や施工といった建築プロ向けよりも施主や建築知識が少ない方向けに価値が見いだせる気もしています。

  1. MR×カメラ×ANDPAD図面で中間検査

 リモートで中間検査の実験を行いました。遠隔で検査ができるメリットはありつつも、MRカメラの位置情報と図面情報の整合性をとる難しさがありました。移動を指示する際も、指示が通じず現場が戸惑う場面もありました。通常10分ほどで終わる検査が30分以上かかり、今後クリアすべき課題が見えてきました。

  1. UGVで遠隔検査

UGV(無人走行車:大型のラジコンのような機械)を使い現場検査をしました。カメラの解像度もよく検査がスムーズに進みました。現場では無人で作業をすすめられるため、可能性を感じました。今後は住宅以外の大空間の建築などでの走行性を検証したいと思っています。

BIM×積算

積算については従来の手拾いとBIM(Revit)集計機能との比較をしました。結果、BIMで拾える範囲は全体の40%程度と試算されました。内訳は下図の通りです。

BIMを精緻に作り込めば、100%に近づくはずですが、通常の実施設計レベルのBIMはこの程度という実感でした。精度を上げたとしても最大60%くらいまでという試算もありました。いずれにせよ、積算においてBIMは一定範囲に絞る運用法が、現状はよいと思っています。

BIMはいかに民主化されるのか?

現状BIMはBIMユーザー内でクローズドに活用されています。中心的存在は設計、施工、維持管理にかかわる人で、職人は域外、施主も少し距離が遠くなっています。

今後BIMに関わる職能が新しく生まれ、BIMエンジニア、マネージャーといった役割が増えると予想されます。BIMの使い勝手、汎用性も上がることにより、職人もBIM活用できるような未来を実現できれば思っています。

具体的な未来像としては下図のようになります。

特に職人は年々、就労人数不足が叫ばれています。品質も以前の職人気質(クラフトマンシップ)による熟練技から、工業化・簡易化が進んでいます。BIMが浸透することで職人も2次元図面を3次元に変換する必要が減り、直感的に作業内容を把握できるメリットなどが出てきます。施主・職人がBIMを扱えることで建築施工品質が向上し、顧客満足向上につながればと思います。

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