昨今、あらゆる業界でデジタルトランスフォーメーション(DX)が求められています。DXは、経済産業省も推進しており、一企業ではなく、国をあげて取り組む課題となっています。例にもれず建設業でもDXは加速しており、その社会的背景の一つに、年々進む少子高齢化による労働力の減少という深刻な問題があります。その打開策として、デジタル技術を積極的に活用することで、旧来のプロセスをアップデートし、ビジネスモデルを変革するような大きな変化が求められています。国土交通省も建設DXを推進しており、BIMやICT(Information and Communication Technology)に関する取り組みを行っていますので、その取り組みの一部をご紹介します。

BIMガイドライン

https://www.mlit.go.jp/gobuild/gobuild_tk6_000094.html

建設DXで、キーとなる技術の一つにBIMが挙げられます。2009年が日本のBIM元年と呼ばれ、2010年には国土交通省が主に基本設計段階でBIMを用いる試みを行いました。2014年には、国土交通省がBIMのガイドラインを公表し、2018年に改訂されました。ガイドラインは、国土交通省の官庁営繕のページ(https://www.mlit.go.jp/gobuild/gobuild_tk6_000094.html)で公開されています。以下では、BIMを進めるにあたっての指針となるBIMガイドラインについて、その内容を簡単にご紹介します。

まずBIMガイドラインの目的は、官庁営繕事業の設計業務又は工事の受注者がBIMを導入できること、また、導入する場合のBIMモデルの作成及び利用にあたっての基本的な考え方や留意事項を示すこととされています。具体的には、BIMの利用目的を明確化し、技術的な検討の具体例を示しています。また、柱、梁、ダクトなどのBIMモデル作成の代表例や、詳細度(LOD)の目安なども記されています。BIMガイドラインの運用により、BIMの効果が的確に発現すること、BIMモデル作成の効率性が高まることが期待されています。

BIMガイドラインは、総則、BIMガイドライン(設計業務編)、BIMガイドライン(工事編)の大きく3つの構成で成り立っています。設計業務に関しては、総則とBIMガイドライン(設計業務編)を、工事については、総則とBIMガイドライン(工事編)をそれぞれ適用します。ガイドライン自体は、受注者の自らの判断でBIMを利用する場合や、技術提案に基づく技術的な検討を行うにあたってBIMを利用する場合等に適用し、設計業務又は工事の発注においてBIM導入を義務付けるものではないとされています。

上記の内容からもわかるように、国土交通省が示したBIMガイドラインは、BIMを進める上での基本的な手引書になるものです。まだ読んだことのない方は、一度目を通しておくと良いと思います。また、諸外国でもBIMのガイドラインが設けられているので、見比べてみても面白いかもしれません。

 i-Constructionについて

https://www.mlit.go.jp/tec/i-construction/index.html

日本の建設現場ではICTの活用が遅れていました。2016年、国土交通省は、ICTの活用により建設業の生産性を向上させるため、i-Constructionと呼ばれる施策を始めました。i-Constructionには、ICTの全面的な活用、全体最適の導入、施工時期の平準化の3つの施策がありますが、中でも一番のキーになるのは、ICTの全面的な活用の施策であると言われています。i-Constructionを推進し、生産性が高く、より魅力的な建設現場を生み出すため、様々な分野の産学官が連携し、IoTやAIなどの最新技術の導入だけでなく、3次元データの活用を進めています。例えば、ドローン等で3次元測量を行ったり、3次元測量データと設計図の差分から施工土量を自動算出したりすることで、旧来の手法よりもはるかに短時間で工程を進めることができるようになります。

i-Constructionの深化にBIMは欠かせない技術になっています。特に3次元モデルを活用した合意形成の迅速化やフロントローディングの実施が期待されています。新しい技術を用いるため、コストや人材などの課題はもちろんありますが、BIMとICTの活用が適切に組み合わさることで建設現場の生産性は大きく向上し、DXに繋がると考えられています。

最後に

国をあげて取り組んでいるDXについて、建設業における国土交通省の取り組みの一部をご紹介しました。BIMに初めて触れる方や、何となくBIMソフトを使っている方も、国の取り組みを知ると、会社単位ではなく国として見ている未来や目指している方向が大まかにでも掴めるので、国土交通省からの情報にはアンテナを張っておくのが良いと思います。BIMやICTを用いたご自身普段の業務が、どういった未来を拓くのか、一度考えてみるのも良いかもしれません。

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