急速に発展する建設分野での生成AI援用の現在地を多分野に渡り追跡(第十六回):安藤ハザマ、高専と建機自動操作を実証/燈と東光電気工事、施工計画書作成AIを開発【毎月3回更新】

建設業における生成AIの援用に関する情報が関連メディア上に溢れている。BIM状況の成熟を待つ間もなく、それら人為的で属人的なデジタル援用の領域にも、生成AIは急速に浸透し、自動化、省人化を超えて高度なナレッジ・エージェント化を競っている。
本稿では、安藤ハザマと神戸市立工業高等専門学校によるヒューマノイドロボットによる建設機械の自動操作の実証実験、燈と東光電気工事による施工計画書の作成を効率化するAIシステム「施工計画書作成サポートシステム」の共同開発について報告する。
AI活用のヒューマノイドロボットによる建設機械の自動操作を目指して本格的な実証を開始
安藤ハザマと神戸市立工業高等専門学校では、フィジカルAIを活用した建設機械の自動化に関する共同研究を開始した。ヒューマノイドロボットによる建設機械の自動操作を目指し、本格的な実証を開始している。

安藤ハザマでは、建設業の立場から油圧ショベル等の建設機械の自動化に取り組んでいる。一方、神戸高専システム情報工学科田原研究室では、AIロボティクスの分野から土工作業シミュレーションを活用した建機自動化AIの開発、ヒューマノイドロボットを活用した小型電動ショベルの自動化に取り組んでいる。

当該共同研究においては、両者の技術や知見を融合させることによって、ヒューマノイドロボットによる建設機械の自動操作を実現していく。その第一歩として両者の専門性を最大限活用できる大型油圧ショベルの自動操作に着手した。
大型油圧ショベルの自動操作を実現+建設機械の自動化にフィジカルAIの有効性を確認
様々な領域における生成AIの援用に関心が集まる中、センサー等で把握した現実世界の状況を基に物理的なロボットを制御する「フィジカルAI」が注目されている。政府も官民の投資拡大に向けた検討を加速しており、国土交通省も建設業でのフィジカルAI活用を考えるピッチイベントを開催するなど、i-Construction2.0で掲げた生産性向上を実現するための動きが活発化している。
建設業では少子高齢化による深刻な人手不足が喫緊の課題となっている。それらを背景に、従来の自動化技術では困難だった現場状況に応じた臨機応変な判断を伴う作業にもフィジカルAIなら対応できるとして期待が高まっている。このような現況から安藤ハザマと神戸高専は、建設業における労働力不足の解消と生産性・安全性の向上を目的に、フィジカルAIを活用した建設機械の自動化に関する共同研究を開始した。
当該共同研究によってフィジカルAIを活用したヒューマノイドロボットによる大型油圧ショベルの自動操作を実現し、建設機械の自動化にフィジカルAIが有効であることを確認していく。その後は、大型油圧ショベル以外の建設機械の自動化や一般的な有人作業のヒューマノイドロボットへの置き換えなど、建設工事におけるフィジカルAIの適用を進めていく。

施工計画書作成を効率化するAIシステム「施工計画書作成サポートシステム」を共同開発
燈(千代田区: 代表取締役社長兼 CEO野呂侑希氏)では、東光電気工事(千代田区: 代表取締役社長山本隆洋氏)と施工計画書の作成を効率化するAIシステム「施工計画書作成サポートシステム」を共同開発した。
当該システムは、東光電気工事で既に稼働する業務基盤とシームレスに連携し、既存の業務フローの中でスムーズに移行できる設計となっている。
当該システムは、テキストや画像で条件を指定するだけで、過去の膨大な自社データから参考となる施工図面を効率良く検索・収集することができる。さでき、最終的には施工計画書一式をExcelファイルとして一括出力できる。
これによって担当者は蓄積された社内ナレッジや過去の知見を効率良く活用しながら、品質を確保した計画書作成を進められる。当該システムの導入によって、従来、多くの時間を要していた資料探索や作成業務の負担を軽減し、熟練者のノウハウを属人化させずに社内全体で共有・活用できる体制の構築を支援する。
AIアシスタントとの対話による直感的な計画書作成が可能+施工体制図や工程表等も作成
キーワード入力だけでなく画像のアップロードでも過去の類似施工図面を簡単に検索可能となっている。テキスト検索だけでなく、手元にある画像をアップロードするだけで蓄積されたデータから必要な情報を抽出できる「類似画像検索機能」を搭載。AIが車両や機器の配置形状などの視覚的特徴を分析してリストアップするため、テキストでは探しにくい「見た目が似ている図面」も瞬時に特定できる。これによってトラックやクレーンなどのオブジェクト配置を流用した作図や過去の類似現場を参考にした施工図面づくりを効率的に行える。

AIアシスタントとの対話による直感的な計画書作成が可能だ。AIとの対話形式で、工事名・発注者・施工者等の基本情報や施工に関する質問に一つずつ答えるだけで、工事概要のたたき台を自動生成する。生成された文章はその場で確認でき、手動修正は勿論、AIへの追加指示による再修正も可能。加えて施工体制図や工程表、搬入機器リスト、安全管理計画、作業員名簿等も簡単に作成でき、最終的には施工計画書としてExcelで一括出力できる。
工事概要や施工体制・安全管理計画等で構成される重要書類「施工計画書」の作成を支援
電気設備工事の着工前に義務付けられている「施工計画書」は、工事概要や施工体制、安全管理計画等で構成される重要書類である。中でも施工手順や現場配置を具体的に示す「施工図面」は施工計画書の要となるが、その作成には過去の同規模工事の図面を参考に調整したり、車両や機器などのパーツを再利用したりする作業が必要となっていた。
一方で、こうした過去の図面や知見は担当者個人に属人化しており、必要な資料の探索に時間がかかる他、フォーマットのばらつきも課題となっていた。
今後は、実務で作成された図面データを自動的に検索対象へ蓄積し、利用頻度に応じて検索精度が向上する循環型の仕組みを構築していく予定。合わせて、利用者のフィードバックを基に、システムの品質改善や対象工種の拡大を進める。
両社は、今後も現場のニーズに応じたシステム改善を継続し、社内での活用実績を積み重ねることによって電気工事業界の更なる業務効率化に貢献していく。
建設業を始め基幹産業の生産性向上や技術力継承を支援する東大発AIスタートアップ企業
燈は、「日本を照らす燈となる」という使命を掲げ、AIを始めとした最先端テクノロジーで社会課題を解決する東京大学発AIスタートアップ企業。建設業、製造業、物流業、卸売・小売業など、我が国の基幹産業における生産性向上や「匠の技」と呼ばれる技術力の継承といった課題の解決へ向けて、独自のAI技術を駆使したソリューションを提供している。
関連情報=東光電気工事提供: 「電気BIM推進協議会」が発足+活動を開始
関電工、きんでん、クラフティア、弘電社、トーエネック、東光電気工事、四電工(五十音順)の電気設備工事会社7社は、電気設備工事業界におけるBIMの標準化と普及促進とデータ連携による施工の効率化を図り、業界の更なる発展を目的として、「電気BIM推進協議会」を発足し、活動を開始した。
◇問い合わせ先
電気BIM推進協議会事務局
E-mail: info@densuikyo.com

提供: 東光電気工事