鹿島建設と竹中工務店、萩原工業の3社が建設現場の防炎シートで水平リサイクル実証

20260821_防炎シートの水平リサイクル実証

鹿島建設株式会社と株式会社竹中工務店、萩原工業株式会社の3社は、建設現場で使われる防炎シートを対象に、水平リサイクルの実証事業をスタートしました。

使用済みのシートを回収して原料に戻し、再び防炎シートとして生まれ変わらせる取り組みで、建設業界では初めての挑戦となります。3社は現場での使用から回収、再製品化、再使用までを一貫して実証し、資源を無駄にしない仕組みづくりを目指しています。

水平リサイクルとはどんな仕組みか

水平リサイクルとは、使用済みの製品を回収したうえで原料の状態まで戻し、もとと同じ種類の製品に作り直す手法です。廃プラスチックを燃やして熱エネルギーとして利用するサーマルリサイクルと比べると、二酸化炭素の排出量を抑えられる点が特徴です。

素材としての価値を保ったまま循環させられるため、環境への負荷が小さい先進的なリサイクル方法として近年注目を集めています。

建設現場から再びシートへ

今回の実証では、鹿島と竹中工務店の建設現場で使い終えた防炎シートを回収し、萩原工業がリサイクル処理を担当します。処理後の再生シートは新たな防炎シートとして再製品化され、両社の現場で再び使用される計画です。

「使用」「回収」「再製品化」「再使用」という一連の流れを3社で連携しながら実証し、循環の仕組みが実際に成り立つかを確かめていきます。単発の試みではなく、継続的に運用できる仕組みとして機能するかどうかを見極める点が今回の狙いです。

防炎剤が壁になっていた技術課題

背景には、2022年4月に施行された「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」があります。プラスチック製シートについても、水平リサイクルを含むマテリアルリサイクルの推進が求められるようになりました。

もっとも、建設現場で発生する使用済み防炎シートは、含まれる防炎剤の影響から水平リサイクルが難しいとされてきました。萩原工業がこの課題に取り組み、技術開発を進めたことで、実現に向けた技術的なめどが立ったといいます。長年培ってきた樹脂リサイクルの知見が、防炎剤という壁を乗り越える手がかりになったようです。

回収と再製品化を支えるサプライチェーン

技術的な実現性に加えて欠かせないのが、使用済みシートを継続的に回収し、安定してリサイクル工程に投入できる体制です。そこで3社は、防炎シート単体のリサイクルだけでなく、サプライチェーン全体としての実現可能性についても検証することにしました。

鹿島と竹中工務店は、リサイクル可能な素材でつくられた萩原工業の防炎シートを購入し、実際の施工現場で使用します。使用後は現場ごとに分別して回収し、萩原工業のリサイクル施設へ運び込みます。回収から再製品化までを実際の建設現場で繰り返し行うことで、仕組み全体の実効性を確かめる狙いがあります。

ブルーシートの技術を防炎シートへ応用

萩原工業は、ブルーシートのリサイクルで培ってきた特殊洗浄や再生ペレット化の技術をさらに発展させ、防炎シートの再製品化に活用します。

こうしてできあがった再生防炎シートを鹿島と竹中工務店が改めて購入し、各建設現場で使用する流れです。3社はこの資源循環スキームを継続して運用し、本スキームの実現可能性を検証します。現場での使用感やリサイクル品質など、実際の運用を通じてしか見えてこない部分にも目を向けていくとしています。

循環型社会に向けた新たなモデルづくり

防炎シートの水平リサイクルは、建設業界にとって前例のない取り組みです。3社はこの実証事業を、循環型社会の実現に向けた重要な一歩と位置づけています。今後は事業を通じて得られた知見を生かし、建設業が抱える課題に焦点を当てたマテリアルリサイクルをさらに進めていく考えを示しています。

建設現場における持続可能な資源循環のモデルとして、今後の展開が注目されます。廃棄物として扱われてきた資材が新たな価値を持つ形で現場に戻ってくる点は、業界にとっても参考になる事例といえそうです。

出典情報など

出典:株式会社竹中工務店,建設現場で使用した防炎シートの水平リサイクルに関する実証事業を開始,https://www.takenaka.co.jp/news/2026/08/01/pdf/20260806_Release_bouensheet.pdf,リリース日:2026-08-06