DfMAシンポジウムvol.2 -リア・ローディングからの脱却-_開催レポート【第7回】| GBTRC副センター長 / 芝浦工業大学教授 志手 一哉 登壇

人手不足や時間外労働規制を背景に、日本の建設産業では、現場に負荷が集中する従来のリア・ローディング型のプロセスからの転換が求められています。
本連載では、その解決策として注目されるDfMA(Design for Manufacturing and Assembly)を軸に、設計段階から施工・製造を見据えるフロント・ローディングの考え方と実践を探ります。シンポジウムでの議論や企業の取り組みをもとに、標準化やデータ連携、発注・契約のあり方など、建設プロジェクト全体の進め方を見直すヒントを提示していきます。
| タイムテーブル | 内容:登壇者 |
| 13:00〜13:10 | 開会の挨拶:GBTRCセンター長 / 芝浦工業大学教授 蟹澤 宏剛 |
| 13:10~13:40 | 趣旨説明:東洋大学准教授 田澤 周平 |
| 13:40〜14:20 | 講演①:株式会社安藤・間建築事業本部 BIM推進部 施工BIMグループ 岩倉巧、長田開気 「BIMと製造CADの連携による基礎梁PCaの製作図作成ワークフローの効率化」 |
| 14:20〜15:00 | 講演②:株式会社長谷工コーポレーション エンジニアリング事業部 DX推進室 室長 中野達也 「設計施工におけるフロントローディングの3類型」 |
| 15:00〜15:40 | 講演③:株式会社カワトT.P.C 代表取締役会長 川戸俊彦、新規開発担当 田中聡 「BIMを用いた建築業のプレハブ組立と働き方改革推進サポート」 |
| 15:40〜16:20 | 講演④:野原グループ株式会社 グループCSO 山﨑 芳治 「BuildAppにおける製作加工連携の取り組み」 |
| 16:35〜17:45 | パネルディスカッション コーディネーター ・前田建設工業株式会社 建築生産技術部 担当部長 曽根巨充 ・東京電機大学教授 小笠原正豊 ・株式会社ヴィック 代表取締役社長 渡辺健児 |
| 17:45〜18:00 | クロージング:GBTRC副センター長 / 芝浦工業大学教授 志手 一哉 |
※タイトル表記は、タイムテーブルの表記に準拠しています。
クロージング:GBTRC副センター長 / 芝浦工業大学教授 志手 一哉氏

講演とパネルディスカッションを踏まえ、DfMAやフロントローディングに関する論点が振り返られました。
まず、部分ごとの工法選択を早い段階で行うことが、当日の議論の中で大きな論点として挙げられました。一方で、初期段階で工法を決定する場合、相見積もりをどのように扱うかが課題として残ることも指摘されました。
この課題に対しては、材工分離の視点が提案されています。すなわち、労務費と材料費を分けて捉え、材料についてはオープンプライスで扱うという考え方です。発注や見積もりの仕組みを見直すことで、工法を早期に決定する際の課題に対応できる可能性があると示されました。
続いて、デジタルDfMAによって、ものづくりにおける人の関わり方が変化する点が議論されました。モデリングは単に形状を作る作業ではなく、情報やデータを集約・構築するハブとしての役割を担う可能性があると指摘されています。
また、一度決定した内容が後から変更されることで、後工程に関わる人々に負担が生じる点にも言及がありました。フロントローディングを進める上では、初期段階で何を決めるかだけでなく、決めた内容を後から変更しない仕組みづくりも重要な課題となります。
今後の論点としては、アーキテクトと建築士の職能をどのように捉えるかが挙げられました。あわせて、ゼネコンが設計段階において建築士とどのように関わるべきかも議題となりました。さらに、製造や加工を担う人々がゼネコンや設計者とどのような関係性を築くべきかについても、今後の検討テーマとして示されています。
データ活用についても言及がありました。リアローディングからフロントローディングへと移行する中で、さまざまなデータが蓄積されていきます。これらのデータをAI等で分析することで、用途に応じた空間や施工方法の傾向が可視化される可能性があると指摘されました。
最後に、知識がルール化されることで、自動化可能な領域が拡大するという考え方が示されました。同質化された空間や施工方法を前提に、発注者が選択し意思決定を行う新たなプロセスが生まれる可能性があるとまとめられています。
全体として、今後は職能の分担、見積もりの在り方、データ活用、さらには発注者の意思決定に至るまでを一体的に捉えて検討していく必要がある、という方向性で締めくくられました。
BuudAppNews_編集まとめ
本シンポジウムでは、リアローディングからの脱却をテーマに、DfMAやBIM、製作加工連携、発注・契約のあり方が議論されました。
各講演では、設計段階や計画段階から施工・製造の情報を取り込み、後工程の手戻りや現場負担を減らす取り組みが紹介されました。PCa製作図の効率化、フロントローディングの類型化、配管プレハブとBIM・ARの活用、BuildAppによる加工連携など、実務に基づく事例が示されています。
パネルディスカッションでは、発注者や設計者、施工者、専門工事会社が早い段階で情報を共有する必要性が語られました。標準化できる部分と個別に検討する部分を分け、数量やコストを見える状態にすることも論点となっています。
今回の議論から、建設生産の効率化は施工段階だけで解決するものではないことが確認されたといえるでしょう。プロジェクトの初期段階から情報をつなぎ、設計・施工・製造を連携させることが、リアローディングから脱却するための方向性として示されました。
