急速に発展する建設分野での生成AI援用の現在地を多分野に渡り追跡(第十七回):NexisとKENCOPA、建設業務を支援するAIサービスを強化【毎月3回更新】

アナログでリアルな施工によって建築物、構造物を具現化するのが建設業の本意であるが、一方で、個別の工事ごとに膨大な事務処理作業が発生する。生成AIは、日々、進化を続け、それら日常の事務処理業務のDX化、省人化、効率化も担い始めている。
本稿では、汎用パソコンに常駐して働き続ける「AIスタッフ導入支援」の提供を開始したNexisと建設業務特化型AIエージェント「Kencopa工程AIエージェント」の新機能を提供したKENCOPAについて報告する。
社内システムと連携して情報収集・整理から担当者への通知まで自動化するAIスタッフ構築
Nexis(渋谷区: 代表取締役諸橋瑛音氏)では、Mac miniを活用、24時間常駐して働き続ける企業専用のAIスタッフを構築する「AIスタッフ導入支援」の提供を開始した。
AIスタッフは、社内システムや各種ツールと連携して情報の収集・整理から業務の監視、データの抽出、担当者への通知まで自動化する。顧客の業務内容や課題に合わせてAIの役割を設計し、導入から運用・保守まで一貫して支援する。
AIスタッフの特長を列記する。24時間、見て聞いて知らせる。職員が帰宅した後の夜も休日もAIスタッフは働き続ける。予定の変更や届いた注文を監視し、写真や請求書、会議の録音から必要な情報を抽出して、担当者に通知する。毎朝の連絡の要約や資格・保険の期限前の通知など人が聞く前にAIスタッフから知らせる。
パソコン1台から始められる。Mac miniは、汎用のパソコンで、本体は15万円から電気代は月1,700円以下。情報の整形や登録など軽い作業は、Mac mini上のAI(ローカルAI)が低コストで行い、高度な推論が必要な場面だけ顧客が契約したクラウドAIを使う。
任せる仕事は、エンジニアが一社ずつ設計する。同じMac miniでも、何をどう任せるかでコストとパフォーマンスは大きく変わる。Nexisのエンジニアが業務内容を把握して任せる仕事とその手順を設計する。

写真台帳の下書き・現場連絡の要約・安全書類の下書き・届いた注文の登録などを実行
本稿では、建設業界での活用例を報告する。
写真台帳の下書きに援用する。職人が現場のLINEに写真を送ると、Mac miniが写真を読み取って仕分けし、写真台帳の下書きを創る。夕方には写真整理の結果の確認だけになる。
現場の連絡の毎朝の要約をする。現場の職人、元請、材料卸からLINEやメール、FAX(複合機からメールに転送したもの)で届く連絡をMac miniが毎朝1通にまとめる。そのため返事漏れと予定の変更が朝の1通で分かる。

安全書類の下書きをする。作業員の氏名や資格などをまとめた名簿を1つ用意しておけば、Mac miniがその名簿を基に元請ごとに異なる書式で安全書類の下書きを創る。それによって元請ごとの作り直しと差し戻しが減る。

届いた注文の登録ができる。元請や管理会社からメールやFAX(複合機からメールに転送したもの)で届いた注文をMac miniが読み取り、受注リストと予定表に下書きする。事務担当者は確認して確定すればよく、届いた依頼の打ち直しがなくなる。

協力会社の請求書の照合ができる。協力会社から届いた請求書をMac miniが日報や注文書と照らし合わせ、人工や金額の合わない請求だけを知らせる。月末の照合が合わない分だけになる。

定例会議の議事録の下書きを創る。監督が会議を録音して会社のLINEに送るとMac miniが文字起こしをして議事録の下書きを創る。これによって会議の後の書き起こしがなくなる。

導入の流れとしては、最初にヒアリングを通して顧客の業務を把握し、自動化する業務とワークフローを要件定義する。続いて設定によって顧客のMac miniにワークフローを実装する。
納品時には、社内で稼働する状態で渡し、使い方を説明する。保守としては、不具合の修正と設定の調整を行う。
AIスタッフに任せる仕事は、会社ごとに異なる。現在の業務と課題点を把握し、導入の内容を提案する。30分のオンライン相談の予約が可能だ。
オンライン相談の予約
オプションとしてAI業務基盤の構築を行う。Mac miniの導入に留まらず、業務全体をAI前提に組み直す場合は、設計から構築・運用までNexisのFDE(Forward Deployed Engineer)が支援する。FDEは、顧客の業務の現場に入り、課題の特定から設計・構築・運用までを担うエンジニア。
FDEによる支援
対話型AI ChatGPTと共に人が見ていない間も動き続け変化発生時に能動的に動くAIが必要
生成AIを業務で利用する企業が増えている。一方で、多くの企業では決まった手順の事務作業が今も人の手で行われている。一例として、建設業界の現場では次のような作業がある。
現場からLINEで届いた写真を夕方にオフィスで整理し、写真台帳に貼り付ける。元請ごとに書式の違う安全書類をその都度作り直す。
メールやFAXで届いた注文を受注リストや予定表に打ち直す。協力会社の請求書を日報や注文書と月末に1件ずつ照合する等などだ。
これらの作業こそAIに任せたいがChatGPTのような対話型のAIでは、人が質問したと時にしか稼働しない。そのため、こうした仕事をAIに任せるには、人が見ていない間も動き続け、変化が起きた時に能動的に動くAIが必要となる。
それらの背景から、Nexisでは、オフィスに置いた1台のMac miniに24時間常駐し、働き続けるAIスタッフを各社の業務に合わせて構築する「AIスタッフ導入支援」の提供を開始した。
『企業の中には、書類の作成や情報の転記、照合など、決まった手順で繰り返し発生する事務作業が数多くあります。こうした仕事は、人が見ていない間も動き続けるAIスタッフに任せられます。その分、人は本来時間を割くべき創造的な仕事に集中でき、事業の利益を最大化できると考えています。弊社自身も、自社のMac miniで様々な業務をAIに行わせています。その経験をもとに、各社の現場に合わせたAIスタッフをつくっていきます。』(代表取締役諸橋瑛音:原文ママ) 建設業務
特化型AIエージェント「Kencopa工程AIエージェント」で「工程表インポート機能」提供
KENCOPA(目黒区: 代表取締役CEO安村荘佑氏)では、提供する建設業務特化型AIエージェント「Kencopa工程AIエージェント」の新機能としてExcel・CAD・その他の工程作成ソフトで作成した工程表を取り込み、そのまま編集できる「工程表インポート機能」の提供を開始した。

社内の休眠工程データを活用・他ツールでの工程表を取り込んで編集するなどの機能提供
AIエージェントならではの工程作成・運用の体験を提供しながらExcelやCADからの移行も安心して進めていける。「工程表インポート機能」の特長を列記する。
社内に眠っている工程データを活用できる。
過去の現場で作成した工程表を取り込むことによって蓄積されてきた工程データを次の現場の工程づくりに活かせる。
他ツールで作った工程表をそのまま取り込んですぐに編集できる。Excel・CAD・その他の工程作成ソフトで作成した工程表をPDFファイルとしてアップロードするだけで良い。AIが数分で読み取り、Kencopa工程AIエージェント上で自由に編集できる工程表に変換する。
元請・他社から共有された工程表もすぐに編集できる。受け取った工程表をインポートすれば改めて入力し直すことなく、すぐに編集・運用を始められる。
Excelとの互換性も確保できる。Kencopa工程AIエージェントは、Excel出力にも対応しているため取り込んだ工程表を編集した後にExcel形式で共有することも可能になっている。
独自の工程生成エンジンは建築・土木・プラント・設備など幅広い工種に対応し実務運用可
Kencopa工程AIエージェントは、工程表作成・実施工程運用にかかる時間の短縮のみならず、活用の中で自動的に蓄積される設計図書と工程・歩掛・工事データを合わせた会社独自ナレッジデータベースの蓄積によって省人化と技術継承を同時に実現する。
独自の工程生成エンジンは、建築・土木・プラント・設備など幅広い工種に対応している。設計図書(図面、仕様書、見積調書)をアップロードするだけで、自社歩掛や過去工事を学習したAIが工程表を対話生成する(特許申請中)。
作成後は、AIが生成した工程表をたたき台として他の工程編集ソフトと同様にアプリ上で直感的に編集・運用が可能だ。実績入力やPDF・Excelの指定フォーマットは、テンプレートとして登録でき、各現場に応じて自由に出力することができる。
既存の工程表をAIが読み取りKencopa工程AIエージェント上で編集可能な工程表へ変換
多くの建設会社では、ExcelやCAD、各種の工程作成ソフトで作られた工程表が日々、使われている。過去の現場で作成した工程表は、社内に蓄積されているものの、形式がばらばらで再利用しにくいまま眠っていることも多く、元請や協力会社から共有された工程表も、自社のツールで扱うには改めて入力し直す必要があった。
加えて、新しいツールを導入しようとしても、これまでの工程表を一から作り直す手間が壁となり、移行が進まないケースは少なくない。工程表インポート機能は、既存の工程表をAIが読み取り、Kencopa工程AIエージェント上で編集可能な工程表へ変換することによって作り直しの手間をなくす。
建設現場の省人化・自動化の実現に挑戦する建設専門のAIスタートアップ企業KENCOPA
KENCOPAは、「Copilot for Construction」をミッションに掲げる建設現場の省人化・自動化の実現に挑戦する建設専門のAIスタートアップ企業。「Kencopa工程AIエージェント」「Kencopa積算AIエージェント」等の提供を通じて図面・仕様書・歩掛・施工データ等、従来までは暗黙知に依存していた現場業務をAIが理解・処理し、工程作成・書類作成・知識検索まで自動化する。また、日々の利用を通じて会社独自データが自然に蓄積され、若手教育・技術継承に貢献する。
自社プロダクトの提供に加え、個社特有のニーズに合わせたカスタマイズ開発事業も展開する。様々な角度から建設業の未来に挑戦している。