
クオリカ、製造・建設業向ウェアラブルデバイス活用DX開始|安全安心な遠隔臨場
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『建機の遠隔操作装置『Model V』、建機シミュレータ『OCS』のデモを CSPI EXPOで公開』でご紹介した「遠隔臨場」についてピックアップします。
遠隔臨場とは、公共工事において映像や音声を活用することで遠隔地から建設現場の状況を確認することを指します。ウェアラブルカメラやスマートフォンなどを使うことで、その場にいなくても現場の確認作業が行えるのです。国土交通省が2020年3月に策定し、公共工事の建設現場において監督・検査作業効率を改善することを目的としています。
これまで建設現場では「きつい、汚い、給料が安い」という「3K」の状態が問題となっていました。しかしBIMなどのICTツールを活用することで「新3K(給料が良い、休暇が取れる、希望が持てる)」の魅力ある建設現場の実現が期待されています。国土交通省ではこの取り組みを「i-Construction(アイ・コンストラクション)」と名付け、2017年から建設のICT活用を推進しているのです。遠隔臨場はカメラやインターネットを使った現場ツールとして、注目されています。
まず、遠隔臨場のメリットとしては以下が挙げられます。
遠隔地から臨場ができるため、わざわざ現地まで行かなくても検査確認作業が可能に。これにより、時間が大幅に短縮でき業務効率化が期待できます。また危険な作業現場に行く必要がなくなり、非接触のため感染症対策にもなるため安全性が高まります。少ない人数で臨場できることから、建設現場の人手不足解消にも役立つでしょう。
ただし、遠隔臨場にもデメリットがあります。
遠隔臨場にはウェアラブルカメラ、PCといった機器が必要になります。また導入時には作業員の技術習得が求められるため、負担になってしまう場合も。遠隔臨場ではインターネットで情報をやり取りするので、安定した通信環境が必須になります。さらに動画や写真を撮影する際には、作業員が映りこむ場合にプライバシーへの配慮も求められます。
ここでは国土交通省が発表している「建設現場における遠隔臨場に関する実施要領」について解説します。遠隔臨場を導入する際には、基準として参考にしてみましょう。
遠隔臨場の目的は、主に以下2点です。
現段階では、工事のうち「段階確認、材料確認、立会」の作業で遠隔臨場の活用が可能となっています。遠隔臨場を行うことで、書類や時間の削減につながることが分かりますね。
遠隔臨場は、「段階確認」、「材料確認」と「立会」に適用すると定められています。
確認実施者が現場技術員の場合は、PC 等にて遠隔臨場の映像を画面キャプチャ等で記録し、情報共有システム(ASP)等で監督職員へ提出します。もちろん動画撮影用のカメラ(ウェアラブルカメラ等)の使用は、「段階確認」、「材料確認」と「立会」だけではなく、現場不一致、事故等の報告時の活用も可能です。
動画撮影用のカメラ(ウェアラブルカメラ等)の機器を用いて、その内容について契約図書との適合を確かめる作業となります。
Web 会議システム等を利用することにより、監督職員等が確認するのに十分な情報を得ることができた場合に、従来の現場臨場に代えて、遠隔臨場を利用することができます。
現物による確認においては、動画撮影用のカメラ(ウェアラブルカメラ等)と Web 会議システム
等を利用することにより、監督職員等が確認するのに十分な情報を得ることができた場合に、遠隔臨場を利用できます。
ただし工場製作工(共通)において、受注者は鋼材に JIS マーク表示のないものについては、動画撮影用のカメラ(ウェアラブルカメラ等)を用いて以下の確認が必要です。
動画撮影用のカメラ(ウェアラブルカメラ等)と Web 会議システム等を利用することにより、監督職員等が確認するのに十分な情報を得ることができた場合に、従来の現場臨場に代えて、遠隔臨場を利用することができます。
なお、監督職員等が十分な情報を得られないと判断する場合には、受注者にその旨を伝え、機器の調整等により改善を図ることが困難な場合には、現場臨場による立会になります。
遠隔臨場に用いる動画撮影用のカメラ(ウェアラブルカメラ等)と Web 会議システム等は、監督職員等と協議の上、確認行為を実施できるものを選定することになっています。
ちなみに、カメラやWeb会議に使うツールの参考値は以下のようになっています。
遠隔臨場を行う際には、機器スペックの目安として参考にしてみましょう。
小型ウェアラブルカメラで、国交省が定める公共工事の新技術活用システム・NETISにも登録されているツールです。バッテリーと通信機能(SIM)を内蔵し、電源を入れるだけで現場の映像を確認・会話が可能となり、現場と本部のコミュニケーションを円滑にすることが特長。装着性の高さから、現場従事者が身に着けての移動撮影や、アタッチメントによる定点カメラとして設置など幅広く使えます。
現場仕事に特化し、簡単に、正確に、相手に伝えることのできるビデオ通話アプリです。ウェアラブルカメラやスマートグラスなどの専用端末を必要とせずに、普段お使いのパソコンやタブレット、スマートフォンにアプリをインストールするだけで操作可能。実際に、宮崎県都城市の公共工事で導入された実績もあります。
遠隔臨場は、従来までの現場臨場とは異なりリモートで確認作業が可能になります。コスト削減や人材不足解消といったメリットが大きく、さらなる広がりが期待されるでしょう。
二級建築士/インテリアコーディネーター(IC)/福祉住環境コーディネーター。 建築学科卒業後、インテリアメーカーにてICの業務を経験。 現在は建築・住宅系ライターとしてコラムを担当。ハウスメーカー、リフォーム、住宅設備会社での執筆多数。