【2026年最新】労働安全衛生法の改正点|建設業の違反率・労災推移・現場対応を解説

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死亡者が減っていても、建設現場の安全管理を後回しにはできません。2025年の建設業では214人が労働災害で死亡し、全産業の死亡者700人の約3割を占めました。

2026年4月からは、一人親方なども混在作業の統括管理に含まれます。従来の労働者名簿だけでは対象を管理できません。元方事業者は入場者の区分や連絡経路まで見直す段階に入っています。

本技師では、2026年の労働安全衛生法の改正点をみていきましょう。

労働安全衛生法とは?建設現場では元方管理まで問われる

労働安全衛生法は、働く人の安全と健康を守るための基準を定めた法律です。建設業では、個社の安全措置だけでなく混在作業の連絡調整も対象になります。

違反が確認されると是正指導に加え、作業停止や立入禁止を命じられるケースもあります。山形労働局の2025年一斉監督では、106現場のうち53現場で違反が見つかりました。10現場には立入禁止や作業停止の命令が出ています。

2026年の労働安全衛生法改正|建設業で変わった点

2026年は、改正労働安全衛生法が段階的に施行される年です。現場管理へ直結する変更を施行日順に確認しましょう。

施行日主な変更建設現場で見直す内容
2026年1月1日特定自主検査の基準を明確化検査記録と登録検査業者を確認
2026年4月1日統括管理の対象を個人事業者等へ拡大一人親方を含む入場管理へ変更
2026年4月1日高年齢労働者対策を努力義務化配置と作業方法を年齢特性から検討
2026年10月1日個人ばく露測定の精度を担保対象作業と測定者の資格を確認
2027年1月1日個人事業者等の業務上災害報告休業4日以上の報告経路を準備

出典:厚生労働省「労働安全衛生法及び作業環境測定法改正の主なポイント

一人親方を含む作業従事者まで統括管理する

2026年4月1日から、元方事業者が行う指導や連絡調整の対象が広がりました。雇用される労働者だけでなく、同じ場所で働く個人事業者等も含まれます。

入場時には雇用形態だけで区分せず、当日の作業内容と危険情報の伝達先を記録しましょう。朝礼や災害防止協議会も、全作業従事者へ情報が届く運用に変えます。

機械検査と技能講習の確認を記録で残す

2026年1月から、フォークリフトや車両系建設機械などの特定自主検査に基準が設けられました。技能講習修了証の不正交付に対する規制も強化されています。

機械を持ち込む時は検査済標章だけで判断せず、検査年月日と業者名を記録します。資格証の写しは有効範囲まで照合すると、現場配置の誤りを減らしまょう。

高年齢者と化学物質の管理も2026年に更新する

高年齢労働者の特性に配慮した作業環境や作業管理は、2026年4月から事業者の努力義務です。建設業では60歳以上が就業者の25.8%を占めるため、配置基準へ反映する必要があります。

2026年10月には、対象となる個人ばく露測定を有資格者が基準に従って行う制度が始まります。塗料や溶剤を扱う工事は、化学物質管理者が対象物質と測定要否を確認しましょう。

建設業の労働災害は減少傾向でも死亡者の3割を占める

建設業の死亡者数と休業4日以上の死傷者数は、長期的には減少しています。ただし、死亡災害の構成比は依然として高い水準です。

死亡者数休業4日以上の死傷者数
2021年278人14,926人
2022年281人14,539人
2023年223人14,414人
2024年232人13,849人
2025年214人13,437人

出典:厚生労働省「令和7年における労働災害発生状況(確定値)

2025年の死亡者数は2022年より23.8%減りました。第14次労働災害防止計画が掲げる2027年の15%減という水準を数値上は下回っています。ただし、単年の減少だけで2027年目標の達成は確定しません。

2025年の死亡者214人は、全産業700人の30.6%です。件数が減ったという評価と、業種別で最多という現状を分けて読む必要があります。

建設現場の違反数はどう推移しているか

建設業の違反状況は、労働局の監督結果から具体像を確認可能です。たとえぱ、山梨県では以下のような結果になっています。

建築工事土木工事
2020年213件/285件(74.7%)101件/203件(49.8%)
2021年273件/428件(63.8%)157件/307件(51.1%)
2022年211件/348件(60.6%)113件/228件(49.6%)
2023年199件/294件(67.7%)140件/265件(52.8%)
2024年230件/370件(62.2%)117件/245件(47.8%)

出典:山梨労働局「建設業における労働災害防止のために」/件数は違反事業場数と監督実施事業場数

土木工事も約5割で推移しています。監督対象は無作為抽出ではないため、数値を全国の建設現場へ当てはめることはできません。

違反率は下がり続けているわけなく、建築工事は2023年に67.7%へ上昇し、2024年も62.2%でした。安全書類の有無より、足場や作業床が現場で機能しているかが問われます。

2025年の監督指導で見つかった違反の傾向

2025年には、従来型の墜落防止違反に加えて熱中症対策の違反も確認されました。

  • 富山県:160現場中94現場で法違反等を確認。車両系建設機械は25現場で違反
  • 富山県:熱中症対策は10現場で違反。報告網や救急搬送手順が確認対象
  •   山形県:106現場中53現場で違反。元方事業者の指導不足は31現場
  • 山形県:足場や高所作業の違反により10現場へ立入禁止・作業停止命令

監督結果からは、元方管理と物理的な墜落防止措置が同時に見られていると分かります。2026年は一人親方まで統括管理の対象が広がり、名簿と現場運用の一致も確認する必要があるといえるでしょう。

2026年に優先する4つの安全衛生対策

法改正への対応は、規程の差し替えだけでは完了しません。監督で確認できる記録と現場の動きをそろえます。

入場管理を雇用形態から作業従事者単位へ変える

労働者や一人親方を分けて管理していた現場は、全作業従事者を一覧化します。所属と資格に加え、作業区域と指揮連絡先も記載します。

墜落防止は設備と使用状況を分けて確認する

2025年の建設業では、墜落・転落による死亡者が91人でした。墜落制止用器具は装着だけでなく、フックの使用と取付設備まで巡視項目に入れます。

熱中症対策は報告から搬送まで時刻で記録する

2025年の建設業では、熱中症による死傷者が292人に増えました。死亡者5人は業種別で最多です。2025年6月施行の規則では、早期発見の体制や実施手順の作成が義務になっています。

WBGT28度以上または気温31度以上で、連続1時間以上か1日4時間を超える作業が対象です。連絡を受けた時刻や作業離脱、身体冷却と搬送判断を記録します。

デジタル巡視は記録の精度を上げる用途で使う

特定元方事業者の巡視は、一定の条件下でカメラなどを使った遠隔実施が認められています。厚生労働省も2026年度の建設業対策で活用を推進しています。

映像を残すだけでは、是正の担当者と期限が分かりません。指摘箇所や是正前後の画像をひも付け、未完了項目を日次で確認できる運用にします。

労働安全衛生法の違反を防ぐ現場確認表

2026年の確認表には、改正項目と監督へ指摘が多い項目を一緒に載せます。担当者と確認日を記録すると未処理を追跡できます。

  • 一人親方を含む全作業従事者を入場者一覧へ登録したか
  • 作業間の連絡調整と危険情報の周知記録が残っているか
  • 足場や開口部の点検結果と是正写真が一致しているか
  • 車両系建設機械の作業計画と誘導者の配置が一致しているか
  •   特定自主検査の年月日と登録検査業者を確認したか
  • WBGT測定と熱中症の報告・搬送手順を周知したか
  • 高年齢者の配置と作業方法を身体特性から検討したか
  • 塗料や溶剤のSDSとリスクアセスメント結果を共有したか

まとめ

2026年の労働安全衛生法対応では、管理対象の広がりが最大の変化です。一人親方を含む作業従事者まで、連絡調整や危険情報の共有に組み込む必要があります。

建設業の死亡者数は減っていますが、全産業の約3割を占めます。違反率も地域の監督結果では建築工事が6割前後です。評価の基準は書類の枚数ではなく、誰がどの危険を確認して是正したかを追跡できる状態にすることが重要です。