BIMソフトはどう選ぶ?【2024年最新版】おすすめ主要ソフトもご紹介

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著者:藤井章弘

毎月25日更新「BIMコンサルの視点で読み解く」は株式会社AMDlab(本社:兵庫県神戸市)のCEO 藤井 章弘氏による連載です。
今月はBIMソフトについてです。

藤井氏は、BIMをはじめとする建設テックに精通した一級建築士の資格を持つ建築構造デザイナー/構造家です。BIMエキスパートの藤井氏が選んだ注目記事を見て、建設DXの最前線のキャッチアップに役立ててみてください。

BIMソフト選定の新たな考察

BIMソフトはどう選ぶかということで、過去に一度記事(https://news.build-app.jp/article/1293/)を書かせていただきました。それから時間が経ち、BIMを取り巻く状況も変化している中で、改めて主要ソフトの動向を見つつ選び方を考えてみたいと思います。

ソフトやその選び方の基本的な部分は、以前書いた記事の内容とあまり変わりませんので、これからソフトを選ぶという方は、先ほどご紹介したリンクの記事を一度読んでから、こちらも合わせて読んでいただけると良いかと思います。

BIMソフトの選び方

BIMソフトも複数ありますが、それぞれに特徴があり、進化してきています。以下に挙げるBIMソフトであれば、どれも必要な機能は大抵有しており、一般的な業務はどれでも一通り行えます。便利になってきていますが、基本的な機能は以前と変わりませんので、BIMソフトの選び方自体も以前とそれほど変わりません。

しかし、BIM以外の技術の進歩等、以前よりも状況が変わっている部分も多数ありますので、今回は選び方の観点をいくつか追加で挙げてみます。

周りのユーザーで決める

以前よりもBIMが広まり、ユーザーが増えてきておりますので、初めて購入を検討している方は、自身の周りにどのソフトのユーザーが多いか、もしくは多くやり取りする方がどれを使っているかというのも選択する上で非常に重要です。教えてもらえる環境にあるかということもそうですし、機能云々の前に協働者からいただくデータがどのソフトのものかで使うソフトが決まってしまうケースも多いです。

最新技術への対応状況で決める

最新技術がどれくらい導入されているか、あるいは導入される予定か、その対応スピードも、BIMソフトを選択する際に確認すべき点かと思います。この辺りは、ソフトのリリース頻度やリリースで更新される項目数にも大抵リンクしており、どれだけ投資されているかが現れています。

あるBIMソフトを一度使い出すと、そのソフトに依存したデータやワークフローができたり、乗り換える際には高機能なソフトの操作をまた一から覚えることになったりと、実際、他のBIMソフトへの乗り換えがしにくくなります。そのため、今後長く使っていくソフトの将来性に注目するのも、ソフト選択の際には重要です。

主要BIMソフトの特徴

BIMソフトを選ぶ際に候補として外せないのが、以前と変わらずRevitとArchicadの2つのソフトです。上記の2点の観点を加えてもこの2つは最有力です。以下では他のBIMソフトも合わせてご紹介します。

Revit

世界でも日本でも最も使用されているのが、Autodesk社のRevitです。意匠・構造・設備などにも幅広く対応しており、Autodesk社の他の製品との連携がしやすいのが大きな強みです。ユーザーが多いというのも大きなメリットで、迷った場合は選んでおいて間違いないと思います。

最新バージョンであるRevit2024の新機能はこちらで確認できます。(https://help.autodesk.com/view/RVT/2024/JPN/?guid=GUID-C81929D7-02CB-4BF7-A637-9B98EC9EB38B)また、こちらの動画でもまとめて紹介されていますので、興味のある方は見てみてください。(https://bim-design.com/event/ondemand/revit-2024-update/01/https://bim-design.com/event/ondemand/revit-2024-update/02/

Twinmotionの最新版への対応や、年々重要視されるようになってきた環境配慮のための炭素インサイト、日本向けの機能が詰まったREXJのRevit2024版などアップデート項目が盛りだくさんです。他にも話題の生成AIを組み合わせて活用するような事例も出てきており、ユーザーが多いが故に様々な活用方法が模索されています。

Archicad

Revitに次いで国内でよく使われているのが、Graphisoft社のArchicadです。BIMソフトは大抵Windows対応のみですが、Archicadは、MacでもWindowsでも使用でき、MacユーザーにとってはArchicadが最有力です。Archicadの最新版はArchicad27で、新機能はこちらにまとまっています。(https://graphisoft.com/jp/press-releases/20231005-archicad27

こちらのGraphisoft社が創造する未来(https://graphisoft.com/jp/solutions/products/innovation)も進む方向が見えて参考になります。Graphisoft社は、AIについてはStable Diffusionを採用したビジュアライゼーションを導入している他、昨今話題になったApple Vision Proにも早々に対応しています。

この辺りは早期にMacに対応しているGraphisoft社とApple社の関係性が見えます。Apple Vision Proはまだ日本では手に入らないため、恩恵は得にくいですが、今後が楽しみです。

GLOOBE

福井コンピュータアーキテクト株式会社が開発した国産のBIMソフトです。国産なだけあり、日本の建材データや法規チェックなど、日本で設計を行う上で便利な機能が実装されているのが大きな特徴です。RevitやArchicadほどアップデートの項目は多くないですが、点群データに対応した機能を追加するなど、実務で実際に使われ出している技術から確実に対応してきています。

その他

構造に特化したTekla(https://www.tekla.com/jp)や設備に特化したRebro(https://www.nyk-systems.co.jp/)など、それぞれの専門に特化したBIMソフトもあり、実務でもよく利用されています。他にもVectorworks(https://www.aanda.co.jp/Vectorworks2021/)や、Rhino(https://www.rhino3d.com/jp/)をBIMソフトとして使う方法なども複数存在します。

この辺りの内容も前回と大きく変わりませんが、それぞれ進化してきています。ただしRevitや Archicadほどはアップデートが少ないので、その他で挙げたソフトを選択する場合は、最新技術への対応よりは、保有する独自の機能や特徴、周りのユーザーの有無等が主たる選定基準になってくるかと思います。