建築BIM加速化事業いよいよスタート|スケジュールや申請手順を分かりやすく解説
国土交通省は令和4年度2次補正予算「建築BIM加速化事業」を創設し、1月16日には受付が開始されました。本記事では、具体的なスケジュールや申請手順についてまとめていきます。
【参考】建築BIM加速化事業について
目次
建築BIM加速化事業の概要
「建築BIM加速化事業」は、BIMデータの作成に掛かる設計費や建設工事費に対して国が補助金を交付する取り組みです。
現在あまりBIMが活用されていない中小企業にも社会実装を加速化し、官民連携のDXを推進する狙いがあります。制度の概要について詳しくは、下記記事をご覧ください。
建築BIM加速化事業の流れ・スケジュール
補助金が交付されるまでの流れは、以下の通りです。
- ①事業者登録
- ②代表事業者登録の通知
- ③交付申請
- ④交付決定
- ⑤完了実績報告
- ⑥額の確定
- ⑦補助金の支払い、受領
また具体的なスケジュール日程は、下記の予定となっています。
手続き名 | 受付期間 |
---|---|
代表事業者登録 | 2023年1月16日~2023年3月31日 |
交付申請 (変更交付申請含む) | 2023年2月13日~2023年12月31日 |
完了実績報告 | 2023年12月1日~2024年2月29日 |
補助金交付 | 2024年3月頃 |
補助金の交付申請は、総額が予算額に達した場合には打ち切りとなります。基本的に期限を超えた場合には申請が受領されないため、早めの手続きがおすすめです。
建築BIM加速化事業の申請方法
建築BIM加速化事業では、交付申請等の手続きを「jGrants」という電子申請で行います。オンラインで24時間365日申請でき、随時申請状況のチェックも可能です。
jGrantsの申請にはgBizIDの「gBizID プライム」または「gBizID メンバー」のアカウント取得が必要です。取得には時間が掛かるため、事前に手続きしておくのがスムーズです。
【参考】jGrants 公式サイト
建築BIM加速化事業 体制イメージ
建築BIM加速化事業では、「BIMコーディネーター」や「BIMマネジャー」、「BIMモデラー」といった単語が登場します。上図に設計や施工時の体制イメージが示されているので、参考にしてみてください。
補助対象経費の種類は?
補助金が交付される対象の経費は、以下の7種類となっています。
- ①BIMソフトウェア利用費
- ②BIMソフトウェア関連費(PCリース料、ARゴーグルリース料等)
- ③CDE環境構築費、利用費
- ④BIMコーディネーターの人件費
- ⑤BIMマネジャーの人件費
- ⑥BIM講習の実施費用
- ⑦BIMモデラーの人件費(施工BIMにおいてBIMマネジャーの作業を支援するものに限る)
補助対象となるのは、「代表事業者登録の完了日以降から完了実績報告までの間に発生した費用」です。以下、それぞれの補助金交付対象について簡単にまとめていきます。詳しい内容については、「建築BIM加速化事業実施支援室サイト」を必ずご確認ください。
①BIMソフトウェア利用費
BIMソフトウェアや、アドオンソフト、アドインソフト、ビューワーソフト等の関連ソフトの利用費が助成されます。後日、補助対象のソフトウェア条件や一覧が公開となる予定です。
ソフトウェアの利用料又は購入価格が2万円以上であり、かつ、プロジェクトの終了以降もソフトウェアの利用が可能である場合には、プロジェクト終了時点での残存価値分を控除して補助金を申請する必要があります。
サブスクリプション利用やレンタル利用の場合
代表事業者の登録後に契約した利用料が補助対象となります。また、原則として実績報告までの間の利用料が補助対象となりますが、利用契約が概ねプロジェクトの終了までに終わるものであり、かつ、その利用料を実績報告までに支払っている場合には、その全額が補助対象となります。
購入の場合
代表事業者の登録後に購入したものが補助対象となります。また、その利用可能な期間又はベンダーによるサポート期間が、概ねプロジェクトの終了までのものは、その全額が補助対象となります。
②BIMソフトウェア関連費(PCリース料、ARゴーグルリース料等)
BIMソフトを利用する際のパソコン、ARゴーグル等の利用料が補助対象となります。ただし、「①のソフトウェア導入と併せて導入する場合に限る」という条件があります。
周辺機器の利用料又は購入価格が2万円以上であり、かつ、プロジェクトの終了以降も利用が可能である場合には、プロジェクト終了時点での残存価値分を控除して補助金を申請する必要があります。
リース利用やレンタル利用の場合
代表事業者の登録後に契約したもの(各補助事業者において、当該プロジェクトに係る建築BIMデータの作成や使用を開始する前に契約を更新したものを含む)の利用料が補助対象となります。
また原則として実績報告までの間の利用料が補助対象となりますが、利用契約が概ねプロジェクトの終了までに終わるものであり、かつ、その利用料を実績報告までに支払っている場合には、その全額が補助対象となります。
購入の場合
代表事業者の登録後に購入したものが補助対象となります。
③CDE環境構築費、利用費
BIMをクラウド上で共有するための環境構築費用や、サーバーの利用料等が対象です。
原則として実績報告までの間の利用料が補助対象となりますが、利用契約が概ねプロジェクトの終了までに終わるものであり、かつ、その利用料を実績報告までに支払っている場合には、その全額が補助対象となります。
なお、一つの利用契約によるCDE環境を複数のプロジェクトで使用している場合には、利用料を補助対象となるプロジェクトの延べ面積やデータ量等で按分し、補助金を申請する必要があります。
④BIMコーディネーターの人件費
BIMソフトウェアの選定、CDEの選定、建築BIMに関する講習の実施など、「プロジェクト全体の環境の整備や支援を行う者」の人件費が補助対象となります。BIMコーディネーターが当該プロジェクトの専任とならない場合は、その従事割合に応じて、補助対象経費を算出します。
人件費が補助対象となるBIMコーディネーターは原則1名とし、2名以上を補助対象とする場合には、必要性等について詳細な説明を求めることとします。
⑤BIMマネジャーの人件費
各事業者が作成したBIMモデルの管理など、「BIM全体の運営を行う者」の人件費が補助対象となります。BIMマネジャーが当該プロジェクトの専任とならない場合は、その従事割合に応じて、補助対象経費を算出します。
BIMマネジャーが「当該事業者が行うべき業務のみ」のBIMの作成等を行う時間はBIM全体の運営には当たらないため、補助対象となりません。
⑥BIM講習の実施費用
従業員に対して建築BIMの利用に関する講習会等を実施する場合に、講師謝金(講師の人件費を含む)、会場費、テキスト印刷費、機器レンタル費等に要した経費を補助対象とします。講習会の実施を他の事業者に委託した場合には、その委託料が補助対象となります。
なお、参加者オープンの講習会に参加する場合には、代表事業者が認める講習会の受講料が補助対象となりますが、補助対象のプロジェクトで用いないBIMソフトウェアの講習会に参加した場合などは補助対象となりません。
⑦BIMモデラーの人件費(施工BIMにおいてBIMマネジャーの作業を支援するものに限る)
「建築BIMモデルの作成・編集を行う者であって、施工BIMにおいてBIMマネジャーの作業を支援する者」の人件費が補助対象となります。
BIMモデラーが当該プロジェクトの専任とならない場合は、その従事割合に応じて、補助対象経費を算出します。なお代表事業者等が他の事業者に委託した場合には、その委託料が補助対象となります。
BIMモデラーが、その所属する事業者内において、当該事業者が行うべき業務のみのBIMの作成等を行う時間は、BIMマネジャーの作業の支援には当たりませんので、補助対象となりません。例えば、協力事業者(下請等)において、その事業者が作成するべきBIMデータを作成する者の人件費は、補助対象となりません。
まとめ|建築BIM加速化事業で建設DX
建築BIM加速化事業では、パソコンやBIMソフトウェアの購入費用も助成されて大変お得です。ツールは1度使ったら終わりではなく、今後も長く使い続けられるというメリットもあります。
ツールがプロジェクト終了後も利用可能な場合には経費から控除する必要がありますが、長い目で見ると今回補助金を使って導入しておくのがおすすめです。これまでBIMに消極的だった事業者の方も、ぜひ活用してみましょう。