2023「IT導入補助金」の対象やスケジュールは?気になる採択結果も

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Tag:建設DX

著者:小日向

トレンドワード:IT導入補助金

IT導入補助金」についてピックアップします。中小企業のITツール導入費用をサポートしてくれる制度で、ソフトウェアやセキュリティといったIT強化に役立ちます。本記事では、申請枠の解説や2023年版での主な変更点についてご紹介していきます。

「IT導入補助金」とは

https://www.it-hojo.jp/overview/

IT導入補助金とは「中小企業・小規模事業者のITツール導入をサポートする補助金制度」です。自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助することで、業務効率化・売上アップをサポートします。

2023「IT導入補助金」の対象

2023年度のIT導入補助金の対象は、下記4つに分類されます。ここでは、それぞれについて分かりやすくご紹介していきます。

  • ①通常枠(A・B類型)
  • セキュリティ対策推進枠
  • デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)
  • ④デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)

①通常枠(A・B類型)

https://www.it-hojo.jp/first-one/

通常枠にはA/B枠が設けられており、A類型が「5~150万円未満」B類型が「150~450万円以下」の補助額となります。費用の1/2が補助されるため、ツール導入がしやすくなるでしょう。

具体的な補助対象は「ソフトウェア購入費・クラウド利用料(最大2年分)・導入関連費」です。

②セキュリティ対策推進枠

https://www.it-hojo.jp/first-one/

「セキュリティ対策推進枠」は近年被害が増えている「サイバーインシデント」回避のため、ツール導入でリスク低減を図るのが目的です。

https://www.it-hojo.jp/security/

補助額は「5~100万円」で、「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載のいずれかのサービスが補助対象となります。具体的には、下記の3つに分類されます。

  • ① ネットワーク一括監視型:インターネットの出入口に設置し、包括的に防御する
  • ② 端末監視型:従業員が利用する端末(PC等)に導入し、監視する
  • ③ 併用型:ネットワーク一括監視型と端末監視型の両方を導入する

多くの中小企業が導入することで、産業の「サイバーセキュリティの底上げ」が期待されています。

③デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)

https://www.it-hojo.jp/first-one/

「デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)」は、補助対象を「会計・受発注・決済・EC」に特化したタイプです。

https://www.it-hojo.jp/first-one/digital-type.html

またクラウド利用料やPC・タブレット、レジ・券売機等のハードウェアの導入費用も補助対象となる点も特徴です。補助額は「下限なし~350万円」で、少額でも対象となります。

④デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)

https://www.it-hojo.jp/first-one/

「デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)」は、「複数の中小・小規模事業者が連携」してITツールやハードウェアを導入することを支援します。

これにより地域DXの実現や、複数社へのITツールの導入を促します。効果的に連携するためのコーディネート費や、取組への助言を行う外部専門家に係る謝金等も補助対象です。

過去の具体的な事例としては、亀岡商業協同組合が導入する「かめPay」が挙げられます。電子地域通貨の導入により、デジタル化やスピーディな決済に取り組んでいます。

2022年との主な違いは?|少額から申請可能に

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IT導入補助金は2017年から始まった制度であり、毎年内容がアップデートされています。2023年版の主な変更点は、以下の通りです。

  • 当初から「セキュリティ対策推進枠」が設けられている
  • 補助対象額が引き下げられた
  • 通常枠のクラウド利用料期間が長期化された

「セキュリティ対策推進枠」は、補正予算により2022年の途中から新設されました。2023年度では、当初の予定から枠が設けられています。

また、補助対象額が引き下げられているのも大きな特徴です。2022年の通常枠A類型は「30~150万円」でしたが「5~150万円」に変更されました。さらにデジタル化基盤導入類型は「5~350万円」から「下限なし~350万円」になっています。

通常枠のクラウド利用料に関しても、2022年は「最大1年分」だったのが「最大2年分」に延長されています。これらの変更により、申請のハードルが低くなると考えられるでしょう。

2023「IT導入補助金」のスケジュール

2023年のIT導入補助金のスケジュールは、以下の通りです。

通常枠・セキュリティ対策推進枠・デジタル化基盤導入類型締切日
1次締切分2023年4月25日(火)17:00
2次締切分2023年6月2日(金)17:00
3次締切分(デジタル化基盤導入類型のみ)2023年6月2日(金)17:00

また、デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)については下記のスケジュールとなっています。

複数社連携IT導入類型締切日
1次締切分2023年5月31日(水)17:00

2023年3月時点では上記のスケジュールとなっていますが、2022年度は「19次締切分」まで設けられた枠もあり、例年状況に応じて変化しています。

詳しくは公式サイトをご確認ください。

2023「IT導入補助金」の採択結果はいつ分かる?採択率は?

IT導入補助金は、誰でも受けられるというものではなく「事前審査」と「事後審査」を通過する必要があります。2022年度の採択率は「73.88%」でした。それぞれの類型別の採択率は、以下の結果となっています。

類型採択率
通常枠・A類型58.14%
通常枠・B類型50.52%
セキュリティ対策推進枠96.63%
デジタル化基盤導入類型82.12%
総計73.88%

トータルでみると7割超の採択率ですが、これは「セキュリティ対策推進枠」の採択率が高いことが影響しています。

また補助金は後払い(精算払い)方式です。事業を実施した後に「報告書を提出して検査を通過」した場合に受け取れます。そのため導入時にはまとまった費用を立て替える必要があり、注意が必要です。

2023「IT導入補助金」のおすすめ活用例

「IT導入補助金を利用してみたいけれど、具体的な活用方法が分からない…」というケースも多いでしょう。ここでは、おすすめの補助金活用例をご紹介します。

①インボイス制度|2023年10月から開始

https://www.it-hojo.jp/multiple-type/effort.html

2023年10月から「インボイス制度」がスタートする予定で、会計システムの変更が必要になる事業者も多いでしょう。

そんな場合には、適格インボイス制度に対応した会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフトなどの導入でもIT導入補助金が活用できます。「決済情報等から得られる顧客の購買行動や商品の売れ行きのデータ」を参画事業者間で共有・分析することで、生産性の向上も図れます。

「インボイス制度」について詳しくは、下記記事をご覧ください。

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②ITツール導入|RPA導入で業務効率化

https://www.it-hojo.jp/applicant/casestudies.html

適切なITツールを導入すれば、業務効率化やミス防止にも繋がります。たとえば「RPAツール」を導入した事例では、受発注管理業務を自動入力化できました。これにより、売上管理業務が「1日15分削減」という効果が得られています。

ほかにも勤怠管理ツール、請求業務ツール、販売管理による情報の一元化など、業態に合わせた様々な活用法があります。

③サイバーセキュリティ強化|他枠と組合せで「加点」も

https://www.ipa.go.jp/security/otasuketai-pr/index.html#service_title

「セキュリティ対策推進枠」では、「サイバーセキュリティお助け隊サービス」をメインのITツールとした申請が可能です。

またそれだけでなく、「通常枠」か「デジタル化基盤導入枠」をメインとした場合でも、「サイバーセキュリティお助け隊サービス」をオプションとして組み合わせて申請することもできます。これにより審査の「加点」になるため、採択率が上がります。

まとめ|IT導入補助金でDX推進

IT導入補助金は、中小企業のITツール導入をサポートしてくれます。IT機器やソフトには多くのコストが掛かってしまいますが、1/2~3/4の費用が補助されることで大きなメリットがあるでしょう。補助金採択には審査が必要なので、早めの申請がおすすめです。