着工とは?いつから?|施工・着手・竣工との違いや工事の流れをわかりやすく解説

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Category:コラム建築

著者:上野 海

「着工とは何を指すの?」「施工や竣工とは何が違う?」「家づくりではいつ頃が着工になるの?」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。

家づくりでは、契約や設計、住宅ローンの手続きなど、さまざまな準備を経て工事が始まります。その節目となるのが「着工」です。また、着工後は建物の工事が本格的に進むため、大きな設計変更が難しくなる場合があります。そのため、着工の意味だけでなく、工事全体の流れや着工前後に確認すべきポイントも知っておくことが大切です。

そこでこの記事では、着工の意味や施工・着手・上棟・竣工との違い、着工にあたる工事・あたらない作業、工事全体の流れや注意点まで、住宅・建設業界で働き始めた方にもわかりやすく解説します。

着工とは?【結論】

着工とは、建物や道路などの工事を実際に開始することです。

住宅では、設計や各種申請などの準備が完了した後、現場で基礎工事などが始まるタイミングを「着工」と言います。家づくりにおいて、図面や計画が実際の建物として形になり始める重要な節目です。

着工は家づくりのスタート地点

家づくりでは、契約後すぐに工事が始まるわけではありません。設計や建築確認申請などの準備を終えた後、ようやく現場で工事が始まります。

工事全体の流れを簡単にまとめると、次のようになります。

工程概要
プラン・設計間取りや設備、仕様を決める
建築確認申請建築基準法に適合しているか審査を受ける
確認済証の交付工事を開始できる状態になる
着工基礎工事などが始まる
上棟柱や梁など建物の骨組みが完成する
竣工建物が完成する
引き渡し施主へ建物を引き渡す

確認済証の交付前に着工すると、建築基準法に抵触する可能性があります。担当者は、確認済証の交付状況や着工予定日を確認し、必要な手続きを終えてから現場を動かす必要があります。

着工後は大きな変更が難しくなる場合がある

建築計画が固まり、着工した後でも、壁紙や設備など一部の仕様は変更できる場合があります。一方、基礎や建物の配置、構造など、すでに工事が進んだ部分は変更が難しくなります。変更できたとしても、追加費用や工期の延長が発生するケースもあります。

そのため、着工前には次のような内容を十分に確認しておくことが大切です。

  • 間取りや部屋の広さ
  • コンセント・スイッチの位置
  • 窓やドアの位置・大きさ
  • 外壁や屋根の仕様
  • 住宅設備(キッチン・浴室・トイレなど)

着工後の変更や認識のずれを防ぐためにも、担当者は図面や仕様書をもとに施主の希望をあらためて確認し、決定事項や未確定事項を整理しておきましょう。

着工とはどこから?何をすると着工になる?

着工日を管理する担当者が特に注意したいのが、現場で何らかの作業を始めた日が、必ずしも建物の着工日になるとは限らない点です。

現場では、建築工事に入る前にも、既存建物の解体や地盤調査、仮囲いの設置、資材の搬入などが行われます。しかし、これらは建物そのものをつくる工事ではなく、一般的には準備作業として扱われます。

住宅の新築工事では、建物の基礎を設けるために地面を掘る「根切り工事」や、基礎を支える杭を施工する「基礎杭打ち工事」などが、着工を判断する一つの目安になります。

着工にあたる工事・あたらない作業の目安

一般的な区分をまとめると、次のとおりです。

区分主な工事・作業内容
着工にあたると考えられる工事根切り工事基礎をつくるために地面を掘る
基礎杭打ち工事建物を支える杭を地中へ施工する
着工前の準備と考えられる作業地盤調査地盤の強度や性質を調べる
地鎮祭工事の安全などを祈願する
仮囲い・仮設物の設置現場の安全確保や工事準備を行う
資材の搬入工事に使用する材料を現場へ運ぶ
別の工事として扱われる作業既存建物の解体新築する建物ではなく、既存建物を取り壊す
造成工事敷地の形状や高さを整える

なお、国土交通省の「子育てグリーン住宅支援事業」の資料では、新築住宅の着工を「根切り工事または基礎杭打ち工事の着手」としており、地盤改良工事、造成工事、解体工事などは着工にあたらないとしています。

なお、着工の判断基準は補助金制度や契約内容などによって異なる場合があります。実際の案件では、工事請負契約書や利用する制度の要件もあわせて確認しましょう。

根切り工事の概要を知りたい方は、以下の記事がおすすめです。

地盤改良工事の扱いは制度によって異なる

地盤改良工事は、すべての場面で一律に「着工にあたる」「着工にあたらない」と判断できるわけではありません。

たとえば、前述したような住宅関連の補助事業では、根切り工事や基礎杭打ち工事を着工とし、地盤改良工事を着工に含めない場合があります。一方、別の事業や契約、行政上の運用では異なる基準が用いられることもあります。

そのため、担当者は次の資料を確認したうえで着工日を判断することが重要です。

  • 建築確認申請や建築工事届の内容
  • 工事請負契約書
  • 工程表や施工記録
  • 利用する補助金・助成金の要件
  • 発注者や自治体が定める基準

特に補助金を利用する案件では、対象となる着工日より前に工事を始めると、補助対象外になる可能性があります。「現場では工事を始められるか」だけでなく、「利用する制度上、いつから着工できるか」まで確認しましょう。

確認済証の交付前には着工できない

建築確認が必要な建築物は、原則として確認済証の交付を受けた後に着工します。

建築確認とは、着工前に建築計画が建築基準関係規定へ適合しているかを確認する手続きです。国土交通省も、建築主は工事へ着手する前に建築計画の適合性について確認を受ける仕組みを示しています。

(参考:国土交通省「建築確認検査制度の概要」

そのため、担当者は着工前に、次のような項目を確認しておきましょう。

  • 確認済証が交付されているか
  • 確認済証の内容と施工図に相違がないか
  • 設計変更に伴う計画変更の手続きが必要ないか
  • 建築工事届など必要な書類が提出されているか
  • 補助金や融資で定められた着工条件を満たしているか
  • 工程表に記載した着工日と実際の工事開始日が一致しているか

もし確認済証の交付前に対象工事を始めると、建築基準法違反に抵触する可能性があります。着工日を前倒しする場合も、現場の判断だけで進めず、設計者や工事監理者、確認申請の担当者と情報を共有することが大切です。

本項で説明した建築確認について詳しく知りたい方は、以下の記事がおすすめです。

また、建築基準法の概要を知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。

着工・着手・施工・上棟・竣工の違い

家づくりでは、「着工」「着手」「施工」「上棟」「竣工」など、似た意味を持つ建築用語が多く使われます。

どれも工事に関係する言葉ですが、それぞれ指すタイミングや意味は異なります。担当者は違いを理解し、施主へわかりやすく説明できるようにしておきましょう。

まずは、それぞれの違いを一覧にまとめました。

用語意味タイミング
着手作業や工事を始めること工事開始時
着工建物をつくる工事を開始すること基礎工事などの開始
施工設計図をもとに建物を造ること着工〜竣工まで
上棟柱や梁を組み、建物の骨組みが完成すること工事中盤
竣工予定していた工事が完了すること工事完了時

着工と着手の違い

着手とは、物事や作業を始めることを意味する一般的な言葉です。建築業界でも「工事着手」という表現が使われることがあり、実務では「着工」とほぼ同じ意味で扱われるケースもあります。

ただし、建築以外でも使われる言葉であるため、建築工事が始まることを明確に伝えたい場合は「着工」を用いることが一般的です。

着工と施工の違い

着工と施工は混同されやすい言葉ですが、大きな違いは工事の期間です。

  • 着工:工事を開始すること
  • 施工:工事を進めること、または工事全体

つまり、着工は一日の出来事ですが、施工は着工から竣工まで続く一連の工事を指します。建設業法でも「施工」は建設工事を行うことを意味する言葉として用いられています。

たとえば、現場監督が行う「施工管理」は、工事全体の品質や工程、安全などを管理する業務です。そのため、「施工=工事を進める期間」と覚えておくと理解しやすいです。

建設業法について詳しく知りたい方はこちらの記事がおすすめです。

着工と上棟の違い

上棟とは、柱や梁を組み上げ、建物の骨組みが完成する工程です。着工が工事の始まりであるのに対し、上棟は工事が順調に進み、建物の形が見えてくる節目となります。

一般的な木造住宅では、着工から1〜2か月程度で上棟を迎えることが多く、上棟式を行う場合もあります。ただし、時期は建物の規模や工法によって異なります。

着工と竣工の違い

竣工とは、予定していた工事がすべて完了した状態を指します。工事が終わっただけではなく、検査を終えて建物を使用できる状態まで含めて「竣工」と表現されることもあります。

竣工について詳しく知りたい方は、以下の記事がおすすめです。

着工まで・着工後の工事の流れ

建築工事は、契約や設計、各種申請などの準備を経て着工し、その後も基礎工事や上棟、内外装工事など、複数の工程を経て竣工・引き渡しへ進みます。

そのため担当者は、それぞれの工程で必要な手続きや確認事項を把握し、関係者と情報を共有しながら工事を進めることが大切です。

工事全体の流れは、次のようになります。

工程主な内容担当者が確認・対応する内容
契約工事請負契約を締結する契約内容や工期を確認する
設計・仕様決定間取りや設備、仕様を決定する図面や仕様の最終確認を行う
建築確認申請建築基準関係規定への適合確認を受ける必要書類を作成・提出する
確認済証の交付工事を開始できる状態になる確認済証の交付状況を確認する
地鎮祭必要に応じて工事の安全を祈願する日程や関係者との調整を行う
着工基礎工事など建物の工事を開始する工程・安全・品質管理を開始する
基礎工事建物を支える基礎を施工する配筋や基礎の施工状況を確認する
上棟柱や梁を組み、建物の骨組みを完成させる工事の進捗確認や施主対応を行う
木工事・設備工事内部造作や設備配管・配線などを施工する他工種との工程調整や施工状況を確認する
内外装工事外壁・屋根・内装の仕上げを行う仕上がりや品質を確認する
竣工すべての工事が完了する完了検査や各種書類を確認する
引き渡し完成した建物を施主へ引き渡す完成説明や引き渡し書類を準備する

工事は一つの工程が遅れると、その後の工程にも影響します。担当者は工程表をもとに進捗を管理し、設計者や施工会社、施主と適切に情報共有しながら工事を進めることが重要です。

着工前後に担当者が確認しておきたいポイント

着工は工事の大きな節目です。着工前後の確認を怠ると、工程の遅れや設計変更、追加費用などにつながる可能性があります。

担当者は、少なくとも次の項目を確認しておきましょう。

確認項目確認内容
確認済証交付済みであることを確認する
図面・施工図最新版で内容に相違がないか確認する
工程表着工日や各工程の日程を確認する
補助金・助成金着工時期などの要件を満たしているか確認する
近隣対応工事案内やあいさつが完了しているか確認する
資材・協力会社必要な資材や職人を手配できているか確認する

また、着工後は設計変更や工程変更による影響が大きくなります。変更が必要になった場合は、関係者へ速やかに共有し、工程やコストへの影響を確認したうえで対応することが大切です。

着工に関するよくある質問

着工日は誰が決めますか?

着工日は、施工会社や現場監督が工程や職人、資材の手配状況などを踏まえて決定するのが一般的です。ただし、建築確認済証の交付や契約内容、施主との打ち合わせ状況も考慮して決める必要があります。

着工日は契約日と同じですか?

契約日と着工日は異なります。一般的な住宅工事では、工事請負契約を締結した後に設計や仕様の打ち合わせ、建築確認申請などの手続きを進めます。これらの準備が完了し、確認済証の交付を受けた後に、基礎工事などを開始する日が着工日となります。

着工日はいつ確定しますか?

着工日は、建築確認済証の交付や工事の準備が整った後に確定するのが一般的です。施工会社は、確認済証の交付状況に加え、職人や資材の手配、工程表、天候などを考慮しながら着工日を調整します。その後、施主と日程を共有し、最終的な着工日を決定します。

解体工事は着工になりますか?

一般的に、新築住宅の着工とは建物を建てるための工事を開始することを指します。そのため、既存建物の解体工事は着工とは別の工事として扱われることが多くあります。

地盤改良工事は着工になりますか?

地盤改良工事の扱いは、補助事業や契約内容などによって異なります。利用する制度によって着工日の考え方が変わるため、国や自治体、補助事業の要件を確認することが重要です。

着工後でも設計変更はできますか?

変更できる内容もありますが、基礎や構造など工事が進んだ部分は変更が難しくなります。また、変更できる場合でも追加費用や工期の延長が発生することがあります。

着工から竣工まではどれくらいかかりますか?

工期は建物の規模や構造によって異なりますが、木造戸建住宅では着工から竣工まで約4〜6か月程度が一般的です。天候や設計変更などによって前後する場合があります。

まとめ|着工の意味や工事の流れを理解して円滑に工事を進めよう

着工とは、建物をつくる工事を実際に開始することです。建築確認や各種手続きを終えた後、基礎工事などが始まるタイミングを指し、家づくりでは重要な節目となります。

また建築工事の担当者は、着工の意味だけでなく、着工となる工事や工事全体の流れ、確認済証や補助金などに関する手続きも理解しておくことが大切です。また、着工前に図面や工程、関係者との認識を十分に確認しておくことで、設計変更や工程の遅れなどのトラブルを防ぎやすくなります。

施主へ工事の流れをわかりやすく説明し、関係者と適切に情報共有しながら工事を進められるように、建築用語をしっかりと理解しておきましょう。