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サッカーW杯建築や最新技術紹介|「再利用」できるコンテナスタジアムとは

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トレンドワード:建物の再利用

「建物の再利用」についてピックアップします。日本中が盛り上がったサッカーワールドカップは、スタジアムが「コンテナ製」で解体できることが話題に。本記事では再利用建築事例のほか、建築解体廃棄物リサイクルの課題についてもご紹介していきます。

2022サッカーW杯では最新技術の活用が注目

FIFAワールドカップカタール2022は、日本が強豪ドイツ・スペインに勝利するなど大変な盛り上がりを見せました。また選手たちの活躍だけでなく、「VAR」といった最新技術の活用も注目されています。

VAR判定|カメラ映像を遠隔地で確認

「1㎜の奇跡」とされる三笘選手のゴールは、VARでインと判定されました。

VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)はスタジアムに設置されたカメラ映像をもとに、遠隔的に判定を行うシステムです。今回のカタールW杯では「42台」のカメラが設置され、ドーハ市内の遠隔地にデータを送信していました。

あえて遠隔地で判定を行うことで、「スタッフがスタジアムに行かなくて済む」というメリットがあります。移動の手間や必要な人数を最小限に抑えられるため、コスト削減にも繋がるでしょう。

「1拠点でまとめて映像を確認する」という点においては、建設現場で導入が進む「遠隔臨場」とも共通する部分があります。遠隔臨場について、詳しくは下記記事をご覧ください。

IMU内蔵のボール|半自動オフサイド技術

今回のワールドカップでは、ボールに「IMUセンサー」が組み込まれていました。ボールの位置や接触情報を「1秒に500回」発信し、リアルタイムで計測可能となっています。

このデータとスタジアムのカメラ映像を組み合わせることで、オフサイド(攻撃側のポジションに関する反則)かどうかを自動判定できるのです。

アドバンスド・クーリング・テック|中東の暑さを軽減

カタールは「最高気温50.4℃」を記録したこともある暑い国です。W杯は通常6~7月に行われますが、暑さを考慮して冬にずらしたという経緯があります。ただし冬でも25〜30℃程はあるため、今大会では特に暑さ対策に力を入れていました。

「アドバンスド・クーリング・テック」はスタジアム近くのエネルギー供給所で冷水を作り、パイプラインを通して送り込む仕組みとなっています。ダクトから吹き出る冷風により、会場内は常時21℃前後に保たれていました。

再利用される建築の事例

ここではワールドカップで話題となった「解体できるコンテナスタジアム」を筆頭に、建築を再利用している事例をご紹介していきます。環境に配慮した建築は増えつつあり、すでにイギリスやオーストラリアの環境配慮型ビル評価システムでは、「解体を考慮した設計」に点数が与えられています。

Stadium 974|コンテナを再利用可能

カタールW杯で使用された「スタジアム974」は、貨物輸送用のコンテナを活用した珍しい建築です。

「鋼製のフレームにコンテナを差し込む」という工法のため、余計な材料が掛からずエコな仕様となっています。ウォーターフロントという立地を生かして自然換気ができるので、空調設備も不要です。

また大会終了後はコンテナを「解体」して、発展途上国などに寄付される予定です。ワールドカップにおいては初となる解体可能なスタジアムで、今後同様な建築手法の広がりも期待されています。

ちなみに「974」の由来は、カタールの国番号「974」とコンテナの使用数「974個」の2つの意味が掛けられています。

水晶宮|プレパブ建築の先駆け

水晶宮は、1851年にロンドンで開催された第1回万国博覧会のために建てられました。材料は鉄骨とガラスで、「解体されることが前提」の設計が特徴です。

万博終了後は一度解体された後シデナムの丘に再建され、コンサートホールや美術館が入居した複合施設として親しまれました。1936年に火災で焼失してしまいましたが、大量生産した規格部材を組み立てる「プレハブ工法の先駆け」としてその名を留めています。

伊勢神宮|20年に一度生まれ変わる

日本人の心のふるさと・伊勢神宮は、20年に一度の「式年遷宮」という行事が有名です。第1回目は690年で、直近では2013年に第62回が行われました。

上の写真のように、伊勢神宮には東西に2つの宮処が並んでいます。式年遷宮では、20年周期で古い方を新しいご神殿に造り替えているのです。素材はヒノキと決められていますが、20年経つと色がかなり変わっているのが分かります。

解体された木材は、宇治橋にある鳥居に再利用されます。ほかにも全国各地にある神社建築に「お下がり」として活用されることが多いです。

https://www.isejingu.or.jp/sengu/the62nd/

遷宮のスパンがなぜ20年なのかという理由は分かっていませんが、「建築技術を後継に伝える」という意味合いが強いと推測されています。たとえば「10歳で遷宮を見る・30歳で大工として工事に加わる・50歳で後継に技術を伝える」など、昔の平均寿命でも生涯に3回程度参加できます。

実際に現在でも、遷宮終了後に「常勤職員」として若手や優秀な宮大工を30名程度雇用し続ける仕組みが残っています。近年の建設現場では「技術の担い手不足」が課題となっていますが、式年遷宮のシステムに学ぶべき点も多いかもしれません。

建築解体廃棄物リサイクルの課題

スタジアム974や伊勢神宮のように「すべての建築物を解体して再利用すれば、環境負荷を減らせるのでは?」と思ってしまいますが、リサイクルには課題も多くあります。

  • 解体工事コストが掛かる
  • 廃棄物の再資源化が難しい
  • リサイクル産業は収益性が低い

解体工事には、多くの費用が掛かります。しかし業界が重層下請け構造のため、末端の工事業者に適正なコストが支払われていないケースが多いです。

また一般の建築解体廃棄物には異物が混入しやすく、再資源化するには多大な手間が掛かってしまいます。さらにリサイクル産業は中小企業が大半を占めており、収益性が低く敬遠されがちという点も課題です。

まとめ|技術の活用で持続可能な社会に

今回のサッカーワールドカップでは、VARなどの最新技術や、環境に配慮したスタジアム建築が注目されました。特にスタジアムなど大規模建築物は、大会後に維持管理費が赤字となる「負の遺産」になってしまう事例が過去に多数あります。解体して再利用する仕組みが整えば、環境への負荷も軽減されるでしょう。

この記事を書いた人

小日向

二級建築士/インテリアコーディネーター(IC)/福祉住環境コーディネーター。 建築学科卒業後、インテリアメーカーにてICの業務を経験。 現在は建築・住宅系ライターとしてコラムを担当。ハウスメーカー、リフォーム、住宅設備会社での執筆多数。

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