車両系建設機械とは?|6種類の一覧と必要な資格、現場で守るべきルールを解説【2026年版】

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著者:上野 海

車両系建設機械とは、労働安全衛生法施行令で定められた「動力を用い、不特定の場所に自走できる建設機械」のことです。

運転に必要な資格は、機体質量3tを境に「技能講習」と「特別教育」に分かれます。さらに元請や現場管理者には、資格者を配置するだけでなく、作業計画の作成や定期点検といった義務もあります。

そこでこの記事では、車両系建設機械の6種類と必要な資格、現場管理者が押さえるべきルール、ICT施工との関係までを解説します。

車両系建設機械とは

車両系建設機械とは、労働安全衛生法施行令別表第7に掲げられた建設機械のうち、動力を用い、かつ不特定の場所に自走できるものを指します。

ポイントは「自走できるかどうか」です。定置式の機械や、レール上だけを走る機械は車両系建設機械に含まれません。

バックホウやブルドーザー、ローラーなど、建設現場でおなじみの重機の多くが車両系建設機械に該当します。

フォークリフト・移動式クレーンは別の資格が必要

車両系建設機械の資格を持っていても、フォークリフトや移動式クレーンは運転できません。どちらも自走する機械ですが、法令上は車両系建設機械とは別の区分だからです。

重機の名称必要な資格
フォークリフト車両系荷役運搬機械(フォークリフト運転技能講習など)
移動式クレーンクレーン等安全規則の対象(移動式クレーン運転士免許など)

現場では同じ「重機」と呼ばれていても、資格は機械ごとに確認しましょう。

資格が不要になるケースはある?

作業のために車両系建設機械を運転・操作する場合は、どの機械でも原則として資格が必要です。ただし、労働安全衛生法上の資格が求められない場面が2つあります。

  • 公道を走行させるとき
    (道路交通法の運転免許が必要)
  • コンクリートポンプ車を走行させるとき
    (特別教育が必要なのは作業装置の操作のみ)

なお、「現場内で少し移動させるだけ」でも資格は必要です。無資格運転は事業者も罰則の対象になるため、必ず有資格者に運転させましょう。

また、公道を走らせるためには、道路交通法に基づく大型特殊免許または小型特殊免許が必要です。小型特殊自動車の範囲であれば、普通免許でも運転できます。

本項で登場した「コンクリートポンプ車」を使った打設作業の流れや注意点は、以下の記事で解説しています。

車両系建設機械の6種類一覧

車両系建設機械は、用途によって6種類に分類されます。代表的な機械と主な用途を表にまとめました。

分類代表的な機械主な用途
①整地・運搬・積込み用ブルドーザー、モーターグレーダー、トラクターショベル、スクレーパー整地、土砂の運搬・積込み
②掘削用ドラグショベル(バックホウ)、パワーショベル、クラムシェル、トレンチャー土砂の掘削、溝掘り
③基礎工事用くい打機、くい抜機、アースドリル、アースオーガー杭の打込み・引抜き、削孔
④締固め用ローラー路床・路盤・舗装の締固め
⑤コンクリート打設用コンクリートポンプ車生コンクリートの圧送・打設
⑥解体用ブレーカ、鉄骨切断機、コンクリート圧砕機、解体用つかみ機構造物の解体、岩盤の破砕

現場で最もよく使われるのは、①と②に含まれるバックホウやホイールローダーです。多くの現場で発生する土砂の掘削や移動などに用います。

法令上の名称と現場の呼び名は異なる

車両系建設機械について、法令上の名称と現場の呼び名は一致しないことも多いので、取扱いに注意が必要です。

たとえば「ドラグショベル」は、現場では「バックホウ」「油圧ショベル」「ユンボ」と呼ばれます。また、ホイール式の「トラクターショベル」は、一般に「ホイールローダー」と呼ばれる機械です。そのため、資格の確認や書類作成をする際は、法令上の名称に置き換えて判断しましょう。

鉄骨切断機などは2013年から対象に

鉄骨切断機・コンクリート圧砕機・解体用つかみ機は、2013年7月から解体用機械として車両系建設機械に加わりました。

それまでは規制の対象外でしたが、休業4日以上の死傷災害が多発していたことから追加された経緯があります。解体工事を扱う現場では、古い認識のまま資格確認をしないよう注意が必要です。

(出典:厚生労働省『平成25年7月1日から、鉄骨切断機等も規制対象となる改正「労働安全衛生規則」が施行されています』)

運転に必要な資格

車両系建設機械の運転資格は、機体質量3t以上なら技能講習、3t未満なら特別教育が基本です。ただし、機械の種類によっては質量に関係なく特別教育となるものもあります。

機体質量3t以上は技能講習、3t未満は特別教育

種類ごとの必要な資格は以下のとおりです。

分類3t以上3t未満
整地・運搬・積込み用、掘削用運転技能講習(整地等)小型車両系建設機械(整地等)特別教育
基礎工事用運転技能講習(基礎工事用)小型車両系建設機械(基礎工事用)特別教育
解体用運転技能講習(解体用)小型車両系建設機械(解体用)特別教育
締固め用ローラーの運転の特別教育(質量の区分なし)
コンクリート打設用作業装置の操作の特別教育(質量の区分なし)

参考:中央労働災害防止協会「免許・技能講習等が必要な業務について」

なお、基礎工事用機械では、運転席以外の場所で作業装置を操作する場合にも、別途特別教育が必要です。また、建設機械施工管理技術検定の合格者は、種別に応じて技能講習修了者と同じく運転が認められるケースがあります。

ちなみに、バックホウで掘削面の高さが2m以上となる地山の掘削を行う場合は、運転資格とは別に「地山の掘削作業主任者」の選任も必要です。以下の記事で詳しく解説しています。

技能講習の受講時間と費用の目安

技能講習の費用は講習内容によって異なりますが、おおむね4万〜10万円程度です。受講時間は、持っている免許や実務経験によって短くなります。

以下は、バックホウやブルドーザーなどをまとめて運転できる「整地・運搬・積込み用及び掘削用」の目安です。

受講者の例受講時間の目安費用の目安
未経験者38時間(6日程度)9万〜10万円程度
3t未満の機械の実務経験がある人18時間(3日程度)5万〜6万円程度
大型特殊免許の保有者など14時間(2日程度)4万〜5万円程度

基礎工事用や解体用は別の講習ですが、整地等を修了していれば短いコースで受講できます。費用や条件は教習機関によって異なるため、申し込み前に確認しておきましょう。

元請・現場管理者が押さえるべきルール

車両系建設機械を使う現場では、資格者を配置するだけでは安全管理として不十分です。労働安全衛生規則では、事業者に対して以下のような措置を義務づけています。

ルール内容根拠
作業計画の作成機械の種類や運行経路、作業方法を定め、作業者に周知する安衛則第155条
接触防止運転中の機械に接触するおそれのある場所へ立ち入らせない安衛則第158条
合図の統一誘導者を置く場合は、一定の合図を決めて運転者と共有する安衛則第159条
用途外使用の禁止バケットで荷を吊るなど、主たる用途以外の使用は原則禁止安衛則第164条
定期自主検査月1回の定期自主検査と、年1回の特定自主検査を行う安衛則第167条〜第169条の2

出典:e-Gov 法令検索「労働安全衛生規則」

あわせて重要なのが、協力会社のオペレーターが持つ修了証の確認です。紙の写しで管理していると確認漏れが起こりやすいため、資格情報をデジタルで一元管理すると入場時の確認を効率化できます。

なお、重機との接触事故を防ぐためには、作業前の危険予知活動で死角や立入禁止範囲を共有することも効果的です。以下の記事でKY活動の進め方をチェックしてみてください。

車両系建設機械におけるICT施工・遠隔操作の最新トレンド

ICT施工や遠隔操作の普及により、車両系建設機械の使い方は大きく変わりつつあります。ここでは、現場DXの観点から押さえておきたい2つの動きを紹介します。

マシンガイダンス・マシンコントロールの普及

建設DXの波によって、近年では3次元設計データで施工を支援するICT建機が普及し、経験の浅いオペレーターでも精度の高い施工がしやすくなっています。これにより、「熟練者でないと任せられない」という考え方が変わりつつあります。

ただし、ICT建機であっても必要な資格は通常の機械と同じです。技能講習や特別教育が免除されることはありません。

ICT施工で人材を確保したい場合は、まず機体質量に応じた資格を取得させたうえで、ICT機能の操作研修を追加するという順番で計画しましょう。

遠隔操作・無人運転の法整備が進行中

建設業界では今、災害復旧現場を中心にバックホウの遠隔操作が広がっています。それに伴い、厚生労働省は2025年に、遠隔運転や自律運転のルールを定めるための検討会を立ち上げました。

(出典:厚生労働省「機械の無人運転における安全確保等に関する専門家検討会」)

これまでの資格は「機械に乗って運転する人」を前提としていましたが、今後は「離れた場所から操作する人」に求める技能要件も、法令に定められる方向で議論が進んでいます。つまり、現在の資格だけでは足りなくなる可能性があります。

現時点で遠隔操作を導入する場合は、その機械に必要な技能講習や特別教育の修了者に操作させるのが確実です。法令が整備された後は追加の教育が求められる可能性もあるため、厚生労働省の公表資料で最新の動向を確認しておきましょう。

まとめ|車両系建設機械は「資格」と「現場管理」の両面で対応しよう

車両系建設機械は、用途によって6種類に分かれ、運転資格は機体質量3tを境に技能講習と特別教育に分かれます。

ただし、現場の安全は資格だけでは守れません。作業計画の作成や接触防止、定期自主検査、修了証の管理まで含めて、現場全体で対応することが重要です。

ICT施工や遠隔操作の普及に伴い、ルールも変わりつつあるため、法改正の動向にも目を配りながら、安全で効率的な現場づくりを進めていきましょう。