コンクリート打設とは?|手順・時間制限・注意点を建設コンサルタントが解説

コンクリート打設は、構造物の強度と耐久性を決める、やり直しのきかない工程です。
そこでこの記事では、JASS 5(建築工事標準仕様書)と土木学会コンクリート標準示方書の基準にもとづいて、打設の意味と手順、守るべき時間制限、天候別の注意点を解説します。現場の段取りや施工計画の確認にお役立てください。
コンクリート打設とは?意味と読み方
コンクリート打設(だせつ)とは、まだ固まっていない生コンクリートを型枠に流し込み、隙間なく充填して固める作業です。「打込み」とも呼ばれ、JASS 5ではこちらの用語が使われています。
また、打設の良し悪しは、強度不足やひび割れ、鉄筋の腐食につながります。完成後に内部の欠陥を直すのは困難であるため、打設当日までの準備と当日の管理が構造物の寿命を左右すると考えて、計画を立てましょう。
JASS 5について詳しく知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。
コンクリート打設の手順5ステップ
コンクリート打設は「受入検査→打込み→締固め→表面仕上げ→養生」の5ステップで進めます。
①受入検査
まずは、荷卸しした生コンが、発注どおりの品質かを確認します。主な項目と基準はJIS A 5308で次のように定められています。
| 検査項目 | 基準 |
| スランプ | 指定値が8〜18cmの場合、許容差±2.5cm |
| 空気量 | 指定値に対して±1.5% |
| 塩化物含有量 | 塩化物イオン量で0.30kg/m³以下 |
また、受け入れ時には圧縮強度試験用の供試体を採取します。基準を満たさない生コンは使用せず、返却する判断が必要です。
(出典:日本規格協会「JIS A 5308 : 2019 レディーミクストコンクリート」)
②打込み
ポンプ車やバケットを使い、生コンを型枠に流し込みます。材料分離を防ぐため、吐出口から打込み面までの高さは1.5m以下が原則です。高い位置から落とすと砂利が下に偏り、隙間だらけの「ジャンカ(豆板)」の原因になります。1層の厚さは40〜50cm以下を目安に、水平に打ち上げていきます。
また、打込みの工法は、現場の条件に応じて選びます。
| 工法 | 適した現場 |
| ポンプ工法 | 一般的な建築・土木現場、高層階や地下 |
| バケット工法 | ポンプ車が入れない山間部、圧送が難しい場所 |
| シュート・手押し車 | 小規模な打設 |
③締固め
棒形振動機(バイブレーター)を差し込み、内部の空気を抜いて密実にします。目安は、挿入間隔50〜60cm以下、下層に10cm程度差し込み、加振は1か所5〜15秒です。かけすぎると材料分離を招くため、時間を守って作業しましょう。
④表面仕上げ
トンボや金ごてで表面を平らに整えます。ブリーディング水が浮いている間はこてを当てず、水が引いてから仕上げることでひび割れを防げます。
⑤養生
硬化中のコンクリートを、乾燥や急な温度変化から守ります。必要な期間は後述の「コンクリート打設後の養生期間の目安」で解説しています。
練混ぜから打設完了までの時間制限
生コンは、練混ぜから打込み終了までを、外気温が25℃以下なら120分以内、25℃を超えるなら90分以内に終える必要があります。時間制限を表にまとめました。
| 項目 | 外気温25℃以下 | 外気温25℃超 |
| 練混ぜ〜打込み終了 | 120分以内 | 90分以内 |
| 打重ね時間間隔 | 150分以内 | 120分以内 |
※温度の区分は、JASS 5で「25℃未満/25℃以上」、土木学会示方書で「25℃以下/25℃超」と記載されています。
打重ね時間間隔を超えると、先に打った層と後の層が一体化しない「コールドジョイント」の原因になります。工場からの運搬時間と打設量から、時間内に収まるかを事前に逆算しておきましょう。
コンクリート打設における天候・気温別の注意点
コンクリート打設において、雨・暑さ・寒さは、いずれも品質低下につながります。条件に応じて「中止する」か「対策して実施する」かを、事前に決めておくことが重要です。
雨の日
雨水が入ると水セメント比が上がり、強度の低下や表面の脆弱化を招くため、打設を避けましょう。やむを得ず実施する場合は、打設面をシートで覆い、たまり水を除去しながら進めます。
暑い日(暑中コンクリート)
日平均気温が25℃を超える時期は、暑中コンクリートとして扱います。打込み時のコンクリート温度は35℃以下とします。遅延形の混和剤を使ったり、型枠や鉄筋に散水したりして、温度上昇を抑えましょう。
寒い日(寒中コンクリート)
日平均気温が4℃以下になると予想される時期は、寒中コンクリートとして扱います。初期凍害を防ぐため、保温養生が必要です。打設日を決める段階で週間予報を確認し、対策が必要かどうかを判断しましょう。
寒中コンクリートについては、以下の記事でわかりやすく解説しています。
コンクリート打設後の養生期間の目安
湿潤養生の期間は、セメントの種類と日平均気温で決まります。土木学会示方書が定める標準の養生期間を下表にまとめました。
| 日平均気温 | 普通ポルトランドセメント | 早強ポルトランドセメント | 混合セメントB種 |
| 15℃以上 | 5日 | 3日 | 7日 |
| 10℃以上 | 7日 | 4日 | 9日 |
| 5℃以上 | 9日 | 5日 | 12日 |
参考:土木学会「コンクリート標準示方書[施工編]」/コンクリートメンテナンス協会「コンクリートの基礎知識5」
コンクリート硬化後に型枠を外す時期は、日数だけでなく供試体の圧縮強度で判断するのが確実です。工程を組む際は、気温が下がる時期ほど養生日数を長めに見込んでおきましょう。
養生期間について詳しく知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。
コンクリート打設で担当者が押さえたいポイント
打設の品質は、当日の作業より前の準備と段取りでほぼ決まります。施工管理や発注者側の担当者が、打設前に確認しておきたいポイントを4つにまとめました。
| ポイント | 確認する内容 |
| 打設計画 | 打設量、区画、打継ぎ位置、打込み順序が施工計画書に明記されているか |
| 生コン工場との調整 | 運搬時間を踏まえ、時間制限内に収まる出荷間隔になっているか |
| 中止・続行の判断基準 | 雨や気温による中止の条件を、関係者で事前に合意しているか |
| 予備の機材・人員 | ポンプ車や振動機の故障に備え、代替手段を確保しているか |
特に見落とされやすいのが、中止・続行の判断基準です。
基準が曖昧なまま当日を迎えると、生コンの出荷が始まってから判断に迷い、時間制限を超えてしまうおそれがあります。打設前の打合せでは、この4項目をチェックリストとして使い、全員が同じ認識で当日を迎えられるようにしておきましょう。
コンクリート打設の管理はデジタルで効率化できる
打設の時間管理や記録作業は、デジタルツールを使うことで手書きや電話連絡の手間を大きく減らせます。代表的な3つのツールを、打設管理のシーンに分けて整理しました。
| ツール | できること | 打設管理での効果 |
| 生コンの電子伝票 | 出荷・到着時刻を工場と現場で共有 | 経過時間を車両ごとに把握し、時間超過を防げる |
| IoT温度センサー | コンクリート温度を自動で計測・記録 | 強度の発現を推定し、脱型時期を判断できる |
| 遠隔臨場 | 検査の立会いを映像で実施 | 監督員の移動を減らし、検査待ちを防げる |
それぞれ、打設を止められないコンクリート工事だからこそ、効果が出やすい取り組みです。公共工事では使用方法について発注者との事前協議が必要な場合があるため、特記仕様書を確認しておきましょう。
そのうえで、まずは時間管理の負担が大きい現場からひとつのツールを試し、効果を確かめてから広げていくのがおすすめです。
まとめ
コンクリート打設の品質は、受入検査から養生までを基準値どおりに管理できるかで決まります。特に「練混ぜから打込み終了までの時間」と「打重ね時間間隔」は、守れるかどうかが事前の計画でほぼ決まります。
打設計画を立てる際は本記事の表をチェックリストとして活用し、必要に応じてデジタルツールで記録と管理の負担を減らしていきましょう。