【連載】DXで現場のプロセスが変わると何が起きる?|(第2回)東急建設株式会社 酒井氏

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▼連載4回目:【連載】建設DXで現場はどう変わる?DX(第4回)

▼連載5回目:【連載】建設DXで現場はどう変わる?「BIMに期待するDXの姿」(第5回)

高度成長期以降変わらない建設プロセス

建設現場において、各工種それぞれで、作業標準や作業手順といった通常に行われるプロセスが存在します。

思い起こせば高度成長期以降の建設業において、目まぐるしい技術の進化の中、この作業標準がほとんど変わっていないことにお気づきでしょうか。

躯体工事における型枠組立から鉄筋配筋の後のコンクリート打設であったり、その細部における組み立て手順であったりなど何十年とほとんど変わっていないのが建設業の実情です。

そう考えると諸先輩方のやってきたことは理にかなっており、かつ効率的であるがゆえに現代まで引き継がれているということになります。これに関しては感心するとともにリスペクトすることだと思います。

デジタルトランスフォーメーションとデジタイゼーション

さて、その慣れ親しんだプロセスが、現代ではアナログとも呼ばれDXの流れで変えようとする働きがあるのも現実で、前回述べたBIM活用したプレカットもその一つかと思われます。

では「現場でのDXとは?」ということでDXの定義について改めてまとめてみました。

DX(Digital Transformation)は「デジタル変革」と直訳することができ、デジタルにより現在の仕組みを根底から変え、より良い方向に導くこととされています。

現在一般に行われている、アナログで行ってきたプロセスをデジタル化するというのはデジタイゼーションというそうです。これはプロセスを変えずにアナログデータをデジタル化にすることを指すそうです。

DXではないものの、これはこれで業務効率化が見込めるため、必要不可欠とも思われます。

このことから考えると一番身近に考えやすいデジタイゼーションは、DXの手段であるにすぎないということでしょう。

よってDXの定義からすると慣れ親しんだプロセスを変革することがマストということになるのでしょうか。

現場のノウハウが変わる

では、プロセスを単に変えたらどうなるか。プレカットの実証においてプロセスの変化に対する現場の混乱を課題としてあげましたが、プロセスを変えることへの抵抗感は想像以上であると考えます。

これは実際現場で実務とする方が体で覚えていることを変えようとするわけですから無理もありません。しかし、DXではプロセスを変え効率化を目指すことを推奨しています。

一見矛盾した考えかもしれませんが、実証における成果としてはどうだったのか。

プレカットの検証現場で起こったこと

プレカット検証した現場では、スタート時の混乱はあったものの、階数を重ねることで効率が良くなることを実感しさらに、工数的にも減となる成果が出ています。

結果、目に見える成果があることや変化に対する慣れが生じれば、抵抗感がなくなるのではという考えに行きつきます。

今回の検証では現場労務に特化して数値を出していますが、サプライチェーンを取り入れることで新たな変革が生まれるのではないかと考えています。

サプライチェーンによる図面作成から発注・加工・納品・管理においてあらゆる関係業者が同一のフローの上に成り立っています。

つまり、同じデジタル情報を使うことで現場業務だけでなく工種全体にまたは、業界全体における変革にも繋がる可能性があるのです。

もちろん、先に述べた通り現場が変化することに慣れる必要があることは間違いありません。しかしそこをクリアし、同じデジタル情報の一つであるBIMを通して一つのデータを各工種が活用し全体的な視野を持つ業界になることは、建設業界における一つのDXの形一とも言えるのではないでしょうか。

まとめ | プロセスを変えるDXに向けた各工種共通のデータやサプライチェーンが必要

日本の建設プロセスは高度成長以降ほとんど変わらず、完成度は高いもののDXには
そのプロセスを変える必要がある。そこには各工種が全体を見据え変化に慣れること、プロセスをつなぐサプライチェーンを取り入れることで実現が見込めると考えます。

次回は、第3回「現場でDXを進める時のパートナーとの連携」についてです。