大成建設、福島県田村市の次世代技術実証拠点で雨水循環と舗装技術の本格運用を開始

20260805_次世代技術実証センターT-FIELD/TAMURA

大成建設と大成ロテックは、福島県田村市に整備した「大成建設グループ次世代技術実証センター/田村『T-FIELD/TAMURA』」(通称・たむラボ)の本格運用を開始しました。

雨水を活用した水循環の自立化や生物多様性の保全・再生、次世代舗装技術の早期実用化など、自然共生社会と道路インフラに関する社会課題の解決を目指す実証拠点です。社会実装を前提とした技術検証の場として構築され、管理棟、ネイチャーフィールド、舗装のテストコースという3つの施設で構成されています。

雨水だけで循環する管理棟

施設の中核となるのが「自然共生型管理棟(ゼロウォータービル(ZWB))」です。水道水はバックアップ用途に限定し、屋根から集めた雨水を建物単位で浄化・循環利用する仕組みを取り入れました。屋根面積300平方メートルから集水した雨水を最大30トンの貯留槽にため、浄化処理後に上水として利用します。

生活排水も微生物膜処理で中水化し、トイレ洗浄水として再利用する設計です。貯留槽や処理設備は、常時の施設利用者に加えて1日30人の来訪者にも対応できる容量を確保しており、災害時にも水利用を継続できるフェーズフリー型施設として整備されています。

AIが貯水量を予測して制御

貯留槽の運用には、AIによるリアルタイム予測制御を導入しました。気象予報の降雨量や建物内の水使用量、過去の実績データ、入退館情報を統合的に処理し、30分ごとに必要な貯水量を予測します。

自社開発の室内環境最適制御システム「T-Factory NEXT」を活用することで、降雨量の多い季節でも必要最低限の水量のみを貯留し、ろ過に要する電力などのランニングコスト削減とフィルターの長寿命化を図ります。

田村市産のスギで木造大空間

管理棟には田村市産のスギ製材を採用しました。12ミリ角・3メートル材という小断面の部材を交差させながらアーチ状に組み上げることで、大断面の集成材を使わずに約11メートルスパンの木造大空間を構築しています。

地域林業との連携によって資源の有効活用を図るとともに、地元で生産された材を使うことで輸送や加工に伴う環境負荷を抑え、木材利用を通じた脱炭素化への貢献も見据えています。

30年かけて自然を再生する実証地

テストコースの内側と外周部、約7万平方メートルの敷地には「ネイチャーフィールド」を設けました。外周部の約1万9000平方メートルには早期樹林化を目指す森を、内側の約5万1000平方メートルには半自然草原・湿地を整備し、30年にわたって生態系・種・遺伝子の各レベルで自然再生を検証します。

独自の森林形成技術「T-GROVEUP」により先駆種と遷移後期種の苗を混植し、植生の遷移を加速させるほか、地域住民と協力した種取り・種まき活動も進めています。

生物多様性を数値で可視化

生物多様性の評価には独自手法「Japan Biodiversity Metric」を用い、造成地の変化を開発前後で比較しながら定量的に可視化します。従来の緑化にとどまらない自然再生の効果を客観的に示せる点が特徴で、将来的には生物多様性クレジットの創出や、自然価値を踏まえた環境技術の事業化にもつなげていく方針です。

耐久評価を3分の1に短縮する試験路

道路インフラ分野では、民間施設として国内初となる実寸大の舗装耐久性評価用試験路を整備しました。5台の大型トレーラーが昼夜連続で自動運転走行することで、実際の道路設計年数に相当する耐久性評価期間を3分の1程度以下に短縮できます。1周909メートルの楕円形コースは直線区間100メートルを2区間持ち、有効幅員3.8メートルを確保しています。

18種類の舗装技術を同一条件で比較

コースは18区画に分けられ、低炭素アスファルトや高耐久アスファルトなど異なる舗装技術を同一条件で比較検証できます。

ひび割れやわだち掘れといった損傷が発生しにくく、CO2削減や資源リサイクルにもつながる次世代舗装技術の早期実用化を後押しする狙いです。また、走行中の車両に非接触で給電する「無線給電舗装」も敷設済みで、検証がすでに始まっています。

既存3拠点と連携し社会実装を加速

「たむラボ」は、水・自然・道路という社会基盤分野を横断的に統合した実証フィールドです。神奈川県横浜市の大成建設技術センター、埼玉県鴻巣市の大成ロテック技術研究所、大成建設グループ次世代技術研究所「T-FIELD/SATTE」に続く拠点として、既存施設との連携によるシナジー創出を図ります。

本格稼働を機に、環境性能とレジリエンスを両立させるインフラ技術を国内外へ展開し、持続可能で強靭な社会の実現を目指すとしています。

出典情報など

出典:大成建設株式会社,大成建設グループ次世代技術実証センター/田村「T-FIELD/TAMURA」が本格運用を開始 ゼロウォータービル(ZWB)を中核に、自然共生と次世代舗装技術を実証,https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2026/260804_11151.html,リリース日:2026-08-04