建設業の2024年度半期振り返り!働き方改革や最新技術の事例紹介

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本記事では、2024年上半期の建設業ニュースについてピックアップします。長らく「2024年問題」として懸念されてきた「働き方改革関連法」がいよいよスタートし、大きな変革期にあります。主なニュースを振り返ることで、さらなる変化に備えましょう。

1.建設業2024年問題|働き方改革は実現する?

2024年4月に、建設業でも働き方改革がスタートしました。これにより「時間外労働の上限規制」や「年5日の有給休暇取得が必須」になるなど、労働環境改善の動きが強まることが期待されています。建設業の働き方改革について詳しくは、下記記事をご覧ください。

この流れの中で「週休2日が義務化される?」といった疑問も多く聞かれるようになりました。しかし実際には、建設業での週休2日は義務化されている訳ではありません。今回変更となったのは「時間外労働の上限」です。

具体的には、残業の上限が「月45時間・年360時間」に定められました。特別な事情がある場合でも、「年720時間・単月100時間未満・複数月平均80時間」が限度となります。

時間外労働に対応するために、建設業各社は工夫を凝らしています。具体的にはデジタルツールの導入で効率化を図ることで、業務時間を短縮している事例が多いです。詳しくは、下記記事をご覧ください。

そして建設業の労働環境を改善するため、2024年3月に政府は建設業界に対して「5%を上回る賃上げ」の協力を求めました。あくまでも協力要請ではありますが、これにより業界全体として賃上げが進むことが期待されます。

2.法改正|本足場の義務化

2024年4月に、建設現場での本足場での使用が義務化されました。原則として建築物外面からの幅が1m以上確保できる箇所が対象とされますが、1m未満でも可能な限り本足場を使用することが推奨されています。

幅1m未満でも設置できるタイプの足場も多く流通しており、活用を促すことでより多くの現場での安全対策を強化するのが狙いです。建設業では高所作業での転落事故が多く発生していますが、本足場にすることで事故の減少が期待されています。

またVRAIといった最新技術を使ったシミュレーションツールについても、活用が広がっています。「人間は誰でもミスをするもの」という前提に立ち、システム面から事故防止に繋げる対策を講じることが重要です。

3.ドローン活用|能登半島地震でも活躍

2024年1月1日には、能登半島地震が発生しました。被災者の中には年始休暇で帰省されていた方も多く、未だに復興が遅れている地域もあります。

そんな中で、災害対応をサポートするドローンの活躍が話題になりました。ドローンとは、遠隔操作や自動操縦で動作する小型無人航空機のことを指します。

災害対応だけでなく様々な目的に使用されており、航空写真、観測、調査、農業、建設などの分野で活躍しています。今回の地震では、下記のような目的で使用されました。

  • 空撮による状況把握
  • 被災者の捜索・救助
  • 物資輸送・物流確保

ドローンは有人飛行機よりコストが安く、迅速に出動できます。そのため特に人手不足が課題となっている過疎地域では、大きな役割が期待されているのです。

4.ライドシェア開始|建設業にも広がるか

2024年4月に、「ライドシェア」が部分的に解禁されました。海外では「Uber(ウーバー)」といったサービスが普及しており、一般ドライバーによる配車が広く使われています。

日本ではタクシー業界の反発もあり中々進んでいませんでしたが、地域や時間帯を絞る形で部分的に導入がスタートしました。今後全面解禁となれば、過疎地域や観光客の多い地域へのメリットが期待されています。

建設業でも、Uberに着想を得た残土処分マッチングサービス「DANPOO(ダンプー)」が誕生しています。余っている建機をAIで配車することで、建設業全体の効率化が期待されます。

4.DXからSXへ|持続可能性の追求

SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)という言葉は、2020年に経産省が開催した「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会」で初めて登場しました。

具体的には、企業が持続可能性・資本効率性を意識した変革を行うことを指します。持続的に成長原資を生み出して企業価値を高めるべく、社会のサステナビリティ課題に由来する中長期的なリスクを踏まえた活動を行うのが特徴です。あくまでも企業価値創造が前提のため、いわゆる社会貢献活動とは異なります。

そして経済産業省では、2024年4月に初めて「SX銘柄2024」を選定しました。これは、持続的に成長原資を生み出す力を高めて企業価値向上を実現している企業を公表する取り組みです。

SX銘柄2024には、残念ながら建設関連の企業は含まれていませんでした。しかし大手ゼネコンを筆頭にサステナビリティを意識した経営戦略が実行されており、今後の発展が期待されます。

まとめ

2024年は能登半島地震からスタートし、被害の大きさに心を痛められた方も多いでしょう。復興作業ではドローン等の最新技術も活用され、デジタルツールの重要性が改めて認識されました。

また本足場の義務化や2024年問題といった法改正が行われたことにより、さらなる業務効率化が求められています。SXを実現するためにはDXとの連携が不可欠であり、BIM等の広がりが期待されます。