土量計算の方法を解説|地山・ほぐし・締固め・残土を実例で計算

土量計算では、掘削前の「地山土量」、掘削後の「ほぐし土量」、転圧後の「締固め土量」を区別して考える必要があります。
たとえ同じ土であっても、掘削や締固めによって体積が変わります。また、工事をする際には、掘削土量だけでなく、盛土に使える量や残土として搬出する量まで求めなければなりません。
そこでこの記事では、土量計算の基本式から、掘削・盛土・残土運搬までを一つの事例で解説します。
土量計算で使う3つの土量
土量は、施工段階によって次の3つに分けて考えます。
| 種類 | 状態 | 主な用途 |
| 地山土量 | 掘削前の自然な状態 | 掘削量・数量計算上の残土量 |
| ほぐし土量 | 掘削後の状態 | 実際の積込・運搬計画 |
| 締固め土量 | 転圧後の状態 | 盛土・埋戻し量 |
また、計算の基本的な流れは、次のとおりです。
地山 → ほぐし → 締固め
同じ土でも状態によって体積が変わるため、土量計算では「どの状態の土量を求めるのか」を最初に確認します。
また、数量算出上の土砂等運搬は、地山土量で計上する場合があります。一方、実際にダンプへ積み込む土は、掘削によってほぐれた状態です。積算上の数量と、ダンプ台数などの運搬計画は分けて考えましょう。
土量変化率は土質区分をもとに決める
土量変化率は、国土交通省の数量算出要領で以下のように標準値が示されています。
| 土質 | ほぐし率 L | 締固め率 C |
| レキ質土 | 1.20 | 0.90 |
| 砂質土・砂 | 1.20 | 0.90 |
| 粘性土 | 1.25 | 0.90 |
※ここで示す数値は標準値です。実際の工事では、発注者が指定する数量算出要領、設計図書、土質試験の結果などを優先してください。
ほぐし率Lは、地山土量に対するほぐし土量の比率です。締固め率Cは、地山土量に対する締固め後の土量の比率を示します。
- L = ほぐし土量 ÷ 地山土量
- C = 締固め後の土量 ÷ 地山土量
ただし、試験結果や過去の施工実績など、明確な数値がある場合は、その数値を使用することがあります。実際の工事では、対象工事に適用される数量算出要領や設計図書を確認してください。
数量算出要領の読み方や、実務で確認すべきポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
土量変化率を使った基本計算
土量変化率は、基準となる土量と、求めたい土量の状態に応じて使い分けます。
- 地山からほぐし土量を求める:地山土量 × L
- 地山から締固め土量を求める:地山土量 × C
- 締固め土量から地山土量を求める:締固め土量 ÷ C
たとえば、地山土量が100m³の場合、ほぐし率1.20を使うと、「100m³ × 1.20 = 120m³」となり、ほぐし土量は120m³です。
また、締固め率が0.90の場合は、「100m³ × 0.90 = 90m³」と計算でき、締固め後の土量は90m³になります。
反対に、90m³の締固め土量をつくるために必要な地山土量は、「90m³ ÷ 0.90 = 100m³」です。
掘削・盛土・残土を一連で計算する方法
ここでは、掘削した土の一部を盛土に利用し、残りを搬出するケースを計算します。
①計算条件を整理する
- 掘削する地山土量:500m³
- ほぐし率:1.20
- 必要な締固め盛土量:180m³
- 締固め率:0.90
②掘削後のほぐし土量を計算する
計算は「500m³ × 1.20 = 600m³」となり、掘削後のほぐし土量は600m³です。
③盛土に必要な地山土量を計算する
盛土量は締固め後の体積なので、締固め率で割って地山土量に換算します。計算は「180m³ ÷ 0.90 = 200m³」となり、盛土には、地山換算で200m³の土が必要です。
④残土となる地山土量
計算は「500m³ − 200m³ = 300m³」であり、残土となる地山土量は300m³です。
⑤搬出するほぐし土量
運搬時はほぐし状態になるため、ほぐし率を掛けます。計算は「300m³ × 1.20 = 360m³」であり、実際に運搬する土量は360m³です。
このように、残土量は単純に「掘削量−盛土量」で求めるのではありません。盛土量を地山土量に換算してから差し引き、最後に搬出時の状態へ換算します。
平均断面法による土量計算
道路工事や河川工事など、横断図を使って計算する場合は、平均断面法がよく用いられます。まず断面が一定とみなせる場合は、断面積に区間距離を掛けて土量を求めます。
土量 = 平均断面積 × 区間距離
国土交通省の数量算出要領でも、平均断面法は「平均断面積×延長」とされています。続いて、断面積が区間ごとに異なる場合は、2つの断面積の平均に距離を掛けます。
土量 =(断面積A + 断面積B)÷ 2 × 距離
たとえば、断面Aが25m²、断面Bが35m²、断面間の距離が20mの場合は、「(25m² + 35m²)÷ 2 × 20m = 600m³」であり、この区間の土量は600m³です。
また、複数の区間がある場合は、区間ごとに計算して合計するのが一般的です。ただし、平均断面法を使うときは、次の点に注意してください。
- 断面間の距離を正しく確認する
- 断面積の単位をそろえる
- 切土と盛土を分けて集計する
- 法面を含む断面積か確認する
敷地全体の高低差が複雑な場合は、メッシュ法や3次元測量が適していることもあります。
なお、土量計算に使う断面積や距離は、測量結果をもとに設定します。測量に関する基本的なルールは、以下の記事で確認できます。
土量計算でよくある間違い
土量計算をする際には、ケアレスミスを防ぐことも重要です。ここでは、よくある間違いを紹介します。
地山土量と運搬土量を同じにする
掘削した土はほぐれて体積が増えるため、実際にダンプへ積み込む土量は地山土量より大きくなります。
たとえば、地山土量100m³、ほぐし率1.20の場合は、「100m³ × 1.20 = 120m³」となります。ただし、数量算出上の「土砂等運搬」は地山土量で計上する場合があります。積算上の数量と、実際の運搬計画は分けて考えましょう。
締固め土量をそのまま掘削量にする
盛土や埋戻しの数量は、締固め後の仕上がり土量で示されることがあります。しかし、締固め後の土量と同じ体積の土を掘削すればよいわけではありません。締固めによって体積が減少するため、必要な地山土量へ換算する必要があります。
締固め後に100m³必要で、締固め率が0.90の場合、「100m³ ÷ 0.90 = 約111.1m³」の地山土量が必要です。この換算をせず、100m³のまま掘削量として扱うと、盛土に必要な土量が不足する可能性があります。
土質に合わない係数を使う
土量変化率は、土質区分によって異なります。計算をする際には、必ず以下を確認しましょう。
- 土質区分(レキ質土、砂質土、粘性土など)
- 使用する数量算出要領の年度
- 発注者が指定する土量変化率
- 土質試験や過去の施工実績の有無
なお、基準表の数値は標準値であり、工事ごとに指定された係数や、試験・実績に基づく数値がある場合は、そちらを優先します。
まとめ
土量計算では、地山・ほぐし・締固めの状態を区別し、土質に応じた土量変化率を使うことが重要です。掘削量から盛土量や残土量を求める際は、基準となる土量の状態を確認し、設計図書や数量算出要領に沿って計算してみてください。