仮囲いとは?|設置基準・種類・費用相場・組み方を担当者向けに解説【2026年版】

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Category:コラム建築

著者:上野 海

「この現場に仮囲いは必要なのか」「どの種類を選べばいいのか」と迷っていないでしょうか。仮設計画や見積もりの確認を初めて任されると、法令の読み方も単価の妥当性も判断しづらいものです。

そこでこの記事は、自分の現場に当てはめて判断したい施工管理や発注の担当者に向けてまとめました。仮囲いの選定の参考にしてください。

仮囲いとは?読み方と役割

仮囲いは「かりがこい」と読み、工事期間中に現場の周囲へ設ける一時的な囲いのことです。

なお、仮囲いは単なる目隠しではなく、工事の関係者以外を危険から守るための設備でもあります。役割は大きく4つに分けられます。

  • 第三者の立ち入りを防ぐ
  • 粉じんや騒音を抑える
  • 資材の盗難を防ぐ
  • 現場の景観を整える

このように、仮囲いは現場の安全と近隣への配慮を同時に担っています。

仮囲いの設置基準

仮囲いを検討する際に確認すべき基準は、建築工事か土木工事かで変わります。まずは自分の現場がどちらに当たるかを整理しましょう。

設置義務がある建築工事

建築基準法施行令第136条の2の20では、次の建築物の工事に仮囲いを求られています。

  • 木造で高さ13m超または軒高9m超
  • 木造以外で2階建て以上

対象は新築だけでなく、修繕、模様替、解体も含まれます。

また、階数には地階も含みます。ただし、地階の倉庫や機械室などで、水平投影面積の合計が建築面積の8分の1以下の部分は算入しません。

なお、条文の表現は「超える」なので、高さがちょうど13mの木造は高さの要件に該当しません。解説記事によっては「以上」と書かれている場合もあるため、判断するときは条文で確認しましょう。

(出典:e-Gov法令検索「建築基準法施行令」)

設置しなくてよいケース

条文のただし書きにより、同等以上の効力を持つ囲いがある場合や、周辺や工事の状況から危害防止に支障がない場合は設置が不要です。

ただし、義務がない工事でも、施工者には建築基準法第90条に基づく危害防止の措置が求められます。さらに、建設工事公衆災害防止対策要綱では、原則として1.8m以上の仮囲いを設けるよう求めているため確認が必要です。

(出典:国土交通省「建設工事公衆災害防止対策要綱(建築工事等編)新旧対比表」 )

必要な高さは1.8m以上

仮囲いの高さは、地盤面から1.8m以上と定められています。現場の地盤が周辺より低い場合は、周辺の地盤面から測る点に注意が必要です。

さらに、要綱では、特に必要がある場合は3m以上とされています。製品の主流は高さ2mと3mなので、実務ではどちらかを選ぶ形になります。

【補足】土木工事の設置基準

施行令の対象は建築物です。そのため、道路や河川などの土木工事では、国土交通省の土木工事安全施工技術指針と、要綱の土木工事編を確認します。

令和8年3月版の指針では、仮囲いについて次の内容が定められています。

  • 現場周囲や危険箇所に設置する
  • 粉じんなどの飛散防止箇所にも設ける
  • 高さは1.8m以上とする
  • 支柱・水平材・控材を取り付ける
  • 損傷や腐食のない材料を使う

交通の支障が生じるおそれがある場合は、金網など透視できるものにする必要があります。

なお、現行の指針の「柵・仮囲い」の項に柵の高さの数値はありません。古い資料の「柵高1.2m以上」といった数値をそのまま使わず、発注者の仕様書も確認しましょう。

(出典:国土交通省「土木工事安全施工技術指針(令和8年3月)」/「建設工事公衆災害防止対策要綱(土木工事編)」 )

仮囲いの種類と選び方

仮囲いの種類は、工期と周辺環境で選ぶと判断しやすくなります。代表的な4種類を比較しました。

種類特徴向いている現場
安全鋼板(万能鋼板)強度が高く安価、表面に凹凸がある工期が長い現場、一般的な現場
フラットパネル表面が平滑で看板を貼りやすい市街地、住宅街
クリアパネル透明で死角を減らせる出入口、コーナー部
フェンス・ネット軽量で簡易、遮蔽性は低い短期工事、設置義務のない現場

安全鋼板の厚さは0.8mmと1.2mmが一般的で、短期なら0.8mm、長期や転用が多いなら1.2mmが目安です。なお、フェンスやネットは高さ1.8mに満たない製品もあるため、設置義務のある現場では高さと遮蔽性を必ず確認しましょう。

仮囲いの費用相場と概算の出し方

費用は「設置する長さ×1mあたりの単価」で概算できます。以下は足場会社が公開している単価の一例です。

種類1mあたりの単価
養生シート(高さ1.8m)2,300円~
万能鋼板(高さ2m)3,200~4,200円
万能鋼板(高さ3m)3,600~5,000円
フラットパネル(高さ3m)6,800~7,700円

※工期4か月を想定した単価です。形状や搬入経路によって変動します。

たとえば周長60mの現場を高さ3mの万能鋼板で囲むなら、概算は約21.6万~30万円です。見積もりを確認するときは、ゲートの費用や工期の延長時の扱いが単価に含まれているかも見ておきましょう。

また、調達方法は使用頻度で考えます。一時的な利用ならレンタルや外部委託が向いており、頻繁に使うなら購入のほうが安くなる可能性があります。ただし、購入する場合は保管場所と施工できる人員も必要です。

なお、仮設計画では、仮囲いのほかにも現場に必要な設備の費用を見込む必要があります。仮設トイレの設置基準や費用については、以下の記事を参考にしてください。

仮囲いの組み方

安全鋼板の場合、一般的には次の流れで組み立てます。

  1. 捨てパイプを打ち込む
  2. 支柱と布パイプを組む
  3. 控えとつなぎで補強する
  4. 鋼板をフックボルトで留める

打ち込みの間隔は1.8mが一例で、実際にはメーカーの施工要領に従います。

また、杭を打てない場所では、H形鋼を置いて基礎にする方法もあります。杭を打つ前に、埋設物の位置を確認しておくことも欠かせません。控えの間隔は高さや風の条件で変わるため、施工要領や計算で確認しましょう。

なお、骨組みに使う単管パイプの外径や肉厚、長さは、以下の記事で確認できます。資材を手配する前に、あわせて確認してください。

仮囲いが道路にはみ出す場合の許可

敷地に余裕がなく道路上に設置する場合は、次の2つの許可が必要です。

  • 道路占用許可(道路管理者)
  • 道路使用許可(所轄警察署)

占用が認められるのは、やむを得ない場合に限られます。出幅の基準も管理者ごとに異なり、一例として、東京都中野区の区道では歩道有効幅員の3分の1以内かつ最大1.0mです。

また、東京都の建設事務所の例では、本受付から許可書の発行まで2~3週間程度とされています。占用料もかかるため、工程と予算に早めに組み込みましょう。

設置後に確認すべきポイント

仮囲いは設置して終わりではなく、適切な維持管理が求められています。特に次の点を確認しましょう。

  • 強風で倒れない構造か
  • 工期に見合った耐久性か
  • 出入口を閉鎖しているか
  • 扉は引戸か内開きか
  • 立入禁止を掲示しているか

車両の出入りが頻繁な場合は、原則として交通誘導警備員の配置が必要です。台風の接近が予想されるときは、控えやクランプの緩みを事前に点検しておくと安心です。

(出典:国土交通省「建設工事公衆災害防止対策要綱(建築工事等編)新旧対比表」 )

現場全体の安全対策を見直す場合は、事故の種類や原因を把握しておくことも大切です。詳しくは以下の記事で解説しています。

まとめ|仮囲いは工事の種類と現場条件に合わせて計画しよう

仮囲いの要否は、建築工事なら施行令、土木工事なら指針と要綱で確認し、高さと種類は工期や周辺環境に合わせて決めます。

道路にはみ出す計画なら許可の期間も見込み、費用は長さと単価で概算したうえで見積もりと比べてみてください。