【2026年版】建築基準法第22条区域とは?|屋根・外壁の制限や調べ方をわかりやすく解説

建築物を建てる際、防火地域・準防火地域以外でも、屋根などに一定の防火性能が求められる地域があります。そのひとつが「建築基準法第22条区域(法22条区域)」です。
法22条区域では、周囲で発生した火災の火の粉によって建築物に火災が発生することを防ぐため、屋根に一定の性能が求められます。また、木造建築物等では、延焼のおそれのある部分の外壁についても建築基準法第23条による制限を受けます。
この記事では、建築基準法第22条区域の意味や屋根・外壁の制限、防火地域・準防火地域との違い、区域の調べ方、増築やカーポートを設置する際の注意点までわかりやすく解説します。
建築基準法第22条区域とは?屋根に一定の防火性能が求められる地域
建築基準法第22条区域(以下「22条区域」)とは、防火地域・準防火地域以外の市街地について、特定行政庁が指定する区域です。
(出典:e-Gov法令検索「建築基準法|第二十二条(屋根)」)
22条区域は、周囲の建築物などから飛んできた火の粉によって屋根から火災が発生することを防ぎ、市街地における延焼リスクを抑えることを目的としています。
防火地域・準防火地域とは適用される規制が異なり、22条区域では主に屋根が規制対象です。さらに、木造建築物等では建築基準法第23条により、延焼のおそれのある部分の外壁にも一定の防火性能が求められます。
また、建築基準法自体の概要を知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください▼
建築基準法第22条区域の指定内容と制限【屋根と外壁に関する制限】
建築基準法第22条区域は、屋根に関する構造制限が設けられています。
また、区域内にある木造建築物等については、建築基準法第23条により「延焼のおそれのある部分」の外壁にも準防火性能が求められます。
ここでは、屋根と外壁それぞれに関する構造基準をわかりやすく解説します。
屋根の制限(一定の防火性能が必要)
法22条区域内の建築物では、通常の火災による火の粉によって建築物に火災が発生しないよう、屋根を所定の技術的基準に適合させる必要があります。以下に不燃材の例をまとめました。
| 材料種別 | 例 | 特徴 |
| コンクリート系 | スレート瓦・コンクリート瓦 | 耐火・耐久性に優れる |
| 金属系 | ガルバリウム鋼板・銅板 | 軽量で加工しやすい |
| 瓦系 | 陶器瓦 | 伝統的だが高い耐火性能 |
※実際に使用できるかは屋根材だけでなく、下地を含む屋根構造や製品の認定内容などによって異なります。使用する製品の仕様書や認定番号等を確認してください。
たとえば、法22条区域に指定された地域は、建物が密集しているケースが多いため、火災時に屋根が燃えると火の粉が飛散し、隣家への延焼を招くおそれがあります。
そのため建築基準法第22条では、屋根について、通常の火災による火の粉によって火災が発生しないよう、国土交通大臣が定める構造方法または認定を受けた構造とすることが求められています。
ただし、法22条には一部の小規模な建築物について例外があります。
茶室・あずまやなどこれらに類する建築物や、延べ面積10㎡以内の物置・納屋などについては、屋根の「延焼のおそれのある部分以外の部分」に限り、法22条1項の屋根の基準が適用されません。
そのため、「10㎡以下の物置なら22条区域でもすべての屋根規制が適用されない」という意味ではない点に注意が必要です。また、建築確認が必要かどうかについては法22条とは別の規定で判断します。
外壁の制限(建築基準法第23条との関係)
22条区域内にある木造建築物等では、建築基準法第23条により、外壁のうち「延焼のおそれのある部分」を準防火性能を有する構造とする必要があります。
| 対象となる部分 | 延焼のおそれのある部分の範囲 |
| 1階部分 | 隣地境界線・道路中心線などから3m以下 |
| 2階以上の部分 | 隣地境界線・道路中心線などから5m以下 |
| 同一敷地内に2棟以上ある場合 | 建築物相互の外壁間の中心線から、1階は3m以下・2階以上は5m以下 |
※防火上有効な公園・広場・水面などに面する部分などは、「延焼のおそれのある部分」に含まれない場合があります。
参考として、建築基準法第23条は、法22条区域内にある木造建築物等について、「延焼のおそれのある部分」の外壁に準防火性能を求める規定です。そのため、木造住宅などでは、法22条による屋根の制限と、法23条による外壁の制限の両方を確認する必要があります。
(出典:e-Gov法令検索「建築基準法|第二十三条(外壁)」)
なお、延焼のおそれのある部分に設けられる準防火構造は、20分間の火熱を遮り、延焼を防ぐ性能(いわゆる、20分遮熱)をもつ以下の構造が求められます。
| 構造種別の代表例 | 材料例 | 防火性能 |
| モルタル下地サイディング | ラスモル+防火ボード | 準防火構造 |
| 土塗壁 | 土+竹小舞+漆喰仕上げ | 延焼防止性能あり |
| ALC(軽量気泡コンクリート) | パワーボード等 | 高遮熱性・耐久性 |
| 金属サイディング+ロックウール | 軽量・断熱性良好 | 準防火対応多数 |
以上より、法22条区域は「屋根の不燃化」が中心ですが、外壁も条件によっては制限を受けるため、建築確認申請の際には必ず区域図と建築士の確認をセットで行うことが重要です。
法第22条・第23条が適用される場合は関連する防火規定もチェック
法22条や第23条が適用される建築物では、関連する防火規定も確認することが大切です。
| 条文 | 主な内容 | 適用対象 | 主な制限・義務 |
| 第24条 | 22条区域の内外にまたがる建築物の扱い | 建築物が22条区域の内外にまたがる場合 | 建築物全体に22条区域内の建築物に関する規定を適用 |
| 第25条 | 大規模な木造建築物等の外壁・屋根 | 延べ面積1,000㎡超の木造建築物等 | 延焼のおそれのある外壁・軒裏を防火構造とし、屋根を22条1項に適合させる |
| 第26条 | 防火壁・防火床による区画 | 延べ面積1,000㎡超の建築物 | 原則として防火壁・防火床で区画し、各区画を1,000㎡以内とする |
| 第27条 | 特殊建築物に関する防火上の構造制限 | 劇場・病院・学校・共同住宅・倉庫など一定の特殊建築物 | 用途・規模などに応じて、耐火建築物等とするなどの基準が適用される |
同一敷地で区域をまたぐ場合(第24条)や、大規模・特殊用途(第25〜27条)の建物は、さらに厳しい防火基準が適用されます。建物の位置や条件によって、対策内容や求められる性能が変化するため、見逃しがないように気を付けてください。
法22条区域・準防火地域・防火地域の違い早見表
建築基準法では、防火地域・準防火地域や第22条区域など、地域や建築物の条件に応じて防火に関する規制が設けられています。
| 区域名 | 主な制限内容 | 指定目的 | 建築コスト | 調査手段・確認先 |
| 防火地域 | 壁・柱・屋根すべてを耐火構造に | 中心市街地の延焼防止 | 高 | 都市計画図/建築指導課 |
| 準防火地域 | 屋根・外壁とも準耐火構造に | 周辺住宅地の延焼拡大防止 | 中 | 都市計画図/建築指導課 |
| 法22条区域 | 屋根の不燃化義務 | 木造住宅地の屋根火災対策 | 低 | 自治体HP/都市計画課 |
また、あくまで傾向ですが、各区域・地域は次のように選ばれる場合があります。
- 住宅地の屋根制限 → 第22条区域
- 駅前や繁華街 → 準防火地域
- 中心市街地・ターミナル周辺 → 防火地域
また、準防火地域に関する基礎知識や条文の内容、制限を知りたい方は、以下の記事がおすすめです▼
建築基準法第22条区域のメリット・デメリット(建築費・デザイン・防火性)
建築基準法第22条区域では、建築物の屋根に火の粉による火災の発生を防ぐための性能が求められます。
防火地域・準防火地域とは規制内容が異なり、木造住宅を建てることも可能ですが、屋根や外壁の仕様を選ぶ際には法22条・23条への適合を確認する必要があります。
| 観点 | メリット | デメリット |
| 建築コスト | 安価(準防火地域より低コスト) | 法22条に適合する仕様によっては初期費用が増える |
| デザイン自由度 | 木造・自由設計が可能 | 採用できる屋根材・構法に制約が生じる場合がある |
| 防火性能 | 周囲から飛んでくる火の粉による火災リスクを抑えられる | 外壁などは別途条件を確認する必要がある |
| 申請手続き | 比較的簡易 | 不燃材証明が必要 |
ここでは、法22条区域に建てる際の主なメリットとデメリットを比較しながら詳しく見ていきましょう。
メリット(コスト・設計自由度・保険面)
法22条区域の最大のメリットは、「防火性能を確保しつつ、建築コストを抑えられる」点にあります。
| 主なメリット | 内容 |
| 建築費が抑えられる | 防火地域のような耐火構造不要 |
| 木造住宅も建築可能 | 防火地域などと比べて構造上の制約が限定的 |
| 建築確認が比較的スムーズ | 準防火地域より申請項目が少ない |
| 外観デザインの選択幅が広い | 不燃瓦・金属屋根など素材多様 |
法22条では主に屋根に防火性能が求められ、防火地域・準防火地域とは規制内容が異なります。ただし、木造建築物等では法23条による外壁の制限も確認する必要があります。
デメリット(素材コスト・デザイン制約・申請面)
一方で、法22条区域には「不燃材コストやデザイン制約」といったデメリットも存在します。
| デメリット | 内容 |
| 屋根材のコスト増 | 不燃材(瓦・金属)に限定 |
| デザイン・材料選びへの影響 | 採用したい屋根材や構法が法22条に適合するか確認が必要 |
| 熱伝導の影響 | 金属屋根は夏季の温度上昇が大きい |
| 建築確認項目が増える | 使用材料・性能証明が必要 |
| メンテナンス費が変動 | 塗装・防錆対応が必要な素材も |
たとえば、屋根を法22条で求められる性能に適合させる必要があるため、採用する屋根材や構法によっては、区域外と比べて素材費や施工費が増える場合があります。
また、外観の自由度が完全ではなく、木質屋根や自然素材を多用したデザインが制限されるケースもあります。
建築基準法第22条区域の調べ方【自治体サイト・都市計画図・Google検索で確認】
建築基準法第22条区域は、特定行政庁によって指定されている区域です。
ここでは、最も確実で簡単な3つの確認方法を紹介します。
| 方法 | 信頼性 | 難易度 | スマホ対応 | コメント |
| 自治体都市計画図 | ★★★★★ | 中 | ◯ | 公式資料であるため最も正確 |
| 重説・契約書 | ★★★★☆ | 低 | ◯ | 既存物件向けであり契約時に確認可能 |
| Google検索 | ★★★☆☆ | 低 | ◎ | 目安レベル。自治体で要確認 |
【調べ方1】自治体ホームページから都市計画図を見る
最も確実な方法は、対象の自治体が公開している「都市計画図」や「建築基準法による制限図」を確認することです。以下に調べ方の手順をまとめました。
- Googleで「〇〇市 都市計画図」と検索
- 「建築基準法による制限」や「防火地域・準防火地域・法22条区域」を選択
- 住所または地番を検索して該当エリアをクリック
- 画面上に「法第22条区域」などの文字が表示されれば該当
ほとんどの自治体では、次のようなページから無料で確認できます。なかにはスマホで確認できる自治体ホームページもあります。
【調べ方2】重説・不動産契約書で確認する
建物や土地を購入済みの方は、不動産の重要事項説明書や売買契約書にも記載があります。
宅地建物取引士が交付する書類には、次のような項目が含まれていることが一般的です。
| 書類名 | 記載箇所 | 確認できる内容 |
| 重要事項説明書 | 「法令上の制限」欄 | 法22条区域・準防火地域などの指定有無 |
| 売買契約書 | 「土地の権利・用途地域」欄 | 建ぺい率・容積率・防火地域など |
なお、公図や登記事項証明書は土地の地番などを確認する資料として利用できますが、それだけで22条区域かどうかを判断することはできません。区域指定については、自治体が公開する都市計画情報・建築基準法関連の指定図などで確認しましょう。
【調べ方3】Google検索+地図ツールを活用(簡易確認)
自治体サイトが見づらい場合、Google検索+地図情報の併用も便利です。
たとえば、以下のようなキーワードでWeb検索をすれば概略での確認が可能です。
- 「〇〇市 法22条区域 map」
- 「〇〇市 防火地域 準防火地域 図」
- 「〇〇市 建築基準法22条」
Google検索は、自治体の公式情報を探す入口として利用すると便利です。ただし、検索結果や民間の地図情報だけで判断せず、最終的には自治体が公開する指定図や建築指導担当部署などで確認しましょう。
建ぺい率・増築・カーポートなど建築時の注意点
建築基準法第22条区域に指定されている土地では、屋根などの防火制限に加えて、建ぺい率・増築・外構(カーポート・物置など)の取り扱いにも注意が必要です。
ここでは、実務上トラブルが起きやすい「建ぺい率・容積率」「増築」「カーポート設置」の3つの注意点を解説します。
建ぺい率・容積率への影響
法22条区域の指定そのものによって、建ぺい率や容積率の数値が決まるわけではありません。建ぺい率・容積率は用途地域や都市計画など、別の規定を確認する必要があります。
土地を調査する際には、22条区域だけでなく、用途地域、建ぺい率、容積率、防火地域・準防火地域などをあわせて確認しましょう。
増築・リフォームでは2025年4月の法改正にも注意
2025年4月には建築基準法が改正され、木造戸建住宅などの建築確認手続きが見直されました。
従来「4号建築物」と呼ばれていた建築物の区分が見直され、木造2階建てや延べ面積200㎡を超える木造平屋建てなどは「新2号建築物」となり、建築確認の審査対象となる規定や提出図書の範囲が拡大しています。
そのため、22条区域内で増築や大規模なリフォームを行う場合も、「小規模だから確認申請は不要」と自己判断せず、工事内容に応じて建築士や自治体へ確認することが重要です。
(出典:国土交通省「木造建築物に関する改正項目」)
カーポート・サンルーム・物置を設置する場合
屋根に法22条で求められる防火性能を確保することが必要です。カーポート・サンルーム・物置なども、構造や規模によっては建築物として建築基準法の規定を受けます。
22条区域内に設置する場合は、使用する屋根材だけで判断するのではなく、屋根全体の構造が法22条で求められる性能を満たしているかを確認することが重要です。製品によって認定内容が異なるため、メーカーの仕様書や認定番号なども確認しましょう。
あわせて、カーポート建築に関する基礎知識や建ぺい率のルールを知りたい方は、以下の記事がおすすめです▼
建築基準法第22条区域についてよくある質問【FAQ】
建築基準法第22条区域とは何ですか?
建築基準法第22条区域とは、防火地域・準防火地域以外の市街地について特定行政庁が指定する区域です。区域内では、通常の火災による火の粉によって建築物に火災が発生することを防ぐため、屋根に一定の防火性能が求められます。e-Gov
建築基準法22条区域と23条区域の違いは何ですか?
建築基準法第22条は、指定区域内の建築物の「屋根」について、火の粉による火災を防ぐための性能を定めています。一方、第23条は、22条区域内にある木造建築物等の「延焼のおそれのある部分の外壁」について、準防火性能を求める規定です。
カーポートは建築基準法22条区域に設置できますか?
法22条区域でもカーポートを設置することは可能です。ただし、カーポートが建築物として扱われる場合は、屋根について法22条で求められる性能への適合を確認する必要があります。ポリカーボネートなど特定の材料であれば一律に使用できるとは限らないため、製品の認定や仕様をメーカー・施工会社などに確認しましょう。
建築基準法22条区域の調べ方は?
確実なのは、各自治体の「都市計画情報提供サービス」で地図を確認する方法です。「〇〇市 都市計画図 法22条区域」で検索すれば、自治体の公式サイトが表示されるため、該当エリアを地図上で確認可能です。なお、重説(重要事項説明書)や不動産契約書にも記載がある場合があります。
まとめ
建築基準法22条区域は、火災の延焼を防ぐため、屋根に一定の防火性能を求める地域指定です。
一見すると単純な制限に見えますが、実際には防火地域や準防火地域との重なり・屋根材の選定・増築やカーポート設置時の防火性能確認など、実務面で注意すべきポイントが多く存在します。
今後、法22条区域を調べる必要がある際には、ぜひ上記の情報を参考にしてみてください。