鹿島、三菱電機エンジニアリングと移動式AI配筋検査システム開発、立会検査時間70%減

鹿島は、三菱電機エンジニアリングと共同で移動式AI配筋検査システムを開発し、大阪市内で進むなにわ筋線の工事に初めて導入しました。
大深度掘削の山留めや止水壁として使われるRC地中連続壁は、鉄筋籠が非常に長くなるため、これまで検査に手間がかかることが課題でした。新しいシステムはこの長大な鉄筋籠にまとめて対応できるもので、発注者が立ち会う検査の時間を大幅に短縮しています。今回はその仕組みと現場での効果を紹介します。
門型移動装置で長い鉄筋籠に対応
鹿島はこれまでも、ステレオカメラとタブレットを組み合わせ、鉄筋の本数や間隔をAIで自動計測する可搬型の検査システムを活用してきました。今回開発した新システムは、この技術をさらに発展させたものです。2台のステレオカメラをタブレット1台で制御し、撮影したデータを統合処理できるようにしました。
さらに門型の移動装置と組み合わせることで、装置をレール上のように移動させながら連続して撮影・計測できるようになり、全長が50メートルを超えるような鉄筋籠にも対応できます。撮影から計測までを1台のタブレットでまとめて管理できるため、操作の手間も減らせます。
検査員の移動負担が課題だった
RC地中連続壁に使う鉄筋籠は非常に長く、組み立て作業の進み具合に合わせて検査員が現場を移動しながら撮影する必要があり、多くの時間がかかっていました。
1台のカメラだけで撮影すると死角が生じることもあり、現場によっては施工エリアの外で鉄筋籠をあらかじめ組み立てるケースもあるため、検査箇所が増えて発注者側の移動負担も大きくなっていました。国土交通省が2023年に示した鉄筋出来形計測に関する実施要領を背景に、こうした現場の課題を解決できる手法が求められていたのです。
検査時間を約70%短縮した実績
今回の工事では、なにわ筋線の南海新難波分岐部などで施工するRC地中連続壁で本システムを初めて使用しました。対象となる鉄筋籠は30基あり、それぞれ5つのロットに分けて製作されています。
組み立てが進んだ箇所から下段、上段の順に段階的に検査を進める運用とし、検査待ちによる工程の遅れを防ぎました。その結果、鉄筋籠1基あたりの立会検査にかかる時間は、従来の約300分から約100分へと短縮され、検査要員の人数も減らせました。
検査のために鉄筋籠の上を歩く必要もなくなり、現場の安全性向上にもつながっています。発注者にとっても、立ち会い時間の短縮は他業務との調整のしやすさにつながっています。
AI配筋検査システムの活用実績
今回のシステムは、新技術情報提供システム「NETIS」にも登録されています。もとになった可搬型の配筋検査システムは、これまでに300社以上で採用されてきた実績があり、現場での信頼性が積み重ねられてきた技術といえます。
今回、その仕組みを長大な鉄筋籠向けに応用したことで、これまで対応が難しかった大規模な地中連続壁の現場にも展開できるようになりました。長年培われてきた画像処理の精度と、新たに加わった移動機構を組み合わせたことが、今回の検査時間短縮につながったといえるでしょう。
他の現場への展開も視野に
鹿島は今後、現場の状況に応じて新システムと従来の可搬型システムを使い分けながら導入していく方針です。
AI技術を配筋検査以外のさまざまな施工管理業務にも取り入れることで、省力化と省人化をさらに進めるとともに、建設現場全体の安全性および生産性の向上に貢献していく考えを示しています。労働力不足が続く建設業界において、こうした検査の自動化は今後さらに重要性を増していきそうです。
なにわ筋線工事の概要
今回システムを導入した工事の概要は次の通りです。
- 工事名称:なにわ筋線南海新難波分岐 T 及び千日前通シールド T 土木工事(本体工事)
- 工事場所:大阪府大阪市
- 発注者:関西高速鉄道株式会社
- 施工者:鹿島・鴻池・飛島特定建設工事共同企業体
- 工期:2025年4月~2029年3月
- 工事諸元:RC地中連続壁24エレメント(鉄筋籠30基)、鉄筋籠1基あたり5ロット、全長54.2m、最大幅2.7m
【参考】:土木技術 ICT・DX 施工計画・管理(その他共通) AI配筋検査システム
出典情報など
出典:鹿島建設株式会社,移動式 AI 配筋検査システムを開発 RC 地中連続壁の鉄筋籠の立会検査時間 70%削減,https://www.kajima.co.jp/news/press/202609/pdf/11c1-j.pdf,リリース日:2026-09-11