国土交通省が舗装省令を25年ぶりに改正、性能保持想定期間の導入などで長寿命化を促進

国土交通省は2026年9月30日、道路舗装に関する二つの基準の見直しを発表しました。対象は「車道及び側帯の舗装の構造の基準に関する省令」と「舗装の構造に関する技術基準」です。
平成13年の基準を四半世紀ぶりに見直し
国土交通省は、「車道及び側帯の舗装の構造の基準に関する省令」(以下、舗装省令)の改正と、「舗装の構造に関する技術基準」(以下、舗装技術基準)の改定を行いました。両基準は2001年(平成13年)に策定されたものです。仕様を細かく決めるのではなく、求める性能で舗装を定める「性能規定」の考え方が取り入れられてきました。
その後、社会のニーズや情勢は大きく変わりました。こうした変化を踏まえ、新技術の導入を進める目的で、25年ぶりの見直しに踏み切っています。
高速道路や国道の舗装に使われる基準
舗装省令と舗装技術基準は、高速自動車国道や一般国道の舗装に適用されます。根拠は道路構造令第23条第2項です。今回の改定には、技術開発や新技術導入の促進、ライフサイクルコストの縮減、循環型社会や脱炭素社会の実現への貢献が期待されています。
背景には二つの課題があります。一つは、新技術の導入が進まず、新材料や新工法を正しく評価する仕組みが求められていることです。もう一つは、再生アスファルト合材の活用や低炭素材料の導入が必要とされていることです。
施行は2027年4月、新規の設計から適用
舗装省令は2026年9月30日に公布され、2027年4月1日に施行されます。省令と技術基準は、2027年4月1日以降に新たに着手する道路舗装の設計に適用されます。
省令の施行日前に行われた設計による道路で、新しい規定に合わない部分がある場合は、従来の例によります。すでに設計を終えた道路に、さかのぼって新基準が適用されることはありません。
今回の改定では、主に三つの変更が行われます。ライフサイクルコストの算出方法の明確化、室内試験を含む性能評価方法の拡充、建設副産物や低炭素材料の活用促進です。それぞれの内容を順に見ていきます。
性能保持想定期間を基にコストを算出
舗装の性能を回復させることが望ましい状態を「性能回復推奨状態」と呼び、この状態に達するまでの期間を「性能保持想定期間」と新たに定義しました。設計では、この期間に基づいてライフサイクルコストを算出することが規定されています。
回復推奨状態の目安は、技術基準に数値で示されました。たとえばひび割れ率は40%以下、わだち掘れ量は40ミリメートル以下です。舗装が長持ちすれば、ライフサイクルコストやCO2排出量の削減につながります。
室内試験も評価方法に加わる
平成13年の技術基準では、実大の供試体による促進載荷試験が必要でした。このため、性能評価のハードルが高い状況が続いていました。改定後は、室内試験の結果などから算出できる方法も認められます。性能保持想定期間の算出方法は、次の三つに分類されます。
- 材料物性法:室内試験などで得た物性値をもとに、数値計算で算出する方法
- 実大経験法:実大供試体での試験や実道での供用実績をもとに算出する方法
- 推定みなし法:性能を代表する室内試験結果などから、性能保持想定期間が既知の舗装構造と比べて算出する方法
材料物性法は、現時点では評価の手法が十分に確立されていません。そのため当面は、実大経験法や推定みなし法を用いる想定です。将来的には、材料物性法の活用を目指します。
建設副産物と低炭素材料の活用を検討
アスファルト・コンクリート塊などの建設副産物について、適正で積極的な再資源化を進めることが規定されました。設計の段階でも、副産物の使用を前向きに検討することが求められます。
あわせて、CO2排出量の少ない建設機械の積極的な採用が盛り込まれました。ライフサイクルCO2を評価する枠組みも新たに導入されます。アスファルト混合物の中温化技術など、低炭素な材料や工法の検討も規定されています。
設計と施工で求められる対応
技術基準の設計の章では、立案した複数の構造案すべてについて、性能ごとに性能保持想定期間を算出するよう定めています。性能保持想定期間の下限は、荷重分散性能については10年、それ以外の性能については2年を標準としています。最終的な構造は、ライフサイクルコストや二酸化炭素排出量などを総合的に考慮して選ばれます。
施工の章では、CO2排出量の少ない建設機械や、交通への影響が小さい工法の採用に努めることが示されました。新技術を活用した場合は、生産性や品質の向上に関する調査結果を記録し、保存するよう求めています。
参考:舗装技術基準
出典情報など
出典:国土交通省,「車道及び側帯の舗装の構造の基準に関する省令」の改正及び「舗装の構造に関する技術基準」の改定について~新技術導入促進による舗装の長寿命化に向けて~,https://www.mlit.go.jp/report/press/road01_hh_002149.html,リリース日:2026-09-30