大林組、生成AIで設計初期の法令調査・要件整理業務を効率化し所要時間67%短縮

20260821_設計初期段階の法令調査・要件整理業務を効率化

建設プロジェクトの設計現場では、法令や条例の確認作業に多くの時間を取られがちです。株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:佐藤俊美)は、設計初期段階における法令調査や要件整理の業務に生成AIを取り入れ、その効果を検証したことを発表しました。

法令データや社内に蓄積された知見を活用することで、業務にかかる時間を大きく減らせることが確かめられ、設計担当者がより本質的な業務に集中できる体制づくりにつながる結果となりました。

散らばる情報が確認作業の壁に

建設プロジェクトの設計では、建築基準法をはじめ、顧客からの要望や地域ごとの条例、省エネや環境に関する基準など、目を通すべき事項が非常に多くあります。とりわけ基本方針の策定や基本計画、基本設計といった上流の段階では、必要な情報が関係者の間に分散してしまい、確認や判断に時間がかかりやすいという課題を抱えていました。

大林組が設計部門を対象に行った意識調査でも、「法令・条例・基準の調査」が最も時間を要する業務として挙げられており、情報整理の効率化が急務となっていました。こうした業務の負担を軽くすることは、設計の品質を保ちながら顧客への提供価値を高めるうえでも欠かせない課題となっています。

知見を蓄積したAIが論点を提示

こうした背景を踏まえ、大林組は建設に特化したAIエージェントプラットフォーム「Tektome」を業務に導入しました。このシステムには法令データに加え、社内に蓄積されてきた過去の法令解釈や設計検証の知見がナレッジとして組み込まれています。

これにより、設計初期の段階で確認しておくべき論点や留意事項を、根拠となる資料とあわせて参照できる仕組みが整いました。

法令確認の認識共有と手戻りを抑制

設計担当者と法令確認を担う関係部門との間で認識をそろえやすくなるほか、設計の後半で問題が判明することによる手戻りを防ぐ効果も期待されています。単に法令を検索するだけでなく、過去の判断事例まで踏まえて確認できる点が、この仕組みの大きな強みといえます。

基本方針から基本設計まで支援

今回の仕組みは、設計受託にあたっての基本方針の検討から基本計画、基本設計に至るまでの一連の流れの中で活用されています。各段階で必要となる法令の確認や要件の整理、関連情報の検索を生成AIサービスが後押しする形をとっており、設計担当者の業務効率化につながる点が特徴です。

上流工程で判断材料をそろえやすくなることは、その後の工程を滞らせないためにも大きな意味を持ちます。加えて、法令確認にとどまらず、社内に蓄積された過去の法令解釈や設計検証の知見も参照できる点が、設計担当者の負担を和らげる要素となっています。

週4.3時間が1.4時間に減少

実際の効果を確かめるため、大林組は実務担当者を対象とした検証を実施しました。その結果、法令や条例の確認に費やす時間は、これまで1人あたり週平均4.3時間だったのに対し、Tektomeの活用後は1.4時間まで減少し、約67%の短縮が確認されました。

あわせて、法的な検証における論点整理や確認すべき観点が明確になったと感じた担当者は全体の100%にのぼりました。具体的には、相談前の内容整理や関連法令の見当をつける作業で効果を感じたとの回答が各66%を占め、過去の検討内容を振り返る作業や条文・根拠の特定で効果を感じたとの回答も各50%にのぼっています。

創造的な設計業務へ注力する狙い

大林組は今回の成果をもとに、設計プロセス全体における生成AIの活用をさらに広げていく方針を示しています。法令調査や要件整理にかかる負担を軽減することで、設計担当者が構想の検討や顧客対応といった、より創造的な業務に時間を割ける環境を整えていく考えです。

あわせて法令順守と設計品質の維持・向上を両立させながら、顧客への提供価値をさらに高めていくことを目指しています。今後は他の設計プロセスへの応用も視野に入れ、社内での活用範囲を段階的に広げていく見通しです。設計初期段階の負担軽減が進めば、顧客との対話に割ける時間も増え、提案の質を高めることにもつながっていきそうです。

出典情報など

出典:株式会社大林組,大林組 設計初期段階の法令調査・要件整理業務を効率化 生成AI活用により法令対応業務にかかる時間を67%短縮、設計検討に注力,https://www.obayashi.co.jp/news/detail/news20260819_1.html,リリース日:2026-08-19