
「DX銘柄2023」はこう変わる!選定基準解説|メリットやDX認定との違いも紹介
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経済産業省が策定している「デジタルガバナンス・コード」についてピックアップします。経営者が企業価値を向上させるために実践すべき事項である「4つの柱」を解説します。グローバル競争の「戦国時代」とも言える現代において、話題の人物・徳川家康のリーダーシップ像との共通点についても探っていきます。
徳川家康は江戸幕府を開いた武将で、その後260年も続く長期政権の基盤を作り上げたことで知られています。「鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス」の句にあるように、時流をよく読みチャンスを待つ忍耐強さのイメージが強い人物です。
ここでは天下人に上り詰めた家康の「リーダーシップ像」についてご紹介します。
関ケ原の戦いに際しては、全国にいる大名に「150通以上」の直筆メッセージを送ったと言われています。その内容は「東軍(家康側)に寝返れば褒美を与える」というものでした。
当時手紙は代筆が一般的だったため、「家康がわざわざ手紙を書いてくれた」と感動した大名も多かったのではないでしょうか。こういった事前の根回しが功を奏し、東軍の勝利に繋がりました。
また家康は常に勉強を欠かさず「新しいもの好き」の一面もありました。ウィリアム・アダムス(三浦按針)から数学や幾何学を学ぶなど、興味を持ったものは積極的に取り入れたそうです。眼鏡や鉛筆を日本で初めて使ったのも家康でした。
家康は、織田信長のようにカリスマ性を持ったリーダーではありません。しかしステークホルダー(部下や利害関係者)との対話に重きを置き、多様な価値観を認めることで信頼を得ていたことが読み取れます。
現代はグローバルな競争の中で、新たなビジネスモデルにより既存ビジネスが破壊される事例も多く、まさに「戦国時代」と言っても過言ではありません。こうした時代変化の中、DXを促すために経済産業省が示したリーダーの指針「デジタルガバナンス・コード」についてご紹介します。
デジタルガバナンス・コードとは、2020年に経済産業省が取りまとめた「デジタル技術による社会変革を踏まえたビジョン、経営者に求められる対応」のことを指します。
「そもそもDXとは何か?」という疑問については、下記記事をご覧ください。
日本は諸外国に比べるとDX化が遅れており、古いシステムが足かせとなっているケースは多いです。また経営者とステークホルダーとの対話も十分と言えず、成長を阻害しています。
デジタル・ガバナンスコードにより、こういった現状を変革しDX化を推進するという狙いがあるのです。
変化の目まぐるしい情報処理に関する法律は「2年に⼀度、⾒直しについて議論をする」とされています。「デジタルガバナンス・コード1.0」は、2020年11月に発表された指針です。そして「デジタルガバナンス・コード2.0」は、2022年に改訂版として策定されました。
主な改定ポイントは、下記の通りです。
具体的には「デジタル⼈材の育成・確保をDX認定の認定基準に追加」、「企業の稼ぐ⼒を強化するためのデジタル活⽤の重要性を指摘」等が盛り込まれています。2019年に「DX推進指標」がデジタル経営改革のための評価指標として策定されていましたが、今回デジタル・ガバナンスコードに一本化されています。
またDX認定・DX銘柄への影響としては、下記が挙げられます。
「DX銘柄」について詳しくは、下記記事をご覧ください。
ここでは、デジタルガバナンス・コード2.0の主な内容をご紹介します。ポイントは「4つの柱」です。
ここでは、経営者の示すべきビジョンについて述べられています。
『企業は、ビジネスと IT システムを一体的に捉え、デジタル技術による社会及び競争環境の変化が自社にもたらす影響(リスク・機会)を踏まえた、経営ビジョンの策定及び経営ビジョンの実現に向けたビジネスモデルの設計を行い、価値創造ストーリーとして、ステークホルダーに示していくべきである。』
望ましい方向性としては、「経営者として世の中のデジタル化が自社の事業に及ぼす影響(機会と脅威)について明確なシナリオを描いている」ことが挙げられています。
デジタル技術を活用する戦略を策定し、ステークホルダーに示していくことが求められます。
DX化における人材の育成・確保や外部組織との関係構築・協業について述べられています。具体的な取組事例の一部は、下記の通りです。
IT システム・デジタル技術活用環境の整備に向けたプロジェクトやマネジメント方策、利用する技術・標準・アーキテクチャ、運用、投資計画等について述べられています。具体的な取組事例の一部は、下記の通りです。
デジタル技術を活用する戦略の達成度を測る指標を定め、ステークホルダーに対し、指標に基づく成果についての自己評価を示すことが求められています。具体的な取組事例の一部は、下記の通りです。
ガバナンスシステムの基本的な考え方は、下記の通りです。
具体的には、企業価値向上のための DX 推進について、経営トップが経営方針・経営計画やメディア等でメッセージを発信すること等が求められます。
経済産業省では、中小企業のDX化を推進するために手引き書を作成しています。具体的な内容としては「DXの成功ポイント」として下記が挙げられています。
中堅・中小企業等のDXにおいては、経営者のリーダーシップが大きな役割を果たします。まずは身近な業務のデジタル化や、既存データや身近なデータの収集・活用に着手することが求められています。
詳しい内容は、中堅・中小企業等向け「デジタルガバナンス・コード」実践の手引きをご覧ください。
デジタルガバナンス・コードでは、経営者が企業価値を向上させるために実践すべき事項がまとめられています。「DX化」と聞くと特殊な能力が求められそうなイメージを持ってしまいますが、その内容を見ていくと意外とシンプルです。
経営者のあり方は、戦国武将の生き方や戦術から学べるポイントも多くあります。家康のようにステークホルダーと良好な関係を築くことは、いつの時代にもリーダーに求められる資質と言えるのではないでしょうか。
二級建築士/インテリアコーディネーター(IC)/福祉住環境コーディネーター。 建築学科卒業後、インテリアメーカーにてICの業務を経験。 現在は建築・住宅系ライターとしてコラムを担当。ハウスメーカー、リフォーム、住宅設備会社での執筆多数。