西松建設がXR施工管理支援システムを更新、AR表示誤差を30cm以内から15cm以内に縮小

西松建設は2026年10月15日、株式会社ホロラボ(東京都品川区、代表取締役CEO:中村 薫)と共同で、施工可視化・ドローン操縦支援システムのアップデートを発表しました。
このシステムは、ドローンが撮影した空撮映像にCIMモデルをリアルタイムで重ねて表示する技術と、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を連携させたものです。施工の状況をより分かりやすく把握できるXR施工管理支援システムとして、実用化に向けた展開を進めます。
現場の要望を受けて機能を見直した経緯
両社は2023年度に、ドローンが撮影する施工現場の全景映像へCIMモデルをリアルタイムに重ねる技術を開発しました。計画の全体像を見渡しながら、施工イメージと現況の違いを確認できます。地点ごとにARの位置合わせをする手間もなくなり、現場内の移動が減って作業の効率化につながりました。
一方、実際の現場で使い続けるうちに、より見やすく施工管理に生かしやすい機能を望む声が寄せられるようになりました。そこで、西松建設のJVが施工する川内沢ダム(宮城県名取市)での試験運用で見つかった課題や要望をもとに、システムの更新と機能の拡充を行いました。
XR施工管理支援システムの三つの機能強化
今回の更新では、AR表示の精度向上、3Dモデルの切り替えと同時表示、HMDを使った操縦支援の三つが柱です。それぞれの内容を順に紹介します。
処理の最適化でAR表示のずれを低減
システムの土台となる映像処理とAR描画の流れを見直しました。ドローンが高速で動く場面や複雑なカメラワークでも、AR表示の位置ずれを抑え、3Dモデルを高い精度で安定して重ねて表示できます。映像の取得からCG合成、出力までのレンダリング処理も改善し、通信負荷の軽減と映像転送の高速化を実現しました。
その結果、施工計画や設計データと実際の施工状況との照合誤差は、従来の30cm以内から15cm以内へと縮小し、約50%低減しました。なお「重畳」とは、現実の風景の上にデジタル情報や映像を重ねて表示する画像処理・AR技術のことです。
3Dモデルの切り替えと同時表示に対応
複数の3Dモデルを切り替えたり、同時に表示したりする機能を新たに加えました。ドローン映像で現場全体をリアルタイムに見渡しながら、目的に合ったモデルを選んで表示できます。モデルを重ねれば、構造物同士の干渉確認や施工計画の比較・検証も直感的に行えます。
ダム施工では、転流工の施工手順に合わせて3Dモデルを段階的に表示できます。各段階の確認がしやすくなるため、計画の検証に加え、関係者間での手順の共有や合意形成を効率よく進められます。
HMDで障害物との距離をひと目で把握
HMDの空間ヘッドアップディスプレイ(HUD)には、ARの3Dモデルに加え、ドローンの位置や高度、バッテリー残量といった飛行情報がリアルタイムで表示されます。
ただ、ドローン周辺の障害物との距離や安全状態は把握しにくいという課題がありました。そこで、機体に搭載した各種センサーの情報を活用し、HUD上のドローンモデルの周囲に、障害物までの距離に応じた黄色・赤色の警告を表示するようにしました。
操縦者は距離をひと目で確認できます。ドローンを目視しにくい状況でも安全に操縦しやすくなり、遠隔施工や施工管理の効率と安全性の向上に役立ちます。
遠隔施工や災害復旧、VRコンテンツへの展開
今後は、竣工イメージや作業の進み具合をARで重ねて表示し、現場の状況をリアルタイムに把握しながら施工計画と見比べられるAR施工管理支援ツールの実用化を進めます。遠隔施工や災害復旧工事への展開も見据え、施工管理の高度化と現場運営のさらなる効率化を目指します。
西松建設は、XR技術の特長を生かしたハードウェアとソフトウェアの開発にも取り組んでいます。今後は本技術を応用して、現場見学者向けのVRコンテンツを提供する計画です。竣工イメージを使ったプロモーション動画の制作と発信など、幅広い用途への活用も進めます。
【参考】:ホロラボ・西松建設 XRを活用したドローン作業支援と空撮映像への3Dモデル重畳技術を開発
出典情報など
出典:西松建設株式会社,ドローン映像とCIMモデルを活用したXR施工管理支援システムをアップデート,https://www.nishimatsu.co.jp/news/2026/cimxr.html,リリース日:2026-10-15