大成建設、鹿児島東西道路のシールドトンネルに環境配慮コンクリート初適用、製造CO2約7割減

20261013_環境配慮コンクリートのインバート部材

大成建設は2026年9月30日、CO2排出量を大幅に減らせる環境配慮コンクリート「T-eConcrete/セメント・ゼロ型」を、国土交通省九州地方整備局が発注する「鹿児島東西道路」の道路用シールドトンネルに初めて適用したと発表しました。トンネル底面に据え付けるインバート部材に使われています。

66基の部材で約37.7tのCO2を削減

対象は外径11.34mのシールドトンネルで、ビルの3階建てに匹敵する大きさです。延長99mの区間に、同じ材料でつくったインバート部材66基を設置しました。

従来の材料と同等の性能と施工性を保ったまま、材料製造時のCO2排出量を従来比で約70%減らし、累計で約37.7t-CO2の削減につながりました。公公共インフラの連続施工においても実用性が確認されました。

鹿児島東西道路の工区とトンネルの概要

鹿児島東西道路は、九州縦貫自動車道や南九州西回り自動車道などの結節点にあたる鹿児島ICと、鹿児島市の中心市街地を結ぶ高規格道路の整備事業です。

対象の工区は田上IC~甲南IC(仮称)の下り線2,319mで、シールドトンネルのセグメントには、形状や寸法、構造の異なる数種類が使われています。今回は、外径11.34mのシールドトンネルの延長99m区間に、インバート部材66基を適用しました。

高い品質が求められる道路トンネルの課題

道路用シールドトンネルは、走行の安全性や維持管理のしやすさが重視されます。そのため部材には非常に高い強度と耐久性が必要です。

一方、従来のコンクリートの主原料であるセメントは、製造時に多くのCO2を出します。大規模なインフラで環境に配慮した材料へ切り替えることが急がれてきました。しかし、品質基準の厳しい公共工事で、環境性能と両立する新材料が実際に採用された例は限られています。

セメントを使わず高炉スラグを主原料にした材料

「T-eConcrete/セメント・ゼロ型」は、セメントをまったく使わず、産業副産物の高炉スラグを主原料にしたコンクリートです。構造物に求められる性能を満たしながら、CO2排出量を大きく減らせます。

これまでに、下水処理場のシールドセグメントや、民間企業が発注した地中送電洞道のインバートブロックで、試験ではなく実際の構造物として施工を重ねてきました。今回はその実績を土台に、要求水準がより厳しい国の道路インフラ事業へ用途を広げ、社会実装を一歩進めました。

今回の適用で確認できた3つの特長

大成建設は、今回の工事で次の3点を確認したと説明しています。

連続施工でも環境性能と実用性を確認

今回の工事では、道路用シールドトンネルの連続施工においても、安定したCO2排出量の削減効果を確保できることを確認しました。また、産業副産物である高炉スラグを大量に活用することで、資源の有効利用にも貢献しています。

従来と同等の物性と施工性を確保

道路トンネル用のインバート部材に必要な強度と耐久性を備えています。プレキャスト部材の製作から、現場での組み立てや据え付けまで、従来と同等の工程と品質で進められることを、この工事で実証しました。配合、製造、施工の各段階で従来工法との整合性も確認しており、既存の設計・施工手順との高い適合性が確認されました。

公共工事での採用が普及の土台に

国土交通省が管轄する道路事業での適用により、建設機械だけでなく、コンクリート材料の選び方でもCO2排出量を減らせることが明らかになりました。

九州地方でのT-eConcreteのインフラ適用は、今回が初めてです。道路、鉄道、上下水道のトンネルなど、似たインフラへ広げていくことが現実的な選択肢になりました。

全国展開に向けた今後の取り組み

今後は、構造物や建築物に求められる性能に応じてT-eConcreteの各タイプを選び、インフラや建築の分野へ適用を広げます。

設計指針や施工標準の整備、サプライチェーンとの連携強化も進め、全国展開を加速させる考えです。CO2排出量の削減と産業副産物の有効利用を一体で進め、脱炭素社会と資源循環社会の実現を目指します。

T-eConcreteの種類とインバート部材の基礎知識

T-eConcreteは、製造時のセメント使用を抑えてCO2排出量を減らすコンクリートです。建築基準法対応型、フライアッシュ活用型、セメント・ゼロ型、Carbon-Recycleの4タイプがあり、用途に応じて選べます。

Carbon-Recycleは、高炉スラグに加えて排ガスなどのCO2から製造した炭酸カルシウムを練り混ぜ、CO2を固定することでカーボンネガティブを達成します。なおインバート部材とは、トンネル底面に据え付ける逆アーチ型のプレキャスト部材のことです。

参考:大成建設 T-eConcrete 技術解説ページ

出典情報など

出典:大成建設株式会社,環境配慮コンクリート「T-eConcrete®/セメント・ゼロ型」を国交省直轄の大断面シールドトンネルに初適用 材料製造時のCO2排出量を約70%削減し、公共インフラの脱炭素化を加速,https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2026/260930_11086.html,リリース日:2026-09-30