DfMAシンポジウムvol.2 -リア・ローディングからの脱却-_開催レポート【第3回】|株式会社長谷工コーポレーション エンジニアリング事業部 DX推進室 室長 中野達也

人手不足や時間外労働規制を背景に、日本の建設産業では、現場に負荷が集中する従来のリア・ローディング型のプロセスからの転換が求められています。
本連載では、その解決策として注目されるDfMA(Design for Manufacturing and Assembly)を軸に、設計段階から施工・製造を見据えるフロント・ローディングの考え方と実践を探ります。シンポジウムでの議論や企業の取り組みをもとに、標準化やデータ連携、発注・契約のあり方など、建設プロジェクト全体の進め方を見直すヒントを提示していきます。
| タイムテーブル | 内容:登壇者 |
| 13:00〜13:10 | 開会の挨拶:GBTRCセンター長 / 芝浦工業大学教授 蟹澤 宏剛 |
| 13:10~13:40 | 趣旨説明:東洋大学准教授 田澤 周平 |
| 13:40〜14:20 | 講演①:株式会社安藤・間建築事業本部 BIM推進部 施工BIMグループ 岩倉巧、長田開気 「BIMと製造CADの連携による基礎梁PCaの製作図作成ワークフローの効率化」 |
| 14:20〜15:00 | 講演②:株式会社長谷工コーポレーション エンジニアリング事業部 DX推進室 室長 中野達也 「設計施工におけるフロントローディングの3類型」 |
| 15:00〜15:40 | 講演③:株式会社カワトT.P.C 代表取締役会長 川戸俊彦、新規開発担当 田中聡 「BIMを用いた建築業のプレハブ組立と働き方改革推進サポート」 |
| 15:40〜16:20 | 講演④:野原グループ株式会社 グループCSO 山﨑 芳治 「BuildAppにおける製作加工連携の取り組み」 |
| 16:35〜17:45 | パネルディスカッション コーディネーター ・前田建設工業株式会社 建築生産技術部 担当部長 曽根巨充 ・東京電機大学教授 小笠原正豊 |
| 17:45〜18:00 | クロージング:GBTRC副センター長 / 芝浦工業大学教授 志手 一哉 |
※タイトル表記は、タイムテーブルの表記に準拠しています。
講演②:株式会社長谷工コーポレーション エンジニアリング事業部 DX推進室 室長 中野達也
「設計施工におけるフロントローディングの3類型」

株式会社長谷工コーポレーションの講演では、設計・施工におけるBIM活用とフロントローディングの考え方が取り上げられました。
講演では、同社がフロントローディングを3つに分類していることが示されています。






1つ目は「納まりのフロントローディング」です。部材やディテール、寸法体系、パラメーターを標準化し、BIMパーツに情報を組み込むという考え方が示されました。具体例としては、サッシの建具記号や寸法ルールを標準化し、BIMデータからメーカーへ必要な情報を渡す仕組みが挙げられています。
2つ目は「ルールのフロントローディング」です。施工に基づく配置ルールや設計ルールを事前に定める考え方が紹介されました。排水管の水勾配を例に、設計側と施工側で余裕値を別々に持つと、施工段階でモデルを作り直す可能性があるという課題が指摘されています。そのうえで、設計と施工で数値を統一し、設計図書の段階から施工に使用できる値を反映する取り組みが説明されました。
3つ目は「人のフロントローディング」です。施工図チェックを行う人や納まりを検討する人を、基本設計や実施設計の段階から参加させるという考え方です。設計段階から施工側の視点を取り入れることで、着工後の手戻りを減らす効果が期待されています。
事例の一つとして、給水・給湯の自動設計システムも紹介されました。BIMモデルから配管位置、縦管位置、住設位置、壁やドアなどの情報を取得し、アルゴリズムによって自動的に配管を行う仕組みです。最終的な調整には、施工側やプレハブ配管を製作する側の知見も反映されていると説明されています。


講演後半では、AIとBIMデータの活用についても言及されました。BIMモデルを部材ごとのデータベースとして扱い、AIを用いて情報を抽出する構想です。天井高チェックの例では、床と天井のペアを特定し、座標差から天井高を確認する方法が紹介されています。
また、BIMモデルとの対話に用いるプロンプトやクエリーのデータベースを構築する取り組みも取り上げられました。過去の設計図書PDFやBIMデータ、竣工写真、基準書類などをデータベース化し、間口・奥行きや間取り条件から該当する住戸を検索する試みが進められています。
最後に、AIを活用した設計が、施工のための設計(DFMA)における第4のフロントローディングになり得るという考え方が示されました。
ー次回は、講演③をレポートしてまいります。
