【連載】建設DXで現場はどう変わる?DX、BIM活用の実態とこれから|(第4回)東急建設株式会社 酒井氏

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第4回 DX、BIM活用がテストで終わらないために必要なこと

建設業界において、同じ建物は無く、施工現場において同じアプローチは存在しないのと同じで、DXに関しても人それぞれの考え方があり、人それぞれのアプローチがあります。

しかしながらお互いに目指すことは明確であり、建設においては要求されている建物を造るという目的があり、DXに関しては効率化という目的があります。今回実証したプレカット工法に関しその目的という点では、やはり効率化を目指しBIMの活用を実証したことになります。

ここでいう効率化というのは現場施工に関し、労務削減のためや工期短縮のための効率化ということになります。実証においては、効果を期待し効果が出るためのアプローチを行っているため、本来の姿とは少し乖離があるのかもしれませんが、結果としては、想定に近しい一定の効果があることがわかり、課題も明確になりました。今後、この課題を一つ一つ解決し一つの新しいプロセスを造ることが使命であると考えています。

また、その新しいプロセスを再度実証し、より実践的で、確実なプロセスを改良しながら作り上げるサイクルこそが必要なのです。

さて、その標準プロセスができた先には、実用性のあるものとなっているのでしょうか。おそらくそれだけでは、実用性のあるプロセスにはならないでしょう。先にも述べた通り建設現場は同じ建物もなく同じアプローチもない。各現場それぞれの条件があり、それぞれの変化があります。要するに標準プロセスはあっても標準に過ぎず、変化に対応してこその実用性ではないかと考えています。

ではBIMを活用したプレカットの実証において、現場はこの変化に対応できていたのかどうかというと、まだまだ対応しきれないのが現状です。

明確になった解決すべき課題

第1回の内容の『導入時やその方法についての難しさとスピード感の重要さ』第2回の内容である『プロセスを変えることへの抵抗感』など、どうしても変化や変更に対する改善が課題として挙げられます。
人がこのツールを使う以上この抵抗感を取り除かない限り使わないでしょうし、実用化として認められないものと感じています。では、どうすれば信用性ある効率の良いプロセスになるか、これはなかなか難しい問題です。正直、打開策は私にはわかりません。しかし、解消しなければならない分野についてはこの実証において明確になったのではないでしょうか。

  • 誰もが使える(馴染める)ものであること。
  • 操作性が良いこと。
  • 変化に対応できること。
  • 効率の良さを見える化すること。

当たり前のことです。皆そんなことはわかっている、と思われるでしょうが求められるのはやはり原点であり、効率の良いとされる新プロセスを皆が使うには当たり前のことを形にしなければならないのだと感じています。

BIM活用のプレカットにおいて今後実用性を目指すには、導入には、この口に出さない部分を当たり前に処理できることが必要であり、効率の良いものとするためには変化に対応するシステムにしなければならないことが今後の大きな課題かと考えます。

BIMは一つのツールであり莫大なデータを処理できます。そのデータを変化に対応させるには、AIという知識を入れる。こんな優れたツールがあれば私はぜひ使わせていただきたいと思います。