地山掘削作業主任者とは?|資格の取り方・受講条件・仕事内容・難易度を解説

地山掘削作業主任者は、地山の崩壊や土石の落下などによる労働災害を防ぐため、掘削現場で作業員を直接指揮する責任者です。掘削面の高さが2m以上になる地山の掘削作業では、事業者が有資格者の中から作業主任者を選任しなければなりません。
そこでこの記事では、資格が必要になる条件や取得方法、仕事内容、講習の難易度などを分かりやすく解説します。
地山掘削作業主任者とは
まず「地山」とは、掘削する前の地盤や土地を指します。道路工事、建築物の基礎工事、上下水道工事、宅地造成工事など、地面を掘り下げる多くの工事が関係します。
そして「地山掘削作業主任者」は、これらの工事を始動する責任者となります。建設業労働災害防止協会が実施する「地山の掘削及び土止め支保工作業主任者技能講習」を修了した人の中から、事業者が選任します。
なお、技能講習を修了しただけで自動的に作業主任者になるわけではありません。まず「講習の修了」で資格を取得し、「事業者による選任」により、現場の作業主任者となれます。
作業主任者の配置が必要になる条件
労働安全衛生規則 第359条により、次の作業では作業主任者の選任が必要です。
- 掘削面の高さが2m以上となる地山の掘削作業
- 土止め支保工の切りばり、腹おこしの取付けまたは取り外し作業
なお、掘削面が2m未満であれば安全対策が不要になるわけではありません。地質や含水状態、湧水、亀裂、周辺構造物などを確認し、崩壊のおそれがある場合は土止めなどの対策が必要です。
ちなみに、ずい道や坑内で行う地山の掘削については、主任者を選にせずとも工事を行えます。
地山掘削作業主任者の仕事内容
地山掘削作業主任者の主な職務は、労働安全衛生規則第360条で次のように定められています。
①作業方法を決めて直接指揮する
地山の状態や作業計画を確認し、掘削の順序、作業方法、人員配置などを決定します。作業員に具体的な指示を出し、安全な手順で作業が進むよう現場を指揮します。
②器具や工具を点検する
作業に使用する器具や工具を点検し、破損や変形などがある不良品を取り除きます。土止め支保工作業主任者として選任された場合は、使用材料の欠点についても確認します。
③保護具の使用状況を監視する
保護帽や要求性能墜落制止用器具などが、正しく使用されているかを監視します。現場ではこれらに加え、浮石や亀裂、含水、湧水の状態、掘削面の変化などにも注意が必要です。作業開始前のほか、大雨や中震以上の地震の後、発破後には、法令にもとづく点検を確実に行わなければなりません。
また、地山掘削時には土量計算も必要です。詳しくは以下の記事をチェックしてみてください。
資格を取得するための条件
「地山の掘削及び土止め支保工作業主任者技能講習」を受講するためには、原則として次のいずれかの受講資格が必要です。
- 地山の掘削または土止め支保工の対象作業に3年以上従事した経験がある
- 大学、高等専門学校、高校で土木または建築に関する学科を卒業し、その後、対象作業に2年以上従事した経験がある
- 法令で定められた職業訓練を修了し、対象作業に必要な期間従事している
実務経験として数えられるのは、基本的に18歳以降の期間です。
また、申し込みでは、勤務先による実務経験証明が求められるのが一般的です。学歴や職業訓練による受講資格を利用する場合は、卒業証書や修了証なども必要になります。
ちなみに、土木施工管理技士、技能検定合格者、職業訓練指導員免許取得者などは、一部科目が免除される場合があります。対象資格は細かく定められているため、申込先の登録教習機関へ事前に確認しましょう。
講習内容・日数・費用
全科目を受講する場合の法定講習時間は合計17時間+修了試験で、一般的には3日間の日程で実施されます。主な科目は次のとおりです。
| 講習の内容 | 時間 | 日程 |
| 作業方法に関する知識 | 10時間30分 | 1~2日目 |
| 工事用設備、機械、器具、作業環境等に関する知識 | 3時間30分 | 2日目 |
| 作業者に対する教育等に関する知識 | 1時間30分 | 2~3日目 |
| 関係法令 | 1時間30分 | 3日目 |
| 修了試験 | - | 3日目 |
受講料は教習機関や免除区分によって異なります。たとえば、2026年度の建災防福岡県支部では、全科目の受講料とテキスト代の合計が、会員17,985円、非会員19,470円です。一部免除の場合は、会員11,385円、非会員12,870円となっています。
料金や開催日、必要書類は変更されることがあるため、必ず受講する教習機関の最新案内を確認してください。
(出典:建設業労働災害防止協会 福岡支部「地山の掘削・土止め支保工作業主任者技能講習」)
試験の難易度と合格率
講習の最終日には修了試験が行われます。全国共通の合格率は公表されておらず、教習機関によって試験の運用も異なるため、正確な合格率を一律に示すことはできません。
ただし、資格試験のように受験者を順位で選抜するものではなく、講習内容を理解できているかを確認する試験です。授業を欠席せず、重要事項を復習しておけば、過度に難しい試験ではありません。
地山の性質、崩壊防止、土止め支保工の構造、点検方法、作業主任者の職務、関係法令などを重点的に押さえましょう。
また、地山掘削作業主任者は建設キャリアアップシステム(CCUS)におけるレベル判定の審査対象となります。CCUSの概要を知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。
まとめ|工事内容を確認して地山掘削作業主任者の講習を受けよう
地山掘削作業主任者は、掘削面の高さが2m以上となる地山の掘削現場などで必要になる重要な責任者です。
資格取得には原則3年以上の実務経験が必要で、一定の学歴や職業訓練歴がある場合は2年以上の実務経験で受講できることがあります。講習は通常3日間で、最後に修了試験が実施されます。
取得を検討する際は、自分の実務経験が受講要件を満たしているか、科目免除の対象になる資格を持っていないかを確認したうえで、地域の登録教習機関へ申し込みましょう。