転圧とは?|締固めとの違い、ランマーなど転圧機の選び方とやり方を解説

掲載日:
Category:コラム建築

著者:上野 海

転圧は、道路や建物の基礎、埋戻しなど、あらゆる土木・建築工事の品質を左右する工程です。転圧が不十分だと、完成後に沈下やひび割れが起き、手直しに大きなコストがかかります。

そこでこの記事では、転圧の意味と締固めとの違い、ランマーやプレートコンパクターなど転圧機の選び方、正しいやり方をわかりやすく解説します。また、人力や小型機械で転圧する方法や、転圧不足・過転圧の見分け方も紹介しているので、現場工事の参考にしてください。

地盤や舗装を締め固める「転圧」とは

転圧(てんあつ)とは、土や砕石、アスファルトなどの材料に機械や道具で圧力を加え、粒子の間の空気を押し出して密度を高める作業です。

転圧の仕組みとして、まず土は「土粒子・水・空気」で構成されています。その部分を転圧して粒子の隙間を減らすことで、強度が高まり、水も浸透しにくくなります。

また、転圧の目的は、地盤や舗装を長期間にわたって安定させることです。転圧が不十分なまま構造物や舗装をつくると、次のような不具合が起こりやすくなります。

  • 建物や土間コンクリートの不同沈下
  • 舗装面のわだち掘れやひび割れ
  • 雨水の浸透による地盤の緩み
  • 埋戻し部の陥没

いずれも完成後に発覚すると補修が大がかりになるため、施工段階で確実に転圧しておくことが重要です。

転圧と締固めの違い

締固めは、地盤の密度を高める工法全般を指す広い言葉です。

転圧はその中でも、ローラーやランマーなどで圧力をかけて締め固める作業を指し、現場ではほぼ同じ意味で使われることも少なくありません。国土交通省の基準類では「締固め」という言葉が使われるため、書類上は締固め、現場の会話では転圧と覚えておくと混乱しにくいでしょう。

出典:国土交通省「TS・GNSSを用いた盛土の締固め管理の監督・検査要領」(令和3年3月)

なお、締固めによる土量の変化や計算方法については、以下の記事で解説しています。

転圧機械の種類と選び方

転圧機械は、材料の種類と作業場所の広さによって使い分けます。代表的な機械の特徴を、下の表にまとめました。

機械転圧方式向いている材料向いている現場
ランマー衝撃粘性土・砂質土管路の埋戻し、狭い場所
プレートコンパクター振動砂・砕石・アスファルト駐車場、歩道、補修
ハンドガイドローラー振動+自重砕石・アスファルト歩道、狭い道路
振動ローラー振動+自重砂質土・砕石造成、道路の路盤
タイヤローラー自重(静荷重)アスファルト・路盤舗装の仕上げ

なお、乗車式のローラーを運転するためには特別教育の受講が必要です。公道を走行する場合は運転免許も求められます。

ローラーなど車両系建設機械の種類や必要な資格については、以下の記事で解説しています。

転圧の手順とやり方

転圧は「機械を走らせれば終わり」ではなく、準備から確認までの流れで品質が決まります。基本的な手順を4つのステップで解説します。

  1. 整地と異物の除去
  2. 敷均し(撒き出し厚の管理)
  3. 含水比の調整
  4. 転圧と確認

1. 整地と異物の除去

転圧する範囲の凹凸をならし、石や木の根、ガラなどの異物を取り除きます。異物が残ると、その部分だけ土が締まらずに沈下の原因になるので注意してください。

2. 敷均し(撒き出し厚の管理)

材料は一度に厚く敷かず、薄い層に分けて敷き均します。国の土木工事の基準では、盛土の仕上り厚さを路体で1層30cm以下、路床で20cm以下とするのが一般的な目安です。

出典:国土交通省「土木工事共通仕様書(案)令和8年3月 第4節 道路土工」

3. 含水比の調整

土は、最も締まりやすい水分量(最適含水比)の付近で転圧するのが理想です。

※最適含水比とは、土を一定の方法で締め固めた場合、最大の乾燥密度が得られるときの含水比であり、JIS A 1210の締固め試験で求めます。

乾きすぎていれば散水し、水が多すぎる場合は乾燥させてから作業します。握った土が固まり、指で押すとほぐれる程度が現場での目安です。

出典:JIS A 1210 : 2020「突固めによる土の締固め試験方法」

4. 転圧と確認

転圧は一定方向に進め、前の走行範囲と一部を重ねながら全面にむらなく圧力をかけます。終了後は、目視で凹凸を確認したうえで、必要に応じて密度試験(砂置換法やRI計法)で締固め度をチェックします。

人力や小型機械で転圧するやり方

大型ローラーが入れない場所では、ランマーやプレートコンパクター、人力の道具で転圧します。ここでは、小型機械や人力での転圧が必要になる場面と、品質を確保するためのポイントを解説します。

小型機械や人力での転圧が必要な場面

現場では、次のような場所で大型の転圧機械が使えません。

  • 擁壁や構造物の際
  • 管路やマンホールまわりの埋戻し
  • 狭い通路や歩道
  • 小規模な舗装補修

特に構造物の際は大型機械が近づけず、締固め不足になりやすい場所です。ランマーなどで入念に転圧する必要があります。

人力で使う道具

機械が入らないごく狭い範囲や補修では、人力の道具を使います。

  • 手動タンパー
  • 木製のタコ
  • 手押し式の転圧ローラー

人力は圧力が小さいため、層を薄くして回数を重ねるのが基本です。足踏みは均一な圧力をかけられないため、品質が求められる箇所の転圧には向きません。

土間コンクリートや駐車場の下地など荷重がかかる場所では、人力ではなくランマーやプレートコンパクターを使いましょう。庭の砂利敷きなど小規模なDIYでも、同じ道具と考え方で転圧できます。

品質を確保するポイント

小型機械や人力の転圧は、大型ローラーより1回あたりの締固め効果が小さくなります。そのため、次の点を意識して施工しましょう。

  • 1層の厚さを薄くする
  • 走行範囲の重ね幅を確保する
  • 構造物の際は衝撃を与えないよう慎重に進める
  • 締固め後に密度や沈下の有無を確認する

施工範囲が小さいため省略されがちな工程ですが、沈下や陥没の起点になりやすい場所です。だからこそ、丁寧な転圧が欠かせません。

転圧不足と過転圧を防ぐポイント

転圧で失敗しやすいのが、回数が足りない「転圧不足」と、かけすぎによる「過転圧」です。それぞれの見分け方を押さえておきましょう。

転圧不足のサインと対策

転圧不足の場所では、次のような状態が見られます。

  • 歩くと足跡がはっきり残る
  • ランマーが跳ねずに沈み込む
  • 表面に不自然な凹みやむらがある

こうした場合は、追加で転圧する前に、含水比が適切か、1層の厚さが厚すぎないか、機械が材料に合っているかを確認しましょう。原因を取り除かずに回数だけ増やしても、十分に締まらないことがあります。

過転圧のサインと対策

過転圧とは、必要以上に転圧したことで土の構造が乱れ、かえって強度が落ちる状態です。

特に水分の多い粘性土で起こりやすく、次のような状態が典型的なサインです。

  • 表面が波打つ
  • 踏むとぶよぶよとした弾力がある
  • 転圧するほど表面から水がにじみ出る

その場合はすぐに転圧を止め、材料の入れ替えや乾燥を検討しましょう。過転圧を防ぐには、試験施工で適切な転圧回数を決めておくことが有効です。「回数を多くすれば安心」とは限らない点に注意が必要です。

転圧はICTによる管理の効率化も広がっている

従来の転圧管理は、回数をオペレーターの目視で確認し、締まり具合は代表地点の密度試験で測る方法が中心でした。そのため締め残しに気づきにくく、密度を測る作業員が重機に近づく危険もありました。

こうした課題を解決するのが、ICTを使った転圧管理です。

たとえば戸田建設の東北支店では、振動ローラーに加速度センサーとGPSを取り付け、締固めが不足している場所をモニター上に色分けで表示しました。重機の近くで密度を測る必要がなくなり、作業員と重機の接触事故の防止にもつながっています。

一方で、導入時には次のような課題もあります。

  • 計測値は相対的なため、密度試験との照合が必要
  • 機器の取り付けが複雑で費用も高い
  • 充電忘れなどの人為的なミスが起こりうる

ICTは従来の試験や現場での確認と組み合わせてこそ、効果を発揮すると言えるでしょう。

出典:建設業労働災害防止協会「GPSを活用した盛土転圧管理|ICT活用事例」

なお、ICT施工の事例やメリット・デメリットについては、以下の記事で解説しています。

まとめ|転圧は正しい手順と管理で品質が決まる

転圧は、地盤や舗装の強度を高め、沈下やひび割れを防ぐために欠かせない工程です。品質を確保するには、材料や現場に合った機械を選び、薄い層での敷均しと適切な含水比の管理を徹底しなければなりません。

また、転圧不足だけでなく過転圧にも注意が必要です。基本の手順を押さえたうえで、ICTによる転圧管理も取り入れ、効率的で安全な施工を目指してみてください。