大成建設ら、鉄筋定着工法で土木学会の技術評価証を取得、土木工事への展開を推進

大成建設と成和リニューアルワークスは、既設のコンクリート建築物の補強や増設で実用化している鉄筋定着工法「Post-Head-Anchor(ポストヘッドアンカー)工法」について、土木学会の技術評価証を2026年7月に取得しました。
2026年9月30日には、土木学会で技術評価証の授与式が行われました。両社はこの評価をもとに、インフラ分野での活用を広げていきます。
主鉄筋定着の設計が土木工事でも可能に
今回の評価により、既設コンクリート構造物と新設部材を一体化する土木工事で、土木学会のコンクリート標準示方書に準じた主鉄筋定着の設計ができるようになりました。建築分野で使われてきた工法を、より広い土木分野へ広げるために必要な設計手法が整った形です。インフラの長寿命化に役立つ技術として、活用の場が広がります。
老朽化するインフラで増える補強・増設工事
インフラ施設の老朽化が進むなか、国土強靱化対策などを背景に、既存施設を活用しながら耐震性の向上や処理能力の増強、機能の更新を図る工事の重要性が高まっています。
こうした工事では、既設の柱、梁、壁、基礎などに鉄筋コンクリート部材を増設・増厚し、既設躯体としっかり一体化させる必要があります。そのためには、新設部材の主鉄筋を既設コンクリートに定着させ、引張力などの力を既設躯体へ確実に伝えることが欠かせません。
設計手法の不在が適用のハードルだった
Post-Head-Anchor工法は建築分野向けの独自工法です。土木構造物へ適用するには、構造物ごとに主鉄筋定着で求められる性能を適切に評価しなければなりません。
ただ、土木分野では設計手法が整備されていなかったため、発注者が定着部の性能や設計内容を個別に確認し、適用の可否を判断していました。設計が妥当であることを明確に示す技術的な枠組みが求められていました。
付着やせん断性能を考慮した設計手法を確立
大成建設は、土木学会のコンクリート標準示方書に準じた設計手法を確立しました。この手法では、鉄筋にかかる引張力への定着性能のほか、鉄筋と特殊モルタルの付着性能、新設部材と既設躯体の接合面におけるせん断伝達性能などを考慮します。構造物ごとの設計条件に合わせて、必要な定着性能を確認する仕組みです。
これらの性能と設計・施工方法について土木学会の技術評価を得たことで、技術的な妥当性が確認されました。これにより、Post-Head-Anchor工法を土木工事へ適用するための枠組みが整いました。
発注者が個別に判断していた従来の状況に対し、評価の裏付けをもって工法の適用を検討できるようになります。設計内容を示す際の根拠が明確になる点も、発注者にとって利点です。
特殊モルタルと定着板で鉄筋の定着長さを短縮
この工法は、既設コンクリートにあけた孔へ特殊モルタルを圧入・充填し、先端に定着板を付けた鉄筋を差し込んで、新設部材の鉄筋を既設躯体に定着させます。
鉄筋と特殊モルタルの付着力や定着板の効果によって、新設部材に生じる引張力を既設コンクリートへ伝えます。一般的な定着方法に比べて必要な定着長さを短縮できる場合があり、既設躯体の厚さや施工スペースに制約がある現場でも適用しやすくなります。
既設躯体の大規模な撤去を抑えながら、新設部材を一体化できる点も特長です。
スラブ・壁の増設や基礎の増厚に適用できる
スラブや壁などの部材増設、基礎などの部材増厚を伴う補強・改造工事に適用できます。既設構造物を活用しながら必要な機能を加えられるため、施設の長寿命化や機能向上に役立ちます。さらに、既存施設を補強・強化することで、新設工事と比べて環境負荷の低減にもつながります。
建築分野で約70件、約2.2万本の施工実績
同工法は、2015年に日本建築センターの一般評定を取得して以降、建築分野で実用化されてきました。これまでに研究施設や大型発電所などを含め、約70件、約2.2万本の施工実績があります。
こうした建築分野での経験が、今回の土木分野への展開を支えます。実績の積み重ねが、土木分野での信頼にもつながります。
既存インフラの補強・改造へ積極的に提案
両社は今後、スラブや壁などの部材増設、基礎などの部材増厚、耐震補強や機能増強を伴う土木工事へ、同工法を積極的に提案していきます。
適用対象の構造物や施工条件に応じた設計・施工上の検討を重ねながら、建築分野の実績を生かして普及を図ります。既存施設を有効活用してインフラの安全性、機能性、耐久性を高め、持続可能な社会基盤の整備に貢献することを目指します。
出典情報など
出典:大成建設株式会社,挿入型鉄筋定着工法「Post-Head-Anchor®工法」が土木学会技術評価証を取得 既設コンクリート構造物への主鉄筋定着設計を可能にし、インフラ施設の長寿命化に貢献,https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2026/260930_11190.html,リリース日:2026-09-30