【2026年最新】建設物価指数とは?|推移・上昇率・建築費指数との違いと国交省データの見方を解説

掲載日:
Category:コラム建築

著者:上野 海

見積もりや契約の場面で「工事費はどれくらい上がっているのか」と聞かれ、根拠となる数字に迷うことはないでしょうか。その際に、資材価格や労務費の変動を客観的に確認するための指標となるのが「建設物価指数」です。

ただし、似た名前の指数が複数あり、どれを見ればよいのかわかりにくい面もあります。

そこでこの記事では、2026年の最新データをもとに、指数の違いや読み方、実務での使い方を解説します。

建設物価指数とは?基本の仕組みと役割

建設物価指数とは、建設工事に必要な「資材価格」「労務費」などの変動を数値化した指標です。

一般的には、建設物価調査会が公表する建築費指数や建設資材物価指数などの総称として使われています。基準時点を100として比べるため、指数が150なら基準時点から約1.5倍の水準と読み取れます。金額そのものではなく、価格がどれだけ変動したかを見る指標です。

建設物価指数は建築費指数・建設資材物価指数・土木工事費指数に分かれる

建設物価調査会の主な指数は、対象とする費用によって次の3種類に分かれます。

指数対象向いている用途
建築費指数建物の工事価格建物用途・構造別の比較
建設資材物価指数工事で直接使う資材資材価格の動向確認
土木工事費指数土木工事の費用土木工事のコスト確認

建設資材物価指数は、電気代やガス代などの燃料、機械賃貸などのサービス料金を含みません。一方、建築費指数は工事費、資材価格、労務費などを再構成して作成されています。資材価格の変動と、工事費全体への影響は分けて確認しましょう。

建設工事費デフレーターとの違い

建設工事費デフレーターは、国土交通省が作成する公的な指数です。名目工事費を基準年度の実質額に換算するために使われます。マクロな動向の把握に向いているほか、PFIなどの請負代金変更や、建築物の評価額算定にも活用されています。

対して、建設物価調査会の指数は、建物用途や資材分類ごとの動きを確認しやすい点が特徴です。

なお、建設工事費デフレーターは2026年4月分から2020年度基準に改定されました。旧2015年度基準の数値とは基準が異なるため、そのまま比較しないよう注意が必要です。

(出典:国土交通省「建設工事費デフレーター」/「建設工事費デフレーターを利用するにあたっての参考情報」)

建設物価とは?積算資料との違いや単価を用いた計算例、2025年最新の物価指数を解説

建設工事の積算、概算工事費の算出に欠かせないのが建設物価と呼ばれる資料です。しかし、具体的にどのような用途で使えるのか、また金額計算のどのよ… more

ビルドアップニュース

建設物価指数の調査主体と情報源(国土交通省や建設物価調査会)

建設コストに関する主な指数は、公表機関によって役割が異なります。

公表機関主な指数公表の目安
建設物価調査会建築費指数翌月10日前後
建設物価調査会建設資材物価指数翌月の月初
建設物価調査会土木工事費指数翌月10日前後
国土交通省建設工事費デフレーター約2か月後の月末

「国交省の建設物価指数」を探している場合は、建設工事費デフレーターを確認するとよいでしょう。国土交通省と建設物価調査会では算出方法や基準が異なるため、用途に合わせて使い分けることが大切です。

出典:建設物価調査会公式サイト / 建設工事費デフレーター(国土交通省)

建設物価指数の推移(最新データと長期比較)

建設物価指数は年ごとの資材価格や労務費の変動を反映しているため、短期的な動向と長期的なトレンドを両方確認することが重要です。

ここでは、2026年11月時点で確認できるデータをもとに、建物別・資材別の動きを整理します。

2026年最新の建築費指数の月報(速報値)

建設物価調査会が公表した2026年9月の建築費指数では、4つの代表建物すべてが前月から上昇しました。

建物種類構造2024年9月2025年9月2026年9月前月比
集合住宅RC造133.9140.6147.7+0.7%
事務所S造134.6138.6147.3+1.2%
工場S造134.1137.2146.1+1.4%
住宅木造139.5143.9153.4+0.5%

※東京、工事原価、2015年平均=100。各月の数値は公表時の暫定値です。

2026年9月は、いずれの建物も2015年と比べて約5割高い水準です。前年同月からの上昇率も約5〜7%に達しています。特に目立つのは、S造の事務所と工場です。前月比の上昇幅が1%を超えており、用途によって動きに差が出ています。

このように、全体の傾向だけでなく、自社が扱う建物に近い指数を確認することが重要です。

(出典:建設物価調査会「建築費指数」)

2026年最新の建設資材物価指数の月報(速報値)

建設資材物価指数は、2026年に入っても上昇が続いています。全部門を比較できる2026年8月分の東京の指数は次のとおりです。

部門指数前月比前年同月比
建設総合152.1+0.7%+6.2%
建築部門150.2+0.7%+5.8%
建築補修147.1+0.6%+5.2%
土木部門158.6+1.0%+7.4%

※東京、2015年平均=100

土木部門は前年同月比で7%を超え、建築部門や建築補修より高い伸びとなりました。

さらに、建設総合は9月に前月比0.5%、10月に前月比1.1%上昇しています。上昇は23カ月連続となり、資材価格の上昇圧力が続いていることが分かります。

(出典:建設物価調査会「建設資材物価指数」)

建設資材物価指数の長期推移

短期の動きだけでは、現在の価格水準が高いのかどうかを判断できません。建設総合の推移を年単位で見ると、上昇の大きさがわかります。

時点指数前年比
2021年平均110.3+6.0%
2022年平均124.7+13.1%
2023年平均132.8+6.5%
2024年平均137.6+3.6%
2026年8月152.1+6.2%

※東京、2015年平均=100。2026年8月の前年比は前年同月比です。

2022年に大きく上昇したあと、伸び率は2024年に落ち着きました。しかし、2026年は再び上昇率が高まっています。指数が下がらないまま上昇が重なっているため、数年前の単価を流用すると、実際の工事費と差が出やすくなります。

建設物価指数が上昇している要因

建設物価指数の上昇は、一時的な資材高だけが原因ではありません。主な要因を3つに分けて見ていきましょう。

中東情勢による石油系資材の高騰

2026年は、ホルムズ海峡の海上輸送リスクや原油価格の上昇が、建設資材にも影響しました。塗料用シンナー、防水材、断熱材など、石油系原料への依存度が高い資材で、価格上昇や供給不安が表面化しています。

建設物価調査会の調査では、主な資材の需給ひっ迫は改善に向かっています。ただし、需給が緩和しても、上昇した価格がすぐに戻るとは限りません。

金属製品や電気設備の値上がり

建築費指数では、資材単体だけでなく設備工事の動きも影響します。2026年は電線・ケーブル、アルミサッシ、空調機器、照明器具なども、指数を押し上げる要因になりました。

設備比率の高い建物では、躯体材料だけを見ても工事費の変化を説明しにくい点に注意しましょう。

労務費の上昇

建設業では、労務費の上昇もコストを押し上げています。2026年3月から適用された公共工事設計労務単価は、全国全職種の加重平均で25,834円となりました。

資材価格が落ち着いても労務費の上昇が続けば、工事費全体は下がりにくくなります。そのため、資材価格の動きだけでなく、労務費を含む工事費全体を確認する必要があります。

建設物価指数の調べ方

最新の指数は、公表機関のWebサイトで確認できます。目的に合わせて、次の順番で探すと効率的です。

  1. 建築費指数のページを開く
  2. 建設資材物価指数を確認する
  3. 指数グラフで推移を見る
  4. デフレーターと比べる

建設物価調査会の指数グラフでは、都市や建物種類、指数の種類を選び、推移をグラフで確認できます。ただし、グラフ上で指数値を読み取れない場合もあるため、正確な数値は公表資料で確認しましょう。

また、2025年12月以降については、単位施工単価を考慮した建築費指数も参考指数として公表されています。現行の指数とは動きが異なるため、比較する際は系列を混同しないことが大切です。

建設物価指数の実務での使い方

建設物価指数は単なる統計データではなく、実際の現場や経営判断に直結する指標です。積算や契約調整、資金計画など、次のようにさまざまなシーンで活用されています。

  • 積算や見積もりの基準として
  • 契約・価格調整の交渉材料に
  • 資金調達や事業計画の判断材料に

例として、建設会社や設計事務所は、建設物価指数を見積書や積算根拠の裏付けとして利用します。また、資材価格が大きく変動する局面では、建設物価指数が発注者と施工者の交渉材料となります。

加えて、金融機関やデベロッパーも、建設物価指数を投資判断や融資審査の参考指標としています。

建設物価指数についてよくある質問【FAQ】

建物物価指数とは何ですか?

建物物価指数は、建築物を完成形の「建物単位」で捉え、工事費の変動を示す指数です。建設資材の価格や労務費を組み合わせ、集合住宅・事務所・工場・住宅など用途ごとに算出されます。公共工事の積算や、民間建築におけるコスト比較の基準としても用いられ、建築計画の妥当性を判断する指標になります。

建設資材物価指数の2025年最新情報は?

2025年8月に公表された建設資材物価指数(2015年=100、東京)は総合で143.2、前年同月比+3.2%と高止まりの傾向が続いています。建築部門は141.9(+2.6%)、土木部門は147.7(+4.3%)、建築補修は139.8(+3.5%)と分野別に差が見られます。

木造・RC造・S造の住宅の建設物価指数は?

2025年8月の建築費指数によると、東京では木造住宅が143.2で高水準を維持し、鉄筋コンクリート造(RC造)の集合住宅は139.2と前月比+0.1%の小幅上昇でした。一方、鉄骨造(S造)の事務所は137.8で横ばい、工場は136.4でわずかに下落しました。

まとめ

建設物価指数は、資材価格や労務費の変動を客観的に把握するための指標です。建築費指数は建物全体、建設資材物価指数は資材価格の確認に向いています。

2026年は、建築費指数が2015年比で約5割高い水準にあり、資材価格も上昇が続いています。過去の単価をそのまま使わず、最新の指数で補正しながら、積算や契約、資金計画に活用しましょう。