国土交通省、2029年春開始のBIMデータ審査導入へ向け基本構想を策定し審査方法を整理

20260924_BIMデータ審査の基本構想

国土交通省は、2029年春の導入を目指す「BIMデータ審査」について、基本構想を取りまとめました。BIMデータ審査は、2026年4月に始まった「BIM図面審査」とは異なる新たな確認手法として位置づけられており、設計者や審査者、BIMソフトウェアベンダーなど関係者が共通の認識を持ちながら準備を進める必要があるとしています。

今回の基本構想では、目指すべき審査の姿や実現に向けた基本方針、関係者の役割分担が示されました。建築確認制度を所管する同省が、官民一体でBIM活用を進めてきた検討成果を踏まえてまとめたものです。

BIMデータそのものを審査対象に

BIMデータ審査は「確認申請のデジタル化」を意味し、審査の対象となるのは建築物の共通ファイル形式であるIFCデータそのものです。審査事項に適した方法で表示する「ビュー審査」と、プログラムやAIを活用してチェックを行う「デジタル審査」を組み合わせることで、建築確認を進める仕組みが想定されています。

なお、IFCデータでの審査対象外となる項目については、これまでどおりPDF形式の図書を用いた審査が続けられます。IFCデータの作成にあたっては、形状情報と属性情報の入力ルールを定める作成基準の整備も進められる予定です。

BIM審査で変わる確認・設計の流れ

BIMは設計だけに使う道具ではなく、建築物のライフサイクルを通じて情報を蓄積していく基盤としての役割も期待されています。審査に必要な情報を最適な形で表示し、プログラムやAIを活用することで、審査の効率化と質の向上が見込まれます。

さらに、蓄積された建築物情報の流通が進めば、設計のさらなる高度化や他分野と連携した新サービスの創出にもつながります。正規化されたBIMモデルが整えば、維持管理を含めたBIM活用の円滑化も期待されます。

発注者・設計者・審査者にもたらす効果

導入の効果は関係者ごとに異なり、発注者にとっては手戻りの削減や期間短縮が見込まれ、設計者・監理者にとっては図面間の整合性確認の手間からの解放が期待されます。

審査者・検査者側でも、IFCデータそのものを審査対象とすることで、図書間の整合性確認にかかる負担の軽減が期待されます。

加えて、審査事項に適した表示によるビュー審査と、プログラムやAIによるデジタル審査を組み合わせることで、審査全体の均質化も図られる見込みです。

2029年春に向け、10項目を優先検討

2029年春の開始にあたっては、入力にかかる負担と効果のバランスを踏まえ、優先的に検討する審査項目が示されました。対象となるのは次の10項目です。

  • 第28条:居室の採光・換気
  • 第35条:排煙設備、非常用の照明装置
  • 第35条の2:内装制限
  • 第36条:防火区画
  • 第52条:容積率(許可を除く)
  • 第53条:建蔽率(許可を除く)
  • 第53条の2:建築物の敷地面積(許可を除く)
  • 第54条:第一種低層住居専用地域等における外壁の後退距離
  • 第55条:同地域等における建築物の高さの限度(許可を除く)
  • 第56条:建築物の各部分の高さ(天空率を除く)

今後も審査対象項目を順次追加

この一覧は今後の検討体制のもとで見直される可能性があります。構造関係や省エネ適合判定、消防同意など制度開始時からの実装については、引き続き協議を続けるとしています。

項目の選定にあたっては、入力にかかる作業負担と、審査の効率化に対する効果のバランスが重視されており、今後も順次追加が検討される見通しです。

導入に向けた体制整備も進む

国土交通省は、官民が一体となってBIM活用を推進するため「建築BIM推進会議」を設置しており、今回の基本構想も同会議での検討を踏まえて策定されました。

会議のもとには、BIMによる建築確認の環境整備を担う「審査タスクフォース」と、データ連携環境の整備を担う「標準化タスクフォース」が設けられ、建築行政情報センターや業界団体とも連携しながら検討が進められています。

審査方法の具体化やソフト開発を推進

今後は、この基本構想に基づき、審査方法の具体化や関係団体との調整が順次進められる見通しです。あわせて、ソフトウェアベンダー各社には、IFCデータの作成基準に対応した出力機能や、法適合性を確認できる機能の開発が求められています。

【参考】:建築BIM推進会議

出典情報など

出典:国土交通省,建築BIMデータを用いた審査開始に向け基本構想をとりまとめました~「建築確認・検査におけるBIMデータ審査の導入に関する基本構想」を策定~,https://www.mlit.go.jp/report/press/house05_hh_001151.html,リリース日:2026-09-18