野原グループ、建設業界の人手不足とBIM活用の実態を5年分のデータで分析したレポートを公開

野原グループのBuildApp総合研究所(東京都新宿区、代表:山梶真司氏)は、建設業界のDXとBIM活用の現状を分析したホワイトペーパー「建設DX実態調査レポート2026」を、2026年7月1日に公開しました。

同研究所が2021年から2025年までに実施した複数の調査結果をあらためて整理し、現場の変化を長期的な視点でまとめた内容となっています。BuildAppのサービスサイトから、誰でも無料で入手できます。

規制強化と人材流出が招く現場の疲弊

2024年に施行された時間外労働規制と、熟練技能者の大量退職が重なる「2025年問題」により、建設現場の人手不足は年々深刻さを増しています。

DXの推進がこの状況を打開する手段として注目されていますが、実際の現場ではいまだ紙や口頭でのやり取りが多く残り、思うように進んでいないというのが実情です。

BuildApp総合研究所は、こうした構造的な課題を捉えるために定点調査を継続してきました。今回のレポートは、そのデータをもとに「なぜデジタル化が進まないのか」を読み解こうとする試みです。

ゼネコンとサブコンで異なるつまずきの正体

調査からは、デジタル化が停滞する要因が企業の立場によって異なることも浮かび上がりました。

現場では直接のやり取りで調整が進むケースが多く、記録されたデータと実際の状況にズレが生じやすい状況があります。加えて施工管理業務の負担が増える中、デジタル化が一部の工程にしか広がらない現実も見えてきました。

企業規模による課題の違い

規模の大きな企業と専門工事会社では、デジタル化を妨げる要因そのものが違うことも指摘されています。全体最適を目指す取り組みが、立場ごとの事情を汲み取れていないケースが少なくないようです。

工期の遅れがしわ寄せとなる構造

職人不足や情報連携の不足が積み重なることで、工期の遅延が生じやすくなっています。さらに残業規制の影響で、後工程を担う専門工事会社に負担が集中する傾向も報告されました。

こうした「しわ寄せ」の構造こそが、業界全体の働き方改革を阻む要因になっているといえます。

BIM活用と早期の合意形成に注目

レポートでは、こうした課題への対応策としてBIMの活用とフロントローディングの重要性を提示しています。

施工分野でのBIM活用は広がりつつあるものの、運用体制の整備が課題となっています。発注者側の意識づけと、早い段階での関係者間の合意形成が今後の鍵になりそうです。

有識者が指摘する建設DX推進の課題

芝浦工業大学の志手一哉教授はこの調査結果について、大手ゼネコンの労働環境は改善が進んでいるものの、そのしわ寄せが専門工事会社や技能労働者に向かうのであれば本質的な解決にはならないと述べています。

発注者から技能労働者まで、関係者全員が働き方改革の効果を実感できる業界構造への転換が求められるとの見方を示しました。同教授は、適正な工期の設定と業務負荷の低減を優先課題として挙げ、目標価格を関係者で共有する「ターゲットバリューデザイン」などの手法が有効だと説明しています。

将来的には、BIMデータを加工データに変換してプレカットやプレファブ化を進める取り組みが、施工の効率を大きく高めると見込んでいます。

建設サプライチェーン全体でのデータ連携を提言

レポートの最終章では、受発注形態や契約の適正化、フロントローディングの標準化、そしてサプライチェーン全体でのBIM活用とデータ連携という3つの提言がまとめられています。

発注者・設計者・施工者・専門工事会社をデータでつなぎ、情報を一元管理する仕組みづくりが、今後の業界課題を解決するうえで欠かせない視点として示されました。

BuildApp総合研究所は2024年12月に設立された任意団体で、建設産業のデジタル活用とサプライチェーン改革を後押しする調査・発信活動を行っています。今回のレポートを通じて、業界の現状をデータに基づいて整理し、建設に関わるさまざまな関係者との連携を広げていく考えを示しています。

資料ダウンロード:建設DX実態調査レポート2026
BuildApp WEB:https://build-app.jp/

出典情報など

出典:野原グループ株式会社,建設DXが進まない理由とは? 5年調査で判明した人手不足・BIM課題の実態 「建設DX実態調査レポート2026」を公開,https://nohara-inc.co.jp/news/release/11277/,リリース日:2026-06-30