東亜建設工業など3社、鋼材のみで製作可能な新型制振ブレースFP-BRB開発し性能評価を取得

東亜建設工業株式会社(東京都新宿区、社長:早川毅)は、青木あすなろ建設株式会社(東京都港区、社長:望月尚幸)、株式会社名構設計(愛知県名古屋市、代表:大谷智德)の2社と共同で、新しい制振ブレース「折返しプレート式座屈拘束ブレース(FP-BRB®)」を開発しました。
特殊な加工や溶接を使わずに鋼材だけで製作できる点が特徴で、日本ERI株式会社による構造性能評価(ERI-K25001)もすでに取得済みです。なお、この技術は現在特許出願中となっています。
物流倉庫で広がる構造形式
物流倉庫を建てる際は、建設コストを抑えやすい「ブレース付きラーメン構造」がよく採用されます。
柱と梁で組んだフレームに、斜め方向の部材であるブレースを加えることで、建物全体の強度を確保する仕組みです。なかでも、圧縮と引張の両方に対して安定した性能を発揮できる座屈拘束ブレースは、こうした構造で広く使われてきました。
鋼材ブレースは引張には強い一方で圧縮変形には弱く、限界を超えると急に折れ曲がってしまう座屈という現象が起きます。座屈拘束ブレースは鋼管などの拘束材で座屈を抑え込み、引張時と同等の性能を保てるよう設計されています。
さらなるコスト低減への挑戦
芯材や拘束材の形状、材質、製法などが異なる座屈拘束ブレースはすでに複数実用化されていますが、建設資材の価格上昇が続くなかで、3社はさらなるコスト低減を目指し、新たな制振ブレースの開発に取り組みました。
折返し構造で座屈を防ぐ仕組み
FP-BRBは、並べて配置した複数の鋼板の端部を、一筆書きのようにたどりながらつなぎ合わせる「折返し機構」を採用しています。
圧縮を受けた鋼板が曲がろうとする力を、隣り合う鋼板が押し返すことで座屈を抑え込む仕組みです。この座屈拘束効果によって、圧縮方向に変形が生じた場合でも、引張方向と同等の性能を発揮できるといいます。
低コストを実現する製法の工夫
このブレースは、断面の異なる9枚の鋼板(芯板1枚、中板6枚、外板2枚)を互い違いに組み合わせて構成されています。特殊な加工や溶接工程を必要としないため、鉄骨ファブリケーター(鉄骨製造会社)でも製作が可能です。
建物の主架構とはボルト接合でつなげられる構造になっており、同等の性能を持つ従来の座屈拘束ブレースと比べて、製造コストを抑えられる点が大きな利点となっています。
技術面で挙げられる六つの強み
開発チームは、本ブレースの特長として次のような点を挙げています。
- ダンパー部と支持材で構成され、主架構とは一般的なボルト接合で接続できること
- 9枚の鋼板を折返して両端部のプレートに互い違いに接合していること
- 鋼板同士の隙間を適切に管理し、座屈を隣接する鋼板で拘束できること
- ダンパー部の断面積や折返しの位置を調整すれば、耐力や剛性を自由に設定できること
- 構成部材がすべて鋼材の板であり、特殊な加工や溶接を必要としないこと
- 設計の想定を超える変形が生じた場合でも急激に耐力が落ちない、フェールセーフ機構を備えていること
これらの工夫により、性能と製造のしやすさを両立させています。
物流倉庫以外への展開も視野に
3社は、このブレースを物流倉庫だけでなく、商業施設やオフィスビルなど幅広い建物にも応用できるとみています。
今後は実際のプロジェクトへの適用を進めながら技術をさらに磨き、物流倉庫における耐震・制振対策の普及と建設コストの低減を通じて、事業の継続性向上に貢献していく方針です。
出典情報など
出典:東亜建設工業株式会社,「折返しプレート式座屈拘束ブレース(FP-BRB®)」を開発 ~従来の同性能ブレースより低コスト化を実現~,https://www.toa-const.co.jp/company/release/2026/260703.html,リリース日:2026-07-03