2023年BIMを「社会実装」へ|令和5年度国土交通省予算から建設DX動向をチェック

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著者:小日向

トレンドワード:令和5年度国土交通省予算

「令和5年度国土交通省予算」についてピックアップします。その中でも建設DXBIM関連の予算に注目し、ご紹介していきます。予算の概要から、2023年の建設業動向をチェックしておきましょう。

国土交通省予算とは?

本記事では、「令和5年度国土交通省予算概算要求概要」から建設DX関連の内容をご紹介していきます。「概算要求」とは、国土交通省が行う翌年度の予算要求のことを指します。都市局、道路局、住宅局…などの各部局ごとにかかる経費をまとめ、毎年財務省宛てに提出しているものです。

国土交通省予算の推移

令和5年度(2023年)の予算概算要求額は「6兆9,280億円」と、昨年度の1.18倍となっています。その他の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」や、資材価格の高騰等を踏まえた公共事業等の経費については、別途事項要求を行い予算編成過程で検討することとしています。

令和5年度国土交通省予算の基本方針・概要

令和5年度国土交通省予算は、下記3つのポイントを柱に組まれています。

  • 災害に屈しない強靱な国土づくり
  • ②グリーン、デジタル等への重点投資、生産性向上や国際競争力強化
  • ③東京一極集中型から脱した分散型国づくり

「国民の安全・安心の確保」、「経済社会活動の確実な回復と経済好循環の加速・拡大」、「豊かで活力ある地方創りと分散型国づくり」といった項目に重点が置かれています。

また2025年カーボンニュートラルの実現に向けたグリーントランスフォーメーション(GX)、イノベーション創出や新規創業等に資する「DXへの投資の加速」など、新時代の課題に適切に対応するための予算が設置されているのも特徴です。

建設DX・BIM関連の予算をピックアップ

ここでは、令和5年度国土交通省予算の中から「建設DX・BIM関連」の項目を取り上げてご紹介します。

①まちづくりのDX|3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化の推進(都市局)

都市局ではデジタル田園都市国家構想実現のため、3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化やスマートシティの社会実装など、まちづくりのDXを総合的に推進しています。

まちづくりDXの社会実装を推進するため、デジタル・インフラである3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化プロジェクト(PLATEAU/プラトー)を更に進めるとしています。これにより「まちづくりのデジタル・トランスフォーメーション実現ビジョン」に基づく、機動的で柔軟な都市の実現を目指します。

建築BIMや不動産ID等とも連携して「建築・都市のDX」を推進し、国によるデータ整備の効率化・高度化のための技術開発や先進的な技術を活用したユースケースの開発等に取り組むとともに、地域のオープン・イノベーションの創出等を推進します。

予算概算要求額内訳は、都市空間情報デジタル基盤構築調査(15.0億円)、都市空間情報デジタル基盤構築支援事業(15.0億円)です。

「PLATEAU/プラトー」については、下記記事をご覧ください。

G空間とは?位置情報オープンデータで安全な社会に|国交省主導「PLATEAU」解説も

目次トレンドワード:G空間G空間とはG空間のメリット地理空間情報活用推進基本計画の概要G空間情報をオープンデータ化!主なデータは2種類①3D… more

ビルドアップニュース

②住宅・建築分野のDX|建築BIM活用総合推進事業(住宅局)

建築BIMの社会実装が始まっているものの、まだまだ建築BIMによる建築確認が進んでおらず、設計のみ・施工のみ・大手企業のみの限定的な活用に留まっているのが課題です。そのため住宅局では以下4つをキーポイントとし、建築BIMの社会実装を推進し基盤を整備することが必要としています。

  • ①建築BIMによる建築確認の審査環境を整備すること
  • ②設計・施工・維持管理間を横断してデータを連携するための入力ルール・データ連携環境を整備すること
  • ③建築BIMの価値が最大限発揮される、維持管理・運用段階への利用を促進すること
  • ④初期投資がネックとなり建築BIMの導入が進んでいない中小事業者等での活用を促進すること

建築分野の生産性の向上を図るため、PLATEAUや不動産IDと連携しつつ、建築BIMの社会実装を推進するための基盤を整備する取組に対して支援が行われる予定となっています。予算概算要求額は「3.5億円」です。

BIMの社会実装化が加速

令和5年度国土交通省予算では、BIMなどを用いた新時代の課題に適切に対応するための予算が設置されています。住宅局では「建築BIMの導入が進んでいない中小事業者等での活用を促進する」と定めており、2023年度は普及加速に向けた新たな支援が期待されます。