急速に発展する建設分野での生成AI援用の現在地を多分野に渡り追跡(第五回)|深堀り取材【毎月3回更新】

ACIMUS(千代田区:代表取締役CEO菊池光貴)では、生成AIと対話することによってBIMモデルを作成できるChatBIM「ACIMUS(アキムス)」において、建物ボリュームに対してAIが最適なフロアプラン(空間レイアウト)を自動提案する新機能「AI自動プランニング」を開発した。

新機能は、生成AIがユーザーの指示に従ってフロアプランを数分で自動的に提案する。これによって熟練のBIMオペレーターに依存していたボリュームスタディ・概念設計業務をAIネイティブの軽量BIMとして実現し、効率化を支援する。

AI自動プランニングによるフロアプラン自動生成のイメージ(ビジネスホテルの例)。
左:建物ボリューム(外形のみ)・右:生成AIがゾーニングを踏まえて自動提案したフロアプラン。客室・ロビー・レストラン・バックヤードなど建物用途に応じた最適な間取りをAIが数分で生成。
ChatBIM「ACIMUS」の新機能「AI自動プランニング」の操作デモ。チャットで建物用途と条件を指示するだけで、生成AIがフロアプラン(間取り)を数分で自動提案。ホテル・マンション・オフィスなど多用途に対応。

Webブラウザのみで動作+設計者は勿論のこと企画・営業担当までBIMモデルを作成・活用

ChatBIM「ACIMUS(アキムス)」は、生成AIとの対話によってBIMモデルを作成できるクラウドサービスとなっている。企画・基本設計に特化した独自のアプローチ「LiteBIM」によってAIネイティブな軽量BIMを実現している。

Webブラウザのみで動作し、インストールも不要で、設計者は勿論のこと、企画担当や営業担当までBIMモデルを作成・活用できる環境を実現する。具体的には、次の3つコンセプトを統合した新しいBIMツールとなっている。

◇AIネイティブ

AIを後付けで搭載するのではなく、設計の根幹から生成AI(LLM)を前提に構築。自然言語での指示がそのまま設計行為になる。

◇LiteBIM

既存の高機能BIMソフトをリプレイスするのではなく、棲み分けとしてその前工程(企画・概念設計・基本設計)を担う。LOD100〜300のモデルを手軽に作成し、IFCで既存BIMへ連携する。

◇ChatBIM

チャット(対話)形式でBIMモデルを作成する操作体系を有する。専門的なBIM操作を覚えることなく、日本語で指示するだけでモデリングが可能となっている。

◇料金プラン

ACIMUS 標準ライセンス : 月額 12,000円(税抜)/ 1ライセンス(1ユーザー)

・「パース生成プラス」などの拡張機能に関しては問い合わせること。

・新機能「AI自動プランニング」は拡張機能として提供。

◇問い合わせ先

オンライン説明会申込フォーム

「ACIMUS」のオンライン説明会にご関心をお寄せいただき、ありがとうございます。 オンライン説明会のお申し込みは、下記のフォ… 続きを読む

高機能ソフトの習熟と手間が不可欠となっている「BIM普及の壁」を突破するために開発

建設業界では「BIMデータの活用」が推進される一方、その前段階である「BIMモデルの作成」には、高機能ソフトの習熟と手間が不可欠となっている。それらの課題が「BIM普及の壁」となり、多くの企業がBIMを導入しても活用しきれないケースも少なくない。 

更に、2024年から建設業にも時間外労働の上限規制が適用され、限られた人員での生産性向上が求められている。合わせて、2026年4月には、「BIM図面審査」が開始され、BIMデータを用いた確認申請が本格化する。

これらの課題を解決し、ユーザーの負荷を減らすため、ACIMUSでは既存の高機能BIMと棲み分けし、前工程(企画・概念設計・基本設計)に特化した軽量BIMという選択肢を提案している。

ここでいう軽量BIM(ACIMUS)とは、企画・概念設計・基本設計に特化し、直感的な操作性を持つシンプルなBIMのこと。高機能BIM(既存BIM)とは、詳細設計・施工に特化し、専門家向けの多機能なBIMを指している。これら二つのBIMを共存させることによってBIMの裾野・普及拡大に貢献できればと考えている。

軽量BIMと高機能BIMの棲み分け。軽量BIMは企画・概念設計・基本設計に特化し、IFCで高機能BIMと既存BIMソフトとの連携を可能にしている。

ゾーニング+プランニングへと進めるプロセスをAI自動プランニングで一気通貫で自動提案

新機能「AI自動プランニング」について検証する。

通常の設計フローでは、「ゾーニング(エリア区分け)」→「プランニング(部屋配置)」と段階的に進めるが、本機能ではこれらを生成AIが一気通貫で自動提案する。

当該機能では、ユーザーが指定した建物ボリューム(外形)に対して、例えば「ビジネスホテルの1階としてロビーやエレベーターホールなどを含めてプランニング」「分譲マンションで3LDKを6〜8戸くらいでプランニング」などのユーザーによるチャットでの自然言語の指示だけで、生成AIがゾーニングを踏まえたフロアプラン(空間レイアウト)を自動生成する。戸建住宅、マンション、ホテル、オフィスビルなど多様な建物用途に対応可能だ。

提案されたフロアプラン(間取り)は、マウス操作で直感的に修正可能だ。確定した空間構成に対して「建築要素を設置」などと指示をすれば、チャットAIが各空間(部屋)位置を把握し、柱・壁・床・天井のBIMオブジェクトを一括して自動配置する。

作成したモデルは、BIMの国際標準規格IFC形式(2×3/4/4.3)でエクスポート可能となっている。Autodeskの「Revit」やGraphisoftの「Archicad」などの既存BIMソフトへ属性情報を保持したままデータを引き継げる。

軽量BIMと高機能BIMの棲み分けの概要。軽量BIMは、企画・概念設計・基本設計に特化し、IFCで高機能BIM(既存BIMソフト)との連携を可能にしている。

設計ルールや標準仕様を登録することでカスタマイズされたプランニングの提案が可能

「AI自動プランニング」の今後の展望については、各社の設計ルールや標準仕様を登録することによって自社向けにカスタマイズされたプランニング提案を可能にする機能拡張を検討している。

将来の拡張イメージとしては、自社の設計ルールや標準仕様を反映したプラン提案、過去プロジェクトから類似条件を参考にしたプラン提案そして企画書・要求仕様書(諸室リスト等)のインポートによるプラン提案を想定している。

これによって企業ごとに異なる設計思想や標準仕様を継承し、属人化しがちなノウハウを組織的に活用できる環境を目指している。

ハイスペックPC不要+企画・構想から基本設計までに最適+他のBIMソフトの連携可能

代表的な質疑応答をみてみよう。

既存BIMソフトの操作経験や高額なハイスペックPCは必要なのかについては、必要ない。ACIMUSは、ブラウザ上で動作するためインターネット環境があれば一般的なPCで利用可能だ。直感的なUIとAIとの対話で操作できるため専門的で複雑な操作の習得も不要。

どのような用途に向いているかに対しては、企画・構想段階から基本設計までのフェーズでの活用を推奨している。LOD100〜300程度のBIMモデルを作成し、複数案の検討や作成した3次元モデルからの瞬時のパース生成、既存図面のBIMモデル化などに活用できるとしている。

作成したデータは他のソフトで使えるのかについては、可能であり、BIMモデルとして「IFCファイル」、CAD図面(平面・断面)として「DXFファイル」のエクスポートに対応している。これによってACIMUSで作成したモデルを他のBIMソフトやCADソフトで読み込み、詳細設計に移行できるとしている。