【連載】プロジェクトに必要なチームビルディングのポイント(第4回)

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Tag:BIM

著者:藤井章弘

連載企画「BIMコンサルへ提案依頼するための必須項目」では、ゼネコンや建材メーカーなどのBIM推進やデジタル推進の担当者向けに役立つ情報を発信しています。

連載4回目の本記事は、「プロジェクトに必要なチームビルディングのポイント」についてです。

開発業務に取り組むにあたって、個人やチームのパフォーマンスを上げて、アウトプットを最大化するために、チームビルディングは必要不可欠です。個人プロジェクトでは特に考える必要はありませんが、複数人が関わるプロジェクトになれば自ずと求められるようになります。

ここでは、単に個人を集めただけの集団ではなく、「チーム」として機能するために必要なことをいくつか挙げてみます。

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▼連載5回目:【連載】RFPに記載すべき17の内容とポイント(第5回)

チームとして機能するために不可欠な3つのポイント

1.目的と目標を共有する

同じ目的と目標をチーム全員で共有することは、チームビルディングで最も大切です。ここでの目標は、チームとして達成すべき目標です。もちろん個人の目標も必要ですが、チームでの大きな目標があった上での個人の目標設定になります。

例えば、世界最強のサッカーチームになることが目的で、W杯優勝がチームの目標だとしたら、個人の目標はチームで勝たせるために自身が得点王になる等スポーツは分かりやすいですね。同じ方向を向いて意思統一されているチームはとても強いです。目的を元に目標が共有された上で、戦略や戦術の話が可能になります。

2.役割を明確にする

受託開発と自社開発では状況が異なりますが、どちらの場合でも各人の役割を明確にし、全員が責任を持って役割を全うすることが必要です。また、そのためにも各役割のことをそれぞれが理解し合うことも重要です。

受託開発の場合は、発注者も含めたチーム構成を考え、実践できれば一気にチームとしての一体感が高まり、開発の速度も質も向上します。役割は、プロダクトオーナーやプロジェクトマネージャー、リードエンジニアやUIデザイナー等挙げるとキリがないですが、開発規模に応じて必要な役割を考え、メンバーそれぞれの立場や能力、人間性等から総合的に適任者を割り当てます。

サッカーでも、FW(攻め)、MF(中盤)、DF(守り)等の役割を明確にしています。ポジションという役割分担は、勝つという目標達成のために設定します。開発業務の役割分担も同様です。

3.円滑なコミュニケーション

上記二点をチームビルディングに必要なこととして挙げましたが、実際にチームを作るのに必要なのは、人同士のコミュニケーションです。円滑なコミュニケーションが行えないとそもそもチームとして成立しません。

円滑なコミュニケーションというのは、対面での直接のやり取りが全てではなく、テキストベースのコミュニケーションももちろん有効な場合もあります。意思疎通が行える環境や文化があるか、チームの空気作りができているかが重要で、具体的な方法については、基本的には便利なものを選べば良いです。

ただし、仮に同じ内容でも、例えばオンラインとオフラインでは対話の質が異なるので、内容に応じて有効な方法を使い分ける必要があります。

より良いチームを作るための施策

より良いチームを作るために、他にも具体的に実施すると良いこともいくつかあります。例えば、定期的な振り返り会は、チームの力を上げるのにとても有効です。業務を進める中で良かった点や改善すべき点をチーム内で共有し、変えていくことでチームの力はより強いものになっていきます。

KPT(※1)やYWT(※2)等の振り返りのためのフレームワークもたくさんあるので、調べてみて利用すると良いと思います。良いチームは、メンバーが楽しんで業務に取り組んでいます。楽しいからプロジェクトが前に進みます。その好循環が推進力になります。また、無駄な作業も減っていくので、結果的に業務も楽になっていきます。

つい目先の業務に追われてしまいますが、全員でチームについて考える機会を作ってみてはいかがでしょうか。「チーム」を作ることが、プロジェクトを成功に導く近道になると思います。

注釈

※1:KPT

KPTとは振り返りのフレームワークの一つ。仕事やプロジェクトなどを対象に「Keep(成果が出ていて継続すること)」「Problem(解決すべき課題)」を洗い出し分析した上で、具体的な改善策としての「Try(次に取り組むこと)」を検討するという流れで実施。

※2:YWT

日本能率協会コンサルティング(JMAC)が提唱した振り返りフレームワーク。やったこと・経験したこと(Y)から何が分かったか(W)を反省し、次の段階に進む(T)という流れで実施。

まとめ

この記事では、開発プロジェクトを成功に導くチームビルディングに重要なポイントを解説しました。
連載最終回となる5回目の記事では「BIMコンサルに依頼するときに必要なRFPテンプレート」をご紹介します。