【2026年版】労働安全衛生規則とは?|労働安全衛生法との違い・内容・罰則を解説

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Category:コラム建築

著者:上野 海

「労働安全衛生規則とはどのようなルール?」「労働安全衛生法とは何が違う?」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。

労働安全衛生規則(安衛則)は、労働安全衛生法に基づき、職場で実施すべき安全管理や衛生管理を具体的に定めた厚生労働省令です。建設業では、高所作業や足場、建設機械、保護具など幅広い場面で関係するため、事業者や現場管理者は内容を理解しておく必要があります。

この記事では、労働安全衛生規則の概要から労働安全衛生法との違い、主な内容、建設業との関係、違反した場合の取り扱いまでわかりやすく解説します。

労働安全衛生規則とは?

労働安全衛生規則とは、労働安全衛生法で定められた内容を実際の職場で実施するため、具体的な基準や措置を定めた規則です。「安衛則(あんえいそく)」と略されることもあります。

労働安全衛生法では、労働災害の防止や労働者の安全・健康の確保などについて基本的なルールが定められています。一方、実際の職場では「誰が安全管理を行うのか」「どのような設備を設置するのか」「どのような安全措置を講じるのか」といった、より具体的な基準が必要です。

そこで、労働安全衛生法や労働安全衛生法施行令などに基づき、職場で必要となる具体的なルールを定めているのが労働安全衛生規則です。

たとえば、安全管理者・衛生管理者などの安全衛生管理体制をはじめ、安全衛生教育、機械や設備による危険の防止、墜落・飛来落下による危険の防止、健康管理など、幅広い内容が定められています。

’(出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」

労働安全衛生規則と労働安全衛生法の違い

労働安全衛生規則と労働安全衛生法の違いは、定めている内容の具体性にあります。

労働安全衛生法では、職場における労働者の安全と健康を確保するための基本的なルールが定められています。一方、労働安全衛生規則では、労働安全衛生法や労働安全衛生法施行令に基づき、事業者が実際に講じる措置などが具体的に定められています。

それぞれの違いを整理すると以下のとおりです。

法令役割
労働安全衛生法労働災害防止や安全・健康確保について基本的なルールを定める
労働安全衛生法施行令法律の規定に基づいて対象となる業務や設備、規模などを具体化する
労働安全衛生規則安全衛生管理や危険防止などの具体的な措置・基準を定める

つまり、「労働安全衛生法→労働安全衛生法施行令→労働安全衛生規則」の順に、現場で必要となるルールが具体的になっていくイメージです。

たとえば、労働安全衛生法では事業者が講じなければならない危険防止措置などについて大枠が定められています。それに対して労働安全衛生規則では、機械による危険や墜落・飛来崩壊などによる危険を防ぐために必要な措置が、より具体的に規定されています。

そのため、実際に現場の安全管理を行う場合は、労働安全衛生法だけでなく、施行令や労働安全衛生規則などの関連法令まで確認することが重要です。

労働安全衛生規則で定められている主な内容

労働安全衛生規則は、「通則」「安全基準」「衛生基準」「特別規制」の大きく4編で構成されており、安全衛生管理体制から具体的な危険防止措置まで幅広い内容が定められています。

4編の主な内容は以下のとおりです。

主な内容
第一編 通則安全衛生管理体制、安全衛生教育、健康管理など
第二編 安全基準機械、荷役作業、墜落・飛来崩壊などによる危険の防止
第三編 衛生基準有害な作業環境や健康障害を防止するための措置
第四編 特別規制特定元方事業者などに関する特別な規制

第一編「通則」

第一編の「通則」では、職場の安全衛生管理を行うための基本的な仕組みが定められています。

たとえば、安全管理者や衛生管理者、産業医などの選任、安全衛生教育、健康診断、面接指導などに関する規定があります。事業場の業種や規模などによって必要となる管理体制は異なるため、自社がどの規定の対象になるのかを確認することが重要です。

第二編「安全基準」

第二編の「安全基準」では、作業中の事故を防止するための具体的な安全措置が定められています。

機械による危険の防止をはじめ、荷役作業、墜落・飛来崩壊などによる危険の防止、電気による危険の防止などが対象です。特に建設業では、高所作業や足場、建設機械などと関係する規定が多いため、現場の安全管理を行ううえで重要な部分となります。

第三編「衛生基準」

第三編の「衛生基準」では、作業によって労働者の健康が損なわれることを防ぐための措置が定められています。

たとえば、有害な作業環境による健康障害の防止、換気、温度・湿度、照明、休養設備、救急用具など、職場環境に関するさまざまな基準があります。事故だけでなく、労働者の健康障害を防止することも労働安全衛生規則の重要な役割です。

第四編「特別規制」

第四編の「特別規制」では、特定元方事業者などに関する特別な規制が定められています。

建設業や造船業などでは、同じ場所で複数の事業者が作業することがあります。そのため、事業者間で安全管理が分断されないよう、作業間の連絡・調整などを行うことが重要です。建設現場では元請会社と複数の関係請負人が同時に作業するケースも多いため、こうした規定についても確認しておく必要があります。

建設業で特に重要な労働安全衛生規則

建設現場では、高所作業や建設機械を使用する作業が多いため、労働安全衛生規則に基づいた安全管理が特に重要です。

建設業と関係が深い主な項目には、以下のようなものがあります。

項目主な安全対策
高所作業作業床・囲いなどによる墜落防止
足場構造や組立・解体、点検などの安全管理
建設機械接触・転倒などを防止するための措置
掘削作業地山の崩壊などを防止するための措置
保護具作業内容に応じた墜落制止用器具などの使用
作業エリア危険箇所への立入禁止など
作業主任者対象作業における作業主任者の選任・指揮

たとえば、高所からの墜落を防止するためには、作業場所や作業内容に応じて作業床や囲いなどを設けなければなりません。また、車両系建設機械を使用する場合には、機械との接触や転倒などを防ぐための安全措置が必要です。

建設現場では元請会社や下請会社の労働者だけでなく、一人親方などが同じ場所で作業するケースもあります。こうした働き方の変化を踏まえ、個人事業者等に対する安全衛生対策も強化されています。一人親方の保護義務については、以下の記事で解説しています。

また、夏場の建設現場では熱中症への対策も欠かせません。2025年6月からは職場における熱中症対策が強化され、対象となる作業を行う場合には、熱中症のおそれがある人を早期に発見し、適切に対応するための体制整備や手順の作成などが求められています。詳しくは以下の記事で解説しています。

労働安全衛生規則・関連法令の2026年以降の改正

労働安全衛生規則を含む労働安全衛生関係の法令は、22026年以降も順次改正・施行が行われます。ただし、2026年にすべての規定が一斉に変更されるわけではありません。

2025年5月には「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律」が公布され、改正内容に応じて2026年以降、段階的に施行されます。

以下に、主な改正ポイントをまとめました。

  • 個人事業者等に対する安全衛生対策
  • 職場のメンタルヘルス対策
  • 化学物質による健康障害防止
  • 機械等による労働災害防止
  • 高年齢労働者の労働災害防止

特に建設業では、一人親方をはじめとする個人事業者等と労働者が同じ場所で作業するケースも多いため、個人事業者等への安全衛生対策に関する改正内容を確認しておくことが重要です。

労働安全衛生規則に違反するとどうなる?

労働安全衛生規則に違反した場合、その内容によっては労働安全衛生法にもとづく罰則や行政上の措置の対象となる可能性があります。

重要なのは、「労働安全衛生規則違反=一律で同じ罰則」ではないという点です。違反した規定や、その根拠となる労働安全衛生法の条文によって適用される罰則は異なります。

たとえば、労働安全衛生法で義務付けられている特別教育を実施せず、対象となる危険・有害業務に労働者を就かせた場合などは、50万円以下の罰金の対象となることがあります。ただし、適用される罰則は違反した条文によって異なるため、「労働安全衛生規則に違反した場合は一律で○万円」と決まっているわけではありません。

(出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法第59条・第119条」

また、労働基準監督署による監督指導で法令違反が確認された場合には、是正を求められることがあります。さらに、労働者に急迫した危険があると判断される場合には、機械・設備の使用停止や作業停止などの命令が行われるケースもあります。

特に建設現場では、足場や高所作業、建設機械などの安全管理が不十分な状態を放置すると、墜落・転落や機械との接触といった重大な労働災害につながりかねません。そのため、罰則への対応だけを目的にするのではなく、現場で働く人の安全を守るために、作業前のリスク確認や設備の点検、安全教育などを日常的に実施することが重要です。

労働安全衛生規則に関するよくある質問

労働安全衛生規則の全文はどこで確認できる?

労働安全衛生規則の最新の条文は、e-Gov法令検索や厚生労働省のWebサイトから確認できます。改正によって内容が変更されることもあるため、実務で確認する場合は最新の条文を参照しましょう。

労働安全衛生規則は誰が守る?

労働安全衛生規則では、事業者や労働者などに対して、規定に応じた義務や措置が定められています。また、建設現場では元方事業者や特定元方事業者などに特別な義務が課される場合もあります。

まとめ|労働安全衛生規則の内容を理解して安全な職場づくりにつなげよう

労働安全衛生規則は、労働安全衛生法や労働安全衛生法施行令にもとづき、職場における安全・衛生管理の具体的なルールを定めた厚生労働省令です。

安全衛生管理体制や安全衛生教育、機械・設備、墜落防止、健康管理など幅広い内容が規定されています。なかでも建設業では、高所作業や足場、建設機械など危険を伴う作業が多いため、労働安全衛生規則に基づいた安全管理が重要です。

また、労働安全衛生に関する法令は、労働災害の状況や働き方の変化などに合わせて改正されています。事業者や現場管理者は最新の法令や改正情報を確認し、自社の作業内容に応じた安全対策を継続していきましょう。